50歳でアメリカの大学生になってみたら⑭〜劣等生から優等生になる方法〜
二学期目が半分くらい過ぎた頃、カレッジから一通のお知らせがきました。
Honors Program(オーナーズ・プログラム)への招待状でした。
それは、優秀な成績の学生が入れて、能力をさらに向上させるために特別に組まれたプログラム参加できる招待状でした。
私のカレッジは、このプログラムに参加した80%の学生がUCLAなどのランクも高く質も良い四年生の大学に進学しているという実績もあるそうです。
(詳しくはまた別の機会にお話しします)
私は高校時代、職員室に呼び出されたり、放課後居残り補習を受けたりしていた劣等生でした。
特に英語は大の苦手で、大学受験にも失敗しました。
そんな私がオーナーズ・プログラムの招待を受けるなんて、夢のようでした。
人生何が起こるか本当にわからないものですね!
良い成績を収められる理由
高校時代からブランクのある私が、すべてのクラスで良い成績を収め続けられている一つの理由に、
カレッジに通う前にGEDの勉強をしたことが大きいと思います。
※GED:General Educational Development(アメリカの高卒同等の学力があることを証明する資格)
GEDの勉強をして良かった
前回のブログで、GEDのレベルは中学程度と言いましたが、カレッジに通う前にGEDの勉強をして本当に良かったと思うことは、
・数学や化学などの忘れていた公式などを思い出せたこと
・数学、理科などで使う普段使わない英単語を覚えられたこと
・アメリカ流の計算の仕方を学べたこと
・ヤード・ポンド法を理解できたこと
などがあります。
具体的に数学で説明したいと思います。
しっかりと基礎固め
社会人大学生と言っても、まだまだ高校時代のことを覚えている20代であれば、解き方は覚えているかもしれませんが、私はすっかり忘れていたので、小学校レベルから数学を学べたことは、基礎をがっちりと築けたことが自信になっています。
「数学に英語力は関係ないでしょ?」と言われたことがありますが、実際は関係あります。
GEDの勉強をする前は、英語で分数も言えなければ、累乗も分かりませんでした。もっというならば、掛け算、割り算の単語さえも知りませんでした。
そして、優しい計算でも応用で文章問題が出てくるとわからなくなったり、アメリカはメートル法ではないので、ヤードやマイルなどを使った問題が出てくると頭が真っ白になることもしばしばありました。
日本で習わない表記法
GEDで学んでおいてよかったことの一つに、日本で習った記憶のないScientific Notationというものがあります。
日本語だと科学的表記と訳されるのかな?
これは大きな数字や小さな数字をわかりやすく表記するもの。
10の2乗は、100。10のマイナス2乗は、0.01。と言った感じで
10の何乗という表記をします。
これは数学だけでなく、化学や生物、そして心理学のクラスでも使いました。
アメリカでは小学生の頃から、親しんでいる表記のようなので、もちろん各クラスで詳しく教えてくれません。
アメリカ流の計算方法
日本で習った計算方法でももちろん解けます。
ただ、ディスカッションなどで、解き方を順序立てて説明する時、日本で習った解き方で説明すると、「どうしてそうなるの?」と聞かれたことが数回あります。
アメリカ流の解き方で説明する方が、楽なので(課題がいっぱいなので、時間を他のことにまわしたいため)、アメリカ流の計算の仕方を覚えられて良かったと思っています。
例えば、因数分解のたすきがけ。
私は、たすきがけで解くのが好きだったので、それを用いたら、質問攻めに合いました。
アメリカでは、たすきがけがないことをその時に知りました。
基礎は大事だと実感
そんな、ほんのちょっとしたことですが、私にとっては大きいものでした。
もしGEDの勉強していなければ、数十倍もカレッジの勉強は難しかったことは想像できますし、優秀な成績を収めることもできず、カレッジを辞めていたかもしれません。
題名に劣等生から優等生になる方法と書きましたが、要は基礎からしっかり学び、理解しているかどうか、これに尽きると感じています。
私が中高校生の頃は、ろくに授業も聞いていなかったし、宿題もやったりやらなかったり、テスト勉強もあまりしませんでした。
当たり前ですが、だから劣等生になっていたわけです。
今は学べることが嬉しくて、楽しくて、授業も100%集中して参加して、課題も全力でこなして、テスト勉強も惜しみなくしています。
急に頭が良くなったわけではありません。
毎日のコツコツが結果に繋がっただけなんだろうなと思っています。
オチが当たり前すぎて申し訳ないです。
日本の数学教育は素晴らしい
余談ですが、もう一つ優等生になれた理由に、日本の数学教育の素晴らしさがあると感じています。
それは勉強が嫌いだった私でも一年ほどやり直せば、GEDの数学の得点は、学校始まって以来の高得点を取得できました。
これはきっと私だけでなく、日本で教育を受けた人が、数学のGEDテストを受けたら、高得点を取得できると思います。
なぜなら、掛け算や割り算が苦手で、補習を受けている人も多かったからです。
そして4科目合格が必要なGEDテストにおいて、多くの人が数学だけが合格できず、GEDを取得できないという現実を見てきました。
日本の数学は、素晴らしいレベルで教えてくれていたのだと、何十年も経った今、とても感謝しています。
つづく