家を建てた時の覚え書き。
家を建てました。
1年近く経って記憶も失われてきたので、ここ数年、仕事より熱量を注いで勉強した家の新築について、忘れる前に残しておこうと思う。
メモなので間取りも写真もなくて申し訳ない。
建てた家は建坪は35坪に満たない2×6の平家でC値が0.3、UA値が0.36、耐震等級3、基礎断熱の1種換気、冷房リビングの1台、暖房床下の1台の2台を用いた空調。
静岡という温暖な地域に住んでる割に温かさにこだわった家とした。
無事寒くなってきた現在でも家の中で裸足、シャツ1枚でいても寒いと感じることはなく、快適に過ごすことが出来ている。
以下適当にこだわった点を書いていく。この種の内容を話して家人やら住宅会社を説得した内容とも言う。
・家の中の温度、湿度は常に一定であれ。
冬と夏で気温多少の上下はあるにせよ、22~28℃、40~60%を通年、全部屋維持できる家を作る事。そのために電化製品は惜しみなく使っていく。
・通気性なんていらない。気密をとれ。
外の空気に頼らない。365日中、温度湿度とも室内環境を上回る空気を取り込める日が何日あるというのか。吸気排気共にコントロールできる一種換気と高気密で室内環境を完全にコントロール下に置くべき。
窓は、開けない。C値は最低ラインを0.5とする。
・窓は樹脂のトリプル。
樹脂ダブル以下の窓なんて存在を許すべきではない。室内環境だけで考えるなら最良の家は壁だけでつくられた四角い立方体である。そこにやむを得ず窓という開口部を開けて、気密、断熱ともに劣った状態を作るという事を理解する。窓とは穴だ。穴を最低限埋めているといえるのは樹脂サッシのダブルからで、アルミやら複合やらは穴だ。
・開けない窓は開かなくていい。
そもそも窓は開けないが、それでも日本の住宅ルールでは窓は開けられなければならない。開けないのだから基本的に一番気密の稼げる滑り出し窓を主とする。引き違い窓?あれは穴だ。リビングから庭に出るのに引き違いの方が出やすい、なるほど。たまーに使う出入りのためにどうして年中生活する空気を犠牲にせねばならないのだ。引き違い窓は一個も使わない。はめごろしはどんどん使っていく。
・洗濯物は室内に干す。
湿度温度がコントロールできているならあとは風の流れさえあれば室内干しで十分洗濯物は乾く。乾燥とは熱で行われるわけではない。夏は除湿機を使って、冬は空気だけ動けばいい。室内で干すのだから、洗濯機、物干し場、クローゼットは至近距離にあるべきで洗濯物を運ぶという行動を限りなく無くす。
・風呂とトイレに開口部はいらない。
窓も換気扇も要らない。トイレは一種換気とトイレ本体の脱臭機能で十分、風呂も換気扇はいらない。換気扇というのは部屋の空気を出して、外の空気を取り込む機械のことである。先に述べた通り、外の空気が室内の空気を環境面で上回ることはほとんどない。風呂を乾燥させたいというのであれば、家の中の湿度が安定してれば、空気の流れがあればそれで足りる。風呂に空気を送り込めばそれで十分乾燥する。隣室とつなげて空気を吐き出すパイプファンでもつけておけば十分。当家の間取りは隣室に室内干しのランドリールームとしたので、洗濯物の空気の流れを作る意味でも役に立って一石二鳥。
・キッチンには換気扇を付けざるを得ない。
キッチンの換気機能について、個人的にベストはキッチンを窓側に設置したうえで、壁側に電源連動のシャッターを付けることだと思う。高気密で一種換気である以上、排気だけはありえない、負圧式のシャッターも馬鹿げてる。一番は室内の空気に影響が限りなく少ない近場にシャッターを設置すること。でも我が家は間取り的に不可能だったのでやむなく同時給排にした。ぶっちゃけ給気が足りないので換気扇回してるときは玄関ドアが重い。仕方ない。給気のダクトについては結露の可能性が非常に高いので、しっかりとした断熱をすること。
・じゃあ塗装ブースはどうするのよ。
塗装ブースはぜったいに付けたい。でも気密考えると常設は無理。エアコン用の穴開けて使うときにダクト出すならどうか。気密と断熱考えると無駄な穴はあけられない。ということで、使用時は窓を開けて、そのサッシにはまるダクト枠を作ってはめて排気するようにした。
給気は同じ部屋の窓を開けて、一部屋だけで空気を回して他の部屋には外気が行かないようにする。
・ベランダもバルコニーもいらない。
外干ししなけりゃ使うことはない。
・間取りは自分の想像力を信じる。
設計士さんは常識的な間取りを提案してくれる。素晴らしい。しかし、使うのは最大公約数ではなく自分たちなのである。設計士さんの話を聞くのもよい。本を読むのもよい。インスタを見るのもよい。ただし決めるのは自分の妄想力に従って行うべきだ。結果僕の私室兼寝室は3畳になりました。
・ギリギリまで情報は仕入れ続ける。建てたら仕入れない。
色々な家の作り方が新たに考えられ、建材が発売されている。発注した業者さんが最先端を走り続けられるわけではない。自分で調べて、自分で提案して、完成した後は悔しい気持ちにならないように忘れよう。建築途中に発売されたあのドア使いたかった。
・妄想が実現するのは楽しい。
数千万つぎ込んでの買い物なので、そこに住む自分がどのようになるかを妄想し続けた。朝起きて寝るまでどんな回遊をするのか。どんなところに長く居るのか。どんな感情を抱くのか。考えに考えて、それが叶う家を設計してもらって、それが形になる。とても楽しかった。人生最初で最後の経験とするつもりであるが、毎日満足感に浸りつつ寝ている。3億当たったら20年後また建てたい。
実家も築10年ちょいの比較的新しい大手ハウスメーカー製の家であるが、その寒さに1年新居で過ごした後は正月に行って驚いた。
今は性能を売りにした一条が売れて桧家がZ空調で全館空調を全面にしたりしてだんだんと住みやすさについて広まってきたように思う。
住みやすさとは収納とか間取りだけではないということが世の中に広まればアルミサッシは撲滅されると思う(過激派
リフォームでも2重窓が及ぼす影響力は是非知ってほしいし、補助金が出たりもするので少し考えてみてほしい、と実家の人に思うが中々伝わらない。
「家のつくりようは夏をもって旨とすべし」と兼好法師がいった言葉がいまだに残り、風通しや日当たりなどが重視される。そういう土壌の中で冬寒くてもいいとすら思える家が作られるわけであるが、もし、このメモを読んで家を建てる人がいたのならば、今までの常識や思い込みや経験を一切廃して、住みやすい家が建つことを切に願う。
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