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ごちゃ混ぜの妙(展示の話)
アンデパンダンて何なん、的なことを前回の記事で書きました。
そういう難しいことはさておき。
今回はアンデパンダンに出品した、一参加者でもあるのでその感想です。
個人的にはグループ展全般、自分の思い通りにはならないものだ、と考えています。
とは言え、キュレーターがいたり、ある程度コンセプトがまとまっているグループ展の場合は事前に打ち合わせをしたり、「展示を作り込む」ということがあったりもします。この場合は思い通りを目指します。
逆に、今回のアンデパンダン展に関しては、それらが全くできない、というのが非常に面白いと感じています。搬入当日まで、どの場所に展示するかも、隣に誰の作品が来るかもわからない、という未知の状態での展示作業となります。
そして今回は結果的に、上田章子さんの作品が私の作品の上に来て、壁面上でコラボという感じになりました。私の作品が無機質な感じなのに対して、上田さんの作品に宿る情緒的なものが良い味わいになって響いているように感じました。
今回は結果的に良い感じになりましたが、場合によっては、ぶつかり合う作品が来ることも想定されます。そしてそれもまた良し、としないと、この展覧会は楽しめないかもしれません。
かつて、大学四年生の頃にグループ展を企画した時に面白い出来事がありました。(また学生の頃の話になりますが)
CASOという大阪港あたりにあるギャラリーを貸し切って、グループ展(的なイベント)を企画しました。絵画系の作家や、立体系、映像系、ダンサーなど多岐にわたるメンバー構成でした。
CASOというのはとても大きいギャラリーで、全部で4室くらい広い展示空間があるのですが、そのうちの1つの空間を、私と立体の作家さんとの2人で展示することになりました。
その展示作業中にとある事件(?)が発生しました。
事件というのは、「立体作品の影が私の絵画作品の上にかかる」ということだったのですが、その立体の作家さんは「すいません!!どうしましょう!?」という感じで気にしてくれていました。(この作家さんは作品もですが、人柄的にも素晴らしい人でした)
通常、絵画の展示だと、他の作品の影が絵にかかるというのは基本的にNGなのだと思います。
しかし私はこれは素晴らしいことだと感じて、そのままでぜひ!!とお願いしました。
具体的にどういった作品だったかというと、私の作品は全て草むらを描いた絵画作品で壁4面をぐるりと取り囲む感じの展示でした。一方の立体作品は鉄のワイヤーで作った飛行機の作品でした。床置きの飛行機もあるのですが、そのうちの1つを天井から吊るしたため、壁面(絵画)に飛行機の影がかかった、という感じです。
私の作品が主題をなくした背景だけで構成したような、全面草むらという作品だったこともあり、飛行機の影は素晴らしくマッチしているように感じました。
(というか、そもそも4面全面に展示しているので、影がかからない訳がない。。)
この時に初めて、グループ展ならではの、自分の想定外のことが起こる面白さ、というものを感じました。当然、想定外のことが何でもかんでも良いわけではないですが、自身の作風的にある程度のことやものは許容できる感じがしています。
また、私の作品は基本的には絵画作品なのですが、画面の中で完結するのではなく、どこに(どのように)展示するのかというのも大きな興味の対象だったりします。それは絵画が画面の外の影響を受ける(あるいは絵画が画面の外へ影響を与える)ことへの興味ということになります。
さて、話をアンデパンダンに戻すと、あの時にCASOで体験したようなことが起こることを少し期待しているのかもしれません。これほどまでに展示がどうなるのか読めない展覧会は他にはなかなかないので、これから先もそのうち何か起こらないかなーと、密かに楽しみにしておきます。
実際は、そんなことはなかなか起こらないんですけど。