【MBB過去問】エアコンの市場規模・エアコンメーカーの売上向上施策
本記事はあくまで回答例ですので、
ご自身の内容が違ったからと言ってダメということではありません。
この記事を通して、
「こういった考え方もあるんだな」
「こういった切り返しは使えるな」
というような形でご自身の引き出し増加に使ってもらえたらと思います。
さて、では、今日はMBBの問題ですね。
まずは、ご自身で解いてみて、その後記事をご覧になってくださいね。
それでは、ワクワク・ドキドキの面接の旅がスタートです!
■テーマ
フェルミ:エアコンの国内市場規模
ケース:エアコンメーカーの売上アップ施策
面接時間は30分。内訳は下記の通り。
ビヘイビア:10分 ※簡単な経歴、志望動機等
フェルミ:計算4分+ディスカッション6分
ケース::ディスカッションのみ5分
逆質問:5分
■フェルミ推定の回答
前提の確認
(前半で、志望動機が聞かれている。
口調は優しくも、鋭い質問が行われている・・・)
面接官:「ありがとうございました。
では、これからはケース面接に移りたいと思います。
そうですね、エアコンの国内市場規模を4分で計算していただけますか?
その後、エアコンメーカーの売上向上施策について簡単にディスカッションしましょう。何か質問はありますか?」
私:「ありがとうございます。今回は、家庭用エアコンをスコープとし、メンテナンス代等は考えず、シンプルな販売価格をベースに計算する形でよろしいでしょうか?」
面接官:「はい。問題ありません。」
私:「ありがとうございます。
では、その前提で計算させていただきます。」
計算
私:「(頭の中で・・・)売上向上を考えるときには、おそらく供給側ではなく需要側へのアプローチと予想されるな。だから、フェルミ推定についても、需要側から考えよう)」
<実際の計算式>
年間販売台数 × 単価
↓ ↓
世帯数×エアコン所有率×1世帯あたりの台数÷買い替え頻度 × 単価
単身 |1,040万 × 90% × 1 ÷ 10 × 5万
2人 |1,040万 × 90% × 2 ÷ 10 × 5万
3人以上| 3,120万 × 90% × 4 ÷ 10 × 5万
⇒ 単身=468億、2人=936億、3人以上=5,616億で、合計7,020億円
①世帯数
全国の世帯数を5,200万世帯とする。
実際には単身・2人世帯はそれぞれ20~30%くらいと思われるが、
計算を簡略化するために、
単身世帯を20%、2人世帯を20%、残り60%を3人以上の世帯とする。
(実際のプロジェクトを想像すると、これは調べればわかるものなので、
常識の範囲から大きく外れていなければ問題ない)
②エアコン所有率
今の日本の現状を考えると90%近と考えた。また、単身世帯より3人以上世帯の方が所有する等の事象はあまり考えられないと考え、一律とした。
③1世帯あたりの台数
単身:ワンルームがメインと考え、エアコン1台。
2人:1LDKがメインと考え、エアコン2台。
3人以上:3LDKがメインと考え、エアコン4台。
田舎vs.都市で各世帯の家の広さは違うとも考えられるが、
ここでは検討対象外とする。
(エアコンの売上向上施策の検討にあたり、田舎と都市で劇的にアプローチが変わるとは考えづらいため、あえて切り出す論点にはならない。)
④買い替え頻度
夏は単身も3人以上の世帯も利用するだろうし、
世帯によって、エアコンの使用頻度には差がないと考え、
一律10年とした。
⑤単価
自身の経験から、一律5万円と置いた。
面接官とのQ&A
面接官:
「合計約7,000億円ですね。ありがとうございます。値は正しそうですか?」
私:
「そうですね、大手メーカーの売上から考えてみます。
ダイキン、パナソニック、三菱電機等・・・
大手が4社いると考え、市場規模の80%をその4社が占めているとすると、
1社あたり1,400億円の売上をエアコンであげていることになります。
例えばパナソニックでいえば、全体の年間売上が8兆円ほどです。
その内、40%が国内とすると3.2兆円、
その内家電関連事業が50%とすると1.6兆円になります。
パナソニックはテレビ等、その他の商材も多く扱っているので、
1.6兆円の内、1,400億円がエアコンを占めていると考えると、
桁はずれていないかと思います。」
では、本題に戻りましょう。
面接官:「なるほど、では、改善するとしたらどこですか?」
私:
「はい、「世帯数」・「エアコンの所有割合」・「1世帯当たりの個数」はそこまで値としてぶれがないと思われるため、
「買い替え頻度」と「単価」がポイントになるかと思います。
特に、今回は、「単価」に改善の余地があると考えます。」
面接官:「単価ですね。改善する場合、どのようになりますか?」
私:
「はい、今回は、高価格帯のものが検討できていないかと思います。
エアコンは高いものだと20万ほどすることもありますので、
例えば下記のように加重平均を取ることが有効です。
購入されるエアコンの90%:5万円
購入されるエアコンの10%:20万円
そうすると、5万×0.9 + 20万×0.1 = 7.5万円/台になります。
また、他には、部屋の広さに応じてエアコンの価格は変わりますので、
現在は一律5万円としていますが、単身世帯より3人以上の世帯の方が、
価格が高くなる可能性も考えられたかと思います。」
面接官:「いいですね、ありがとうございます。それでは、フェルミ推定はここまでにして、ケースに行きたいと思います。ある大手エアコンメーカー1社の売上をあげるとしたら、どういったアプローチが考えられますか?」
■ケースの回答
私:
「はい、今回エアコンメーカーの売上アップとのことですので、
・そもそも既存のエアコン事業にテコ入れするのか、
・新規事業に手を出すべきなのか?
が観点としてあげられるかと思います。
そちらについては、地球温暖化や高齢化(体温調節が苦手な高齢者増加)、およびリモートワークにより家にいる時間が増えること等から、
エアコンの需要自体は一定伸びていくと考えられるため、
ここでは、既存のエアコン事業にテコ入れするアプローチで
考えたいと思います。」
面接官:
「(なにやらメモを取りつつ)なるほど、分かりました。
いいと思います。続けてください。」
私:
「ありがとうございます。
では、続いて、前段で出した各パラメータに対し、
どこをUPさせられるかを考えたいと思います。
まず、「世帯数」・「エアコン所有率」・「1世帯あたりの台数」は、
エアコンメーカーとして、これ以上あげられる余地が少ないと考えます。
そのため、「買い替え頻度」・「単価」について考えたいと思います。」
私:
「まず、「単価」についてですが、
単価を上げることができる条件としては、下記2つのいずれかです。
・市場を独占する
・差別化する
前者は、エアコンにおいては、既に複数の大手メーカーがおり、
まず現実的ではないと思いますので、後者の「差別化をする」ことで単価を上げるということになります。
エアコンの”部屋を冷やす”という機能は、ある種コモディティ化していると思いますので、そこでの差別化は困難と感じます。
そのため、メンテナンスや取り付けの簡易化(エアコンは取り付け工事や、コードを隠すためのカバー用品だけで数万円かかる場合もある)により、差別化を狙う必要があると考えます。」
面接官:
「なるほど、そういった差別化を行い、「単価」をあげるということですね。「買い替え頻度」については、どうですか?」
私:
「はい、「買い替え頻度」については、
あえて製品を壊れやすくして、買い替えてもらうわけにはいきません。
では、どうやって買い替えてもらうか?という話になりますが・・・
(こんな言葉を並べつつ、頭の中はフル回転)
別の市場をみてみたいと思います。
まさに壊れてもいないのに2~3年で買い替える製品があります。
それが、iphone等のスマートフォン市場です。
エアコンと同様に高価なものですが、
消費者側が好んで新しいものに買い替えます。
そちらを参考にすると、エアコンメーカーも
・最新機種を大々的にアピールする、
・古い機種を返却してもらうことで新しい機種を安く提供する
等のアプローチが考えられるかと思います。
特に、後者については、昨今のサステナビリティのトレンドにも
マッチした取り組みかと考えます。」
面接官:
「ありがとうございます。それでは、本日の面接は以上とさせていただきます。ありがとうございました。」
■まとめ
さて、いかがでしたでしょうか?
今回は、MBBの1次面接や2次面接あたりで出てくるテーマかと思います。
フェルミのQ&Aで聞かれた
「リアリティチェック、および改善ポイント」は、まさに王道の質問でしたね。ご自身で色々なテーマを練習で解くと思いますが、ぜひ解説を見る前に、2つの質問は自問自答していただくと良いかと思います。
また、ケース問題は、”自身ならでは”の回答というものを意識しました。
エアコン・家電等に捉われず、他の市場に視野を広げられることをアピールできたかなと思います。色々な問題を練習する中で、そういったユニークな捉え方・考え方を身につけ、アピールできると良いですね。