ー安楽死を宣告された猫との35日間ー 29日目
BAKENEKO DIARY /DAY 29. 年越し準備とミータの散歩
2020年もあと2日。いつもなら大晦日から同じ市内に住む夫の実家に泊まり、帰省してくる義姉一家と過ごすのだが、今年はコロナ禍のため帰省しないとのこと。私たちはミータを置いて出かけるのもほぼ問題なくなってきたが、さすがに泊まりとなると心許ない。まだ首輪もできていないので、リード散歩を継続しているからだ。ミータは外に出られることがわかってから、室内の猫トイレを使わなくなった。ひと晩くらいなら無理してでも我慢するだろうが、それはストレスになる。というわけで、今年の大晦日は実家へ行くが、おせち料理などの準備をしてから、私たちも夕方、自宅に戻る。そして元旦に改めて実家にいって、年始のお祝いをするということになった。娘のSは3人家族だけの年越しはおもしろくないと言うが、私は結婚以来、初めて自分の家で年が越せるが少しうれしかった。
年末の過ごし方については段取りできたが、ここで問題になのはミータの散歩。散歩と言っても、用を足した後もミータは外で1時間はぼーっとする。ぼーっとしているというのは人間の見方であって、たぶん本人は風や日光にあたりながら、虫を見たり、草の匂いを嗅いだり楽しんでいる。が、付き添っている私にとっては「1時間」「寒い冬に」「外でぼーっと」することでしかない。それも午前と午後、夕方の3回。この年末に。
さて、どうしようか。夫Pや娘Sは家事全般にやる気がなく、やってと頼むのも、掃除の用具をそろえてやり方をおしえるのも面倒くさい。とりあえず、掃除してなくても新年は来るか、ということでまず掃除はあきらめた。おせち料理のメニューも数を絞ることにする。
水に浸けておいた黒豆を圧力鍋で一気に炊きあげ、ブランケットにくるんで放置しておく。ごまめのいわしは電子レンジでチンして、トースターで軽くあぶったくるみと一緒にフライパンで醤油、酒、みりんにからめた。はい、ここでミータの散歩。
さつまいもの皮をむいて鍋でゆで、湯をすてたら木べらでつぶして、みりんと砂糖を加えて、きんとんのできあがり。後で栗の甘露煮を加えれば完璧だ。伊達巻きは、オーブンで焼いてすのこで巻けば、味はともかく見た目はOK。途中で洗濯もする。はい、またミータの散歩。
夕食の用意をしながら、簡単和風ローストビーフを作る。スパイスをまぶしたかたまり肉をフライパンで焼き、こんぶ、たまねぎ、みりん、醤油、酒を煮立てた鍋に入れて10分弱火で煮る。掃除はできてないので、せめて見た目くらいはと、花をざっと活けて、福を呼ぶ置物を出す。置物は猫かと思っていたら戌だった。はい、ミータ、今度はちょっとだけね、と散歩。
こうして散歩の合間の年越し準備はなんとか終わった。ミータは隙を見てリードから抜けようとするので、リード散歩はもう限界に近い。首の傷口も治ってきたので、そろそろ猫ドアを開放して、以前のように自由に散歩に行かせることになるだろう。
ミータの事故という、我が家にとっては大事件が起きた一年が終わろうとしている。