ー安楽死を宣告された猫との35日間ー 20日目
BAKENEKO DIARY /DAY 20. シリンジ給餌はもう限界?
交通事故にあい、口からエサを食べられなくなったミータ。首の下辺りを切開して食道チューブを挿入し、シリンジで高カロリーミルクを注入するようになってから2週間ほどたつ。シリンジなんてろくに触ったこともなかったので最初はこわごわ。ミルクを注入するときに空気が入ってしまったり、チューブからシリンジが外れて背中にミルクがこぼれたりと、失敗しながらコツをつかんできた。
途中、どうしてもミルクが入らなくなったときは焦った。なにせ水も飲めないので、注入できないとすぐに影響が出る。次の日すぐに病院に行くと、チューブの中に何カ所か、ミルクが固まって詰まっている箇所があるとのことだった。看護師さんがシリンジで水を送り込みながら何度もプッシュして固まりを溶かし、開通させてくれた。
ミータは、当初はシリンジ給餌を嫌がる体力もなく、なすがままという感じだった。しかし少しずつ体力が戻り、クリーム状のものなら飲み込めるようになってくると、なんとなくシリンジ給餌に抵抗を示すようになった。短時間で、いかに詰まらないようにするか。考えたのは「ミルクそのものを薄める」こと。カロリーと栄養価の高いミルクは濃度があって、ゆっくりしか流し込めないし、詰まりやすい。食道に直接入れるので味は関係ないだろうと考え、最初と最後に注ぐ水を減らし、ミルクそのものを水で希釈して注入することにした。獣医さんや看護師さんに確認はしなかったが、この方法は意外とうまく行った気がする。
ところが、だ。ここ数日でミータはさらにシリンジ給餌を嫌がるようになってきた。シリンジを持っていくと腰を浮かして逃げようとして、押さえつけて注入すると明らかに不快そうにする。喉のあたりもよく気にしていて、チューブの挿入口のあたりはとても臭い。傷そのものが化膿しているようには見えないが、毎日塗っている薬が包帯に染みて汚くなっているのと、毛繕いできていないのと、毛にこぼれたミルクが固まってしまっているのと。こんなに匂うと食欲も落ちるよなあと思いながら嫌がるミータにシリンジ給餌するのが、私自身も苦痛になっていた。
それならば、口から食べてもらうしかない。中がクリーム状になっていて外がドライになっているフードや、上等そうなカリカリの小袋を何種類が買ってきて与えてみた。結果はまあまあ。食べたそうに匂いをかいで、口には入れる。でもそこからが問題で、半分以上は飲み込めなくて口からポロリと落ちる。それを繰り返すと食べるのが嫌になってやめてしまう、というパターン。
獣医のA先生は、「チューブをつけていても食べられますから」と言った。でも、どうだろう。チューブが邪魔で飲み込めない、チューブを付けていることがストレスで食欲が湧かないこともあるのではないだろうか。チューブの挿入口もこんなに臭いし、そろそろチューブを取ってもよいのでは。明後日の通院日には「チューブを取りたい」と相談してみようと決めた。