覚書~もうゲームイラストはだめだ~
最初に注意書きですが、これは今の世情を批判しているわけではなく、私がもうこの界隈に興味が持てなくなったという個人的な覚書です。一人のゲームイラストに惹かれ憧れ、イラストレーターを目指した人の回顧録です。
子供のころはゲームは輝いていたんです
時は小学生時代。初代ポケモンや、スーパーファミコンのFF、ドラクエ、クロノトリガーなどがどんどんリリースされていた時代です。私も例に違わずそのゲームの躍進に惹かれ、毎日ゲームをしていた小学生でした。また同時にゲームの絵をかくことも大好きだったのです。
当時は絵をかいてると「将来は漫画家になるの?」と言われるくらい、ゲームイラストっていうのは市民権を全く得てない時代。当時の私のバイブルは説明書や攻略本に乗っているゲームの挿絵(コンセプトアート)でした。
そんなこんなで中学生にもなれば、趣味でゲームの二次創作を描くようになり、同人誌もだし、コミケにもいくようになりました。次第に。将来はゲームのイラストを描きたい!キャラクター立ち絵とか!って思っていました。
イラストレーターと名乗れるくらいには収入を得ることができたが…
その後社会人になっていろいろあり、イラストレーターを目指そうと本気で思い勉強したのが2014年です。やはりゲームが好きだったので、ゲーム系の絵を描くことを目標にしていました。
当時はゲームイラストといえば昔のようなコンシューマーではなく、どちらかといえば、スマホ普及によりソーシャルゲーム界隈が挙っていろいろなゲームを発表はじめていた時期です。ソーシャルゲームは私はそこまで興味はありませんでしたが、ゲームイラストには違いないと思い、お仕事を受けていくことになります。
ご縁も多々あり、いろいろなソーシャルゲームのお仕事をやらせていただきました。実績が出せるものがほぼないのですが、現在に至るまでお世話になっております。初期は依頼も収入も微々たるものでしたが、今では扶養家族を外れるくらいには、稼げるようになりました。イラストレーターと名乗っても差し支えないかな、と個人的には思っております。
ゲーム界隈に求められるイラストはもう完成されている
お仕事のイラストはビジネスですので、自分の好きなものが描けるわけではありません。当然といえば当然なのですが、最近特に思うのはお手本がもうすでにあるということです。いやもちろん仕事ですからマニュアルがあるのは当たり前ではあるのですが、そういう意味ではなく、
絵を描くというアーティスティックな仕事のわりには、納品物の目指すもの、ゴールが決められている
という、この点に私はやりがいを感じられずにいました。
もう少しわかりやすくいいますと、ゲーム(特にソーシャルゲーム)のイラストに求められているのは キャラの魅力・パースの正しさ・豪華さ なのです。もっと雑にいえば、バズるイラストです。
…もちろんそれも「ビジネスなんだから当たり前やろ」っていうところではあるのですが、少なくとも私が子供のころのゲーム黎明期はそんなこと度外視のもっとすごいもの作ろう!もっと他と違うもの作ろう!もっとぶっ飛んだもの作ろう!みたいな、次はどんなものが出てくるんだろう、っていうワクワク感がありました。
今のゲームはそんなぶっ飛んだ冒険している作品は少ない印象です。でも世の中的には今の方が都合がよい部分が多い。「こういうのを作ればいい」っていう見本があるのですから、「どうすればよりよくなるか」っていう研究に時間と費用を使う必要がない。また絵描き的にも、「イラストレーターになるには、キャラを可愛く、パースを正しく、モリモリ盛った絵を描けばいい」と、イラストレーターになる指針がもうすでにわかっているわけですから、イラストレーターという職業自体が一部の才能ある人だけの職業ではなくなってきているはずです。
「私」はやっぱり無人島開拓する方が好きだなあ
年を取るとそんな毎日が輝くことないのかもしれませんが、私はやはり、年を重ねても無人島を開拓することにワクワクを感じずにはいられません。完成したものを作り続けるのは、やはりやりがいが感じられません。
…なので、もうゲームに固執することをやめようと思います。今でもプレイしているゲームタイトルはいくつかありますが、進んで追うことはもうしないかなあと。もうゲームの界隈は開発されつくされてしまった。これ以上、劇的な進化を遂げることはそうないんじゃないかと思います。(VRはまだ発展の余地がありそうですが)
どこまでも発想があまのじゃくだなあとしみじみ思いました。