「家族」って何だろうねという話
結婚して夫と「家族」になった。
一緒に暮らしていた期間もそれなりにあったので、これまでと違う苗字で呼ばれても、クレジットカードや診察券の氏名部分を直して再発行されても、何も変わらない日が続いていくと思っていた。
けれど、直ぐに数々の課題がのし掛かってきた。
携帯の家族プラン。加入保険の見直し。一軒家を構えるかどうかの決断。子どもを持つかどうかの決断。今後の希望配属先の決断。
結婚10か月近く経っても、未だ何一つ考えられていない。
私の希望も自分の希望と同じように尊重してくれる夫に申し訳ないないぐらい、私は何も考えられないし何もかもが怖くて仕方がない。
私は結婚に向いていない人間だったのである。
私はただ、夫と夕食を作って散歩に行ってSwitchをして直売所に行って知らない道をドライブして博物館に行って回転寿司を食べて寝室で互いにスマホを見ながらゴロゴロして、そんな日々が永遠に続きさえすればよかったんだ。
幼少期から繰り返し妄想していた世界がある。
そこは大きなリビング。愛する人、広いソファ、大きなテレビ、沢山のお菓子。
それらを享受するだけで生きていける世界。
そんなものは、存在しなかったのだ。