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悲愴な物語 (櫻坂46『自業自得』)

櫻坂46 9th single『自業自得』の音源が昨日公開されました。

やりきれない話だな、ってのが率直な感想です。

そして「自業自得」というフレーズをどう考えるか。
これによって物語の方向が完全に変わってゆく気がしますので、
私の感じたことを書き留めておこうかなと。


さて「自業自得」というフレーズ。

「別れたのはお前のせいだ、自業自得だ。」
と相手に強く言い放った言葉なのだと1サビ時点では感じていました。
ところが物語の進行につれて、異なった含意がある気がして。

相手を強く突き放している割に、主人公も未練が残っているんですよね。

「真っ赤な血がまだ流れてて瘡蓋になっていない」とか。
「君からのI love you!許してしまえば繰り返すだけだ」とか。


  復縁せずに相手を拒絶すれば、もう傷付かずに済む。
  でも別れた時の傷が今も癒えていない。それほどに相手を忘れられない。

  まだ迷ってるんだ。復縁すればまた傷付くなんて分かってるのに。


そんな葛藤を抱える主人公。

そしてラスサビで再度言い放った「自業自得」という言葉。
もはや自分自身に言い聞かせているとしか考えられなくなりました。

「結局自ら傷付く道を選んでしまうのか、私も自業自得だな。」
とダメな相手を許してしまう愚かな自分に対するメッセージであると。


そう考えると、2Aの歌詞も虚しさを感じます。

泣いていたって
君らしくない
ずっと強情でいて欲しかった
振り向いても
そう何も始まんない
Da da da down!

「自業自得だ」と言い放った私に対し、
「それでももう一度付き合いたい」と相手が涙して縋りつくシーン。

しかし、これも自分自身に対する俯瞰的なメッセージに捉えられそうだなと。

  泣いてしまうなんて私らしくない。
  ずっと強情でいたかった。
  ずっと君を拒絶し続けたかった。
  君に執着しても何も始まらないから。
  また私が傷付くだけだから。


こうした解釈もあるのかな、なんて頭の片隅に置きつつ、
この物語をコンパクトにまとめておきます。


『自業自得』の物語



どういうつもりだ?
あんな別れ方をしておいて今さら復縁しようなんて。
寂しさから逃げるな。私を裏切ったのは君だろう?

自業自得だ。

泣いてまで縋りつくなんて君らしくないな。
君にはずっと強情でいてほしかった。

もう終わった関係なんか戻せない。
そうやって涙して傷付くことで分かっただろう、私達が愛し合っていたことに。

そうだ、私達は愛し合っていた。
それなのにあんな酷い別れ方をしてしまったんだ。
その時にできた心傷は今も治らないままで。

本当にこれでよかったのか?
別れる選択は正しかったのか?
復縁すれば傷は癒えるのではないか?

でもここで君を許してしまえば、また傷付くことになる。
別れる選択をした過去の自分を裏切ることになる。
こんな自問自答を繰り返し、未だ復縁すべきか決められずにいる私。
そこで導き出した答えは、

理屈よりも感情で生きること。
自分の思いのままに生きるということ。

終わった恋なんて忘却の彼方。
一度別れてしまったことなど忘れて、その続きを始めよう。

そしてまた傷付いてしまうのだろう。
そんなこと分かっている。
分かっていても…。

愛とは自業自得だ。




なんだか、やりきれない話ですね。
もっと幸せな選択は無かったのでしょうか。


それでは。

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