劇遊びって何のため?
以前勤めていた保育園では、
毎年2月に生活発表会として、劇遊びと楽器演奏、歌を披露していました。
劇遊びに限らずですが、
発表会、運動会は何のためにあるのか?
誰が主役か?をちゃんと考える事もなく、
初任者の頃は必死にネタを振り絞って取り組んでいました。
均等に割り振りやすい内容の絵本を選んできたり、
見栄えのする衣装や小道具を作ることに必死になる。
上司からのチェックに怯えながら、
先輩たちの陰口に怯えながら、
保護者の方に満足してもらえる物を作り上げなければ・・・
そんな初任者の頃がありました。
こども中心になんて、全然考えれていなかった、あの頃。
発表会で見せれるもの、見栄えの良いものに、
完璧な物を作り上げないといけないという価値観でやっていました。
発表会への意識が変わったのは
年少で「ブレーメンの音楽隊」の劇遊びをやった時から。
5年目、2回目の年少担任。
間で乳児担任もしていたので
発表会の経験は3回目になる年。
その頃はちょうど「妖怪ウォッチ」が大流行していた時期。
動物たちが、山小屋にいる泥棒たちの姿を見て
どうしたら中に入れるかを相談しあうシーン。
動物役の子たちが
「無理って言うの”ムリカベ”(妖怪ウォッチのキャラクター)と一緒じゃん」
「じゃあ、ムリカベみたいに言う?」
という会話から
「むーりー」と言いながら
キャラクターと同じ動きを取り入れる事に。
そこから、他の台詞でも
子どもたちのアイデアがどんどん降りてきました。
練習中のこどもたちの表情も一気に変わった事を覚えています。
自分が必死になって
「この台詞の時はどんな風に言うといいと思う?」
「もっと動きつけてみたら?」
なんて言わなくても、子どもたちからの
自然な「やりたい」の気持ちが芽生えたからこその
盛り上がりにつながったタイミング。
周りからの見られ方ばかり気にして自分中心だった事を深く反省しました。
子どもたちの「やりたい気持ち」があれば
自然と盛り上がっていくのに。
その「やりたい気持ち」を見つけて
育てて、援助していくのが保育者にとって大切な事でした。
発表会、運動会、上司や先輩からの指導・・・
それぞれの環境でいろいろなしがらみや葛藤があると思うけれども、
目の前の子どもたちの「やりたい」を
見つけて、叶えていくこと、
忘れずにいたいですね。