「新卒でスタートアップ」という選択肢。
こんにちは。すべての経済活動を、デジタル化したい一ノ宮(ichi)です。
LayerXというスタートアップで新卒採用責任者をしています。
この間まで寒かったと思えばすぐに暖かくなり、気づけばすっかり春ですね。
今年も就活が解禁。学生の皆さんにとっては大変な時期が始まりますが、同時に人生を左右すると言っても過言ではない重要な意思決定の機会でもありますので、ぜひ真剣に取り組んでいただけたらと考えています。
本noteでは、自身の経験を踏まえ
・「成長」を軸に就活・インターンに臨まれる方
・「スタートアップ」という選択肢を少しでも考えている方
に向けたメッセージを綴りたいと思います。(25卒に限らず、活動中の方にお読みいただきたいです)
「成長」に必要な“裁量”…ってなに?
このnoteを見てくださっている方のほとんどは、「成長」を求めていらっしゃるのではないかと思います。
そもそも、「成長」とは何を指しているのでしょうか。
また、そんな皆さんが何度も耳にしたことがある「成長するためには裁量が必要だ!」という話、あれはなぜなのでしょうか。
結論から申し上げると、
・「成長」とは、良質な意思決定を繰り返すことで職能・精神的な強さを得ること
・“裁量”は、成長のキーファクターである意思決定の質と量の両方を指しているワード
・「成長」のために必要なのは、意思決定の質と量=“裁量”
ゆえに、成長するためには裁量が必要と言われているのではないかと考えています。
あえて意思決定の”質と量”に言及したのは、意思決定には種類があると考えているためです。
既に結果がわかっている(もしくは概ね予想がつく)状況での意思決定と不確実性の高い状況での意思決定、求められる能力や覚悟に雲泥の差があるのは説明するまでもないと思います。
成長を求める方が経験すべきは間違いなく後者ですが、それは「タスク(作業)」ではなく『イシュー(課題)』に向かう過程でこそ生まれる、質の高い意思決定=成長機会だからです。
また、そうした機会が多くある環境こそが“裁量”のある環境だと言えるのではないでしょうか。
成長機会を生み出すのは、急速な事業成長
一方で、「そのような意思決定は、既に先輩社員が担っているのでは?」という素朴な疑問が浮かぶと思います。そして、残念ながらその疑問の回答は概ねYesです。理由は至ってシンプルで、成功を狙って行う重要な意思決定は成功確率の高い人が行うべきで、成功確率は解像度に比例するためです。
皆さんより長く従事している先輩社員は、ほとんどのケースで皆さんより社内外の解像度が高いことでしょう。そのため、重要な意思決定の多くは(解像度の低い)自分たちに回ってこない、という事象は然るべきなのです。
一方で、例外はあります。
それは、事業成長に伴い意思決定の複雑性/重みが増しつつ総量が増えるのに対し、組織のキャパシティが追いつかない時に生じる“ギャップ=浮いた意思決定”です。
これこそが、本来得られるはずのなかった質の高い意思決定=成長機会であり、組織の成長が追いつかないレベルで事業が成長している(事業成長<>組織成長のギャップが大きい)会社にはゴロゴロ転がっているのです。
「イス(意思決定者というポジション)が空くのを待つ環境ではなくイスが生まれ続ける環境を選ぶべき」とよく言われますが、その真意はこのような背景があるからではないでしょうか。
現代のexcellent companyか、未来のexcellent companyか。
皆さんから「では、結局どこがいいの?」と言う声が聞こえてきます。
そんな皆さんに一つ質問を投げかけてみたいのですが、皆さんは「現代のexcellent companyはどこでしょうか?」と聞かれたら、どんな会社を挙げますか?
私なら、高度成長期から日本経済を支えてきた大手企業(NTT、トヨタ、サントリー、ファーストリテイリングetc…)や、わずか十数年で日本を代表する企業となったインターネットカンパニー(楽天、サイバーエージェント、DeNA、GREE、メルカリetc…)を挙げます。
これらの企業は、多くの方々にその社名を認知されるとともに時代の変化に適応することで厳しい競争環境においても事業を伸ばし続けている、文字通りのexcellent companyです。
ここでもう一つ質問です。
「そんなexcellent companyの中核にいるのは、どんな人物でしょうか?」
私なら、「時代の潮目に、大きな波を起こす側の立場でコトに向き合ってきた人」と答えます。
例えばですが、メルカリの山田進太郎さんやGREEの田中良和さんなど、インターネットという大きな波が起こった時代を象徴する企業の経営者は、創業期の楽天さんにいました。
そして、次世代を担う経営者候補と注目されている人たちは、創業期のサイバーエージェントやDeNA、GREE、メルカリといった企業出身であることが多いです。
ここまでいくと単なる偶然では片付けられないと思っています。(私はその時代を経験していないので)あくまで類推ですが、彼ら彼女らはインターネット黎明期の爆発的な事業成長の中で数多くの意思決定を経験してきたからこそ、現代を牽引するビジネスパーソンになっているのではないでしょうか。
テクノロジーの進化が激しいインターネット業界には、10年おきにその後の10年を象徴するような会社が生まれているという面白い歴史がありますが、アナロジーで考えると次の10年を象徴する(爆発的な事業成長の最中にある)企業は実はもう皆さんがリーチできるところに存在している可能性が高いです。
また、昨今のLLM(Large Language Model=大規模言語モデル)をはじめとしたソフトウェア技術の爆発的成長&Open化の波には、インターネット黎明期のそれに近しい雰囲気を感じています。
これらの理由から、時代の潮目と言っても過言ではない現代を生きる皆さんには波を起こす側になれるチャンスがあると思います。
確実な正解は存在しませんし現代のexcellent companyでの学びも非常に多いと思いますが、社会への価値発揮を通じた自身の「成長」を渇望し、志高くベンチャー・スタートアップを検討中の皆さんには、ぜひ次の10年のスタンダードを作る側(未来のexcellent company)への挑戦も一考の余地があるのではないかと思います。
キャリア選択は、投資に似ている
最後に、キャリアの思考法についての話をしたいと思います。
キャリアは、ある意味株式投資と似た側面があると考えています。株は時価総額が低いうちに(リスクを負って)投資してその会社が成功すると儲かる仕組みですが、実はキャリアも同じです。リスクを負って入った会社が成功するとその中核にいればいるほど自身のプレゼンスも上がり、結果的に(経済的な報酬はもちろん)キャリアのアップサイドがぐんと上がるのです。
唯一の大きな違いは、投資する対象がお金(代えきくもの)か時間(代わりのきかないもの)か、ということです。
“時間”は皆に等しく与えられた唯一無二のリソースであり、就活はその投資対象を決める非常に重要な意思決定ですが、だからこそ自分の目で視て耳で聞き、時には実際に触れてみた上で真剣に考えて選んでいただくと、自ずといい意思決定になるのではないかと思います。
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