【二次創作小説】ふたりの神城
こちらは「太陽よりも眩しい星」の二次創作小説です。
初めての朔英目線です。
とってもゆるーいお話です。
オチもないです。
広い心でのんびりとお読みくださる方におすすめです。
今でも信じられないけど、神城と付き合うことになった。
付き合い始めてからは、神城が声をかけてくれるので、気づけば毎日一緒に登下校している。
神城と話すのは楽しい。
いくらでも話題が出てきて話は尽きない。
…と思ってたのに。
ある日の帰り道、ふと神城が無口になった。
周りに人がいないので急にしんとした感じになる。
不思議に思って隣を見ると、すごく近くに神城がいた。
え。
神城の右手が伸びてきて、私の頬に触れる。
神城の顔が赤くて、夕焼けがきれいなことに気づく。
え、え。
神城の顔が近づいてきて…。
夕焼けが真っ赤。現実感がない。
え、え、え。
初めて見る神城の顔のアップに頭が混乱する。
神城、こんな顔だったっけ。
こんなにまつげ長いんだっけ。
わーもうムリ!
恥ずかしくて目をつぶった。
何かが優しく唇にふれる。
嬉しくて照れくさくて頭がまっしろ。
耳まで真っ赤になってるのがわかる。
恐る恐る目をあけた。
「か、神城…??」
神城はまだ片手を私の頬にあてたまま、にこにこ笑ってこちらを見てる。
と、ふと顔を曇らせて訊いてきた。
「…いやだった?」
「い、嫌じゃない!嫌じゃないけど、びっくりしただけ!」
「良かった」
柔らかく溶けるように笑う神城のかおを、夢のような気持ちで見ていた。
「後悔したくないから、がまんしないことにしたんだ」
何を言ってるのかな、と一瞬思ったけど、とてもまともに考えられる状態じゃなくてすぐに忘れてしまった。
今日は部活のない水曜日。
学校帰りにふたりでショッピングセンターに来ている。
神城を誘ったのは先週だったのだけど、私が風邪をひいて1週間遅くなってしまった。
神城は「別の日にしない?」と言ってたけど、翠ちゃんの誕生日プレゼントは今日買わないと間に合わない。
じゃあひとりで行くね、と言ったら、神城が慌てた様子で「俺も一緒に行きたい!」と言うので、一緒に行くことになった。
今日の神城はおかしい。
やたらと時間を気にして周りをキョロキョロしてる。
「何か予定あった?私ひとりでも大丈夫だよ?」「え?!いや、べつに予定ないよ。俺も買い物したかったし」
「ならいいけど…」
ショッピングセンター中2階のセンターコートを歩く。
いろんなお店が路面店のようになっている。
まだ外は明るい。
あたたかい日差しと芝生の緑が気持ちいい。
セレクトショップのポーチが目にとまる。
「これ翠ちゃんぽいかな」
「あー、いいかもね」
そう言いながらも神城はそわそわして心ここにあらずだ。
「あの、ほんとに何かあるなら…」
「何もないって!ねぇ、あっちの店は?」
そう言って私の手をつかみ、ぐいぐい引っぱっていく。
突然手をつかまれて思わず真っ赤になる。
神城がこんなに強引なのは珍しい。
すると突然、背後で大きな爆発音がした。
「え…何!?」
ショッピングセンターはたちまち悲鳴に包まれた。
「あー遅かった!」
神城がそう言った気がした。
「岩田、こっち!」
私の手をつかんだまま、神城が出口に向かって走っていく。
わけがわからないけど、一緒に走ってエレベーターへ飛び乗る。
エレベーターは大混雑だ。
乗り込んだところで後ろから押されて、目の前の男性に顔を押し付けることになってしまった。
ブブー!とブザーが鳴って、後ろの人たちが諦めて降りたらしい。
体が動くようになったので、男性に謝る。
「ごめんなさ…」
顔を上げた瞬間、声が出なくなった。
相手も目をみはっている。
か、神城???
今日、私服着てたっけ?
つないだ手の先を見る。
制服姿の神城が、右手で左頬をさわりながら、困った顔で立っている。
あれ?あれ??
神城が…ふたり!?
ポーーーーン
エレベーターが1階に着いた。
「岩田、こっち」
手をつないだ神城にひっぱられてショッピングセンターから離れる。
雑踏の中、こちらを見つめるもうひとりの神城の姿は、すぐに見えなくなってしまった。
1キロは走っただろうか。
雑居ビルの裏に回り込み、ひと息ついた。
ふたりとも汗だくだ。
「か、神城。さっき、神城がもうひとり…」
「うん」
「あれはもうひとりの俺。
事情を話して今日だけは入れ替わってもらった」
どういうこと??
突然の話に言葉が出てこない。
「本当は、岩田と俺はさっきの爆発に巻き込まれるんだ」
「俺は未来からやってきた。岩田を守るために」
神城は柔らかく笑う。
「岩田を助けられて、良かった」
こちらは私の夢に出てきたふたりのお話です。
結構面白かったので、たまほし夢デビュー記念(?)に書き起こしてみました。
二次創作と言いつつ、私の脳みそが夢の中で自動生成したストーリーです。
夢の記憶が残らない派の人間でして、夢は年1回程度しか覚えていません。
その中でこの夢を見たのはなかなかだな!と思っています。
別マ発売3日前、脳細胞が切実にたまほしを欲していたことが証明されてしまった。
札幌市内のショッピングセンターの構造などの考証はしておらず、SF的な辻褄合わせもオチ付けも無視して、勢いのみで書き起こしています。
ご笑納くださいましたら幸いです♡
2023年3月11日
たまほしラヴァーズの端くれ ちー