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50歳でアメリカの大学生になってみたら⑦〜大人になってからのスピーチクラスは楽しい〜

スピーチのクラスは、一番受講してみたかったクラスで、4年制のカリフォルニア州立大学に編入する場合は必須科目なので、迷うことなく最初に登録しました。

私はスピーチが大好き。聴くのも自分がスピーチするのも大好きなのです。
その理由は、人前で話す時、登壇するその人の持っているものが、声、姿、ジェスチャーを通して見えるから好きなのです。
自分が登壇する場合、パーっと目の前に広がる観客のエネルギーが伝わってくるのが好き。

とは言っても私は内向的で、今の田舎暮らしがとても性に合っていて、普段は家と庭で過ごすのが好きなのですが、スピーチは私にとって「生きている!」と感じられる特別な存在。
これまでの人生もスピーチをしてきたし、これからの人生もスピーチは続けていきたいと思っています。

さて、前置きはこのくらいにして、私のスピーチクラスは、ほとんどが高校卒業したての人ばかりで、緊張しながらクラスの前でスピーチする姿は初々しくて、彼らのスピーチを聴くのが大好きでした。

私のクラスは、合計で7つのスピーチが課題で出され(8つだったかな?)、一つはペアワークで、あとは一人でのスピーチ。
メインは、三つ。
・informative speech(情報を提供するスピーチ)
・persuasive speech(説得するスピーチ)
・narrative speech(物語を語るスピーチ)
他は、教科書をまとめてスピーチする、大統領の演説分析のスピーチ、結婚式やお葬式でのスピーチなどをやりました。

スピーチを聴くのも楽しかったのですが、興味深かったのは、クラスメイトが自由すぎるところ!
私は日本で教育を受けてきたので、驚くことが満載でした。
すべての課題において、テーマがあって、スピーチをするのが初めての人もいるので教授がフォーマットを配ってくれたり、至れり尽くせりのクラスなのですが、まぁ、多くのクラスメイトがテーマとは全然違う内容を話していたり、構成が全然違ったり、スライドも自由過ぎて、その発想にびっくりしていました。
(それは自由にやっているのか、教授の話を聞いていないのか、その辺はわからないですが…)

私は、教授が提示する手引きを一言一句見逃さないように読み、教授が配布してくれたフォーマットに沿ってスピーチを構成し、スライドも教授の注意事項をしっかりと活かして、何度も練習してからスピーチに挑みました。
(誰よりも忠実にこなした自信があります笑)

メインの三つのスピーチは、どのスピーチを先にやってもOKで、私は物語を語るスピーチを一番最初にしました。
お題は「人生を変えた瞬間」
私の人生には、たくさんの人生を変えた瞬間があるから、どれに絞って話すかを決めるのが難しく、決めた後も、物語を作り上げることにかなりの時間をかけました。

当日、「私の英語の発音をわかってもらえるかな?」「英語で想いを伝えることが出来るのかな?」そんなことを思いながらも教室の前に立ち、深呼吸をして、スピーチをスタート。
目の前のクラスメイトたちが、最初は興味なさそうだったのに、だんだんと顔を上げて、物語に合わせて作ったスライドを見てくれていたり、話の内容に相槌を打ってくれたり、ニコニコ微笑んで聞いてくれたり… 
あぁ、楽しい!
最後は、全員が拍手してくれて、さらに感激!

自分の席に戻るまでの間、クラスメイトたちが「すごく良いスピーチだった!」「感動した!」と、伝えてくれて感無量でした。

10代のクラスメイトの自由なスピーチを聴いていても、十数年の彼らの歴史がパーっと見えてきて、家族との関係、子供時代のこと、これからのこと、そして何よりも彼らの美しさを感じられて嬉しかったです。
そして彼らが、スピーチの回数をこなしていくと、徐々に自信が溢れてきて、姿勢や声がしっかりしてくる様子に感動していました。

教授は、とてもエネルギッシュで可愛くて、何度か教授のオフィス(職員室みたいな場所)へ、質問に行ったのですが、いつも明るくオープンに話してくれて、私をいつも勇気づけてくれたことが、スピーチクラスを最後まで続けられた要因だと思っています。(教授の存在、相性はとても大切!)

スピーチクラス最後の日。

教授が「あなたがこのクラスにいてくれたおかげで、クラスの質が上がった。ありがとう。」って涙目で伝えてくれたことが何より嬉しかった。

年齢を重ねてからカレッジで勉強する不利な点としては、記憶力や最新技術の習得に時間がかかることなどありますが、豊かな経験が大きな強みなると言うことを気づかせてくれました。

つづく




 


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