廃棄プラスチックを救おう!(日本におけるプラスチック廃棄物の現状とリサイクルの展望)
日本国内におけるプラスチック総排出量は約850万トンとされています。そのうち約半数が産業廃棄物として排出されていますが、その中で再生可能な混合プラスチックが占める割合やリサイクルの推進に必要な情報について詳しくまとめてみます。
1.日本国内に於けるプラスチックの総排出量
日本国内で年間に排出されるプラスチック廃棄物の総量は、約850万トンです。この数字は家庭から出るプラスチックごみと、産業活動から出るプラスチック廃棄物の合計を示しています。
2.プラスチック排出物の内訳(埋立、焼却、輸出、リサイクル)
最新の統計によると、日本国内のプラスチック廃棄物の処理方法の内訳は以下の通りです
埋立:約10%
焼却:約60%(うち一部はエネルギー回収)
輸出:約15%
リサイクル:約15%(マテリアルリサイクルおよびケミカルリサイクルを含む)
3.プラスチックのリサイクル手法
プラスチックリサイクルには主に以下の手法があります。
マテリアルリサイクル:廃プラスチックを粉砕・洗浄して再びプラスチック製品の材料として利用。
ケミカルリサイクル:廃プラスチックを化学分解してモノマーや油分などに戻し、新しい化学製品やプラスチック製品の原料として使用。
固形燃料化(RDF、RPF):廃プラスチックを固形燃料に加工し、エネルギー源として利用。
バイオプラスチック開発:再生可能資源から作られるプラスチックの研究開発。
生分解性プラスチック:自然環境で分解するプラスチックの研究開発。
4.リサイクル処理量
マテリアルリサイクル:約1.2百万トン
ケミカルリサイクル:約0.3百万トン
固形燃料化:約2.0百万トン
その他(バイオプラスチック、生分解性プラスチック):0.1百万トン
5.リサイクル手法のメリット、デメリット、成長率、政策と法規制
a)マテリアルリサイクル
積極的に取り組んでいる企業や団体
企業:トヨタ自動車、ユニチカ、ダイキン工業
団体:日本プラスチック循環協会(JPRA)
最新技術の詳細紹介とそのプレイヤー
技術:近赤外線(NIR)分光装置による高精度なプラスチック分別
プレイヤー:TomraSortingSolutions、Satake
メリット:資源の再利用による資源節約、CO2排出削減。
デメリット:汚染されたプラスチックの処理が難しく、品質管理が必要。
成長率:徐々に増加中。
政策と法規制:プラスチック資源循環法が施行され、リサイクル活動の促進が進められています。
b)ケミカルリサイクル
積極的に取り組んでいる企業や団体
企業:BASF、SABIC、MitsubishiChemical
団体:化学産業協会(JCIA)
最新技術の詳細紹介とそのプレイヤー
技術:熱分解炉、ガス化装置、解重合装置
プレイヤー:BASF(ChemCycling)、SABIC(Trucircle)
メリット:プラスチックの種類や汚染度に関係なくリサイクルが可能、高品質のリサイクル材が得られる。
デメリット:設備投資が高額、エネルギー消費が大きい。
成長率:新技術の開発とともに急速に成長中。
政策と法規制:環境省や経済産業省が補助金を提供し、技術開発を支援。
c)固形燃料化(RDF、RPF)
積極的に取り組んでいる企業や団体
企業:JFEエンジニアリング、三井造船、Kobelco
団体:日本廃棄物燃料化協会(JWMA)
最新技術の詳細紹介とそのプレイヤー
技術:RDF製造設備、RPF製造設備
プレイヤー:JFEエンジニアリング、三井造船
メリット:燃料として利用できるため廃棄物の減量化に寄与。
デメリット:燃焼によるCO2排出が問題。
成長率:安定的に推移。
政策と法規制:廃棄物処理法に基づき、適正処理が求められます。
d)バイオプラスチック開発
積極的に取り組んでいる企業や団体
企業:トヨタ自動車、伊藤忠商事、三菱化学
団体:バイオプラスチック協会
最新技術の詳細紹介とそのプレイヤー
技術:ポリ乳酸(PLA)、バイオポリエチレン(Bio-PE)
プレイヤー:トヨタ自動車、三菱化学
メリット:再生可能資源から作られるため、石油資源の使用を削減。
デメリット:生産コストが高い。
成長率:市場の拡大に伴い成長中。
政策と法規制:政府のグリーン成長戦略の一環として推進。
e)生分解性プラスチック
積極的に取り組んでいる企業や団体
企業:三菱化学、カネカ、ダイセル
団体:日本生分解性プラスチック協会(JBPA)
最新技術の詳細紹介とそのプレイヤー:
技術:ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリ乳酸(PLA)
プレイヤー:三菱化学、カネカ
メリット:自然環境で分解するため、海洋プラスチック汚染を防止。
デメリット:特定の条件下でしか分解しない場合がある。
成長率:環境意識の高まりとともに成長中。
政策と法規制:環境省が推進するプラスチックごみ対策の一環として促進。
6.リサイクル手法による出口戦略と製品事例
a)マテリアルリサイクル
企業:トヨタ自動車、ユニチカ、ダイキン工業
技術紹介:トヨタ自動車では、使用済みバンパーを粉砕・洗浄して再生プラスチックとして利用しています。
製品事例:再生プラスチックを利用したバンパー、再生樹脂から作られたデッキ材、リサイクルポリエステルを使った衣服。
b)ケミカルリサイクル
企業:BASF、SABIC、MitsubishiChemical
技術紹介:BASFのChemCycling技術では、廃プラスチックをモノマーに分解し、新しいプラスチック製品の原料として再利用しています。
製品事例:再生モノマーから作られたプラスチック容器、リサイクルオイルを利用した燃料。
c)固形燃料化(RDF、RPF)
企業:JFEエンジニアリング、三井造船、Kobelco
技術紹介:JFEエンジニアリングのRDF製造設備では、廃プラスチックを固形燃料に加工し、エネルギー源として利用しています。
製品事例:RDFを利用した発電、RPFを燃料とするセメント工場。
d)バイオプラスチック開発
企業:トヨタ自動車、伊藤忠商事、三菱化学
技術紹介:トヨタ自動車では、ポリ乳酸(PLA)を用いて車内の内装部品を製造しています。
製品事例:バイオポリエチレンを利用した包装材、バイオポリマーを利用した消費財。
e)生分解性プラスチック
企業:三菱化学、カネカ、ダイセル
技術紹介:カネカのポリヒドロキシアルカノエート(PHA)技術では、廃棄物から生成したPHAを用いて生分解性の包装材を製造しています。
製品事例:生分解性プラスチックを使用した食品包装材、農業用フィルム、海洋プラスチックごみ対策製品。
7.まとめ
日本のプラスチックリサイクルは、マテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、固形燃料化、バイオプラスチック開発、生分解性プラスチックの各手法を通じて、環境保護と資源の有効活用を推進しています。リサイクルの成長と成功には、技術革新、政策の支援、企業と消費者の協力が不可欠です。これらの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現が期待されます。
本ページでは、今後も上記内容の最新の情報と技術をより詳しく説明していく予定です。この情報が、様々なリサイクル活動の一助になればと思っています。