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ー安楽死を宣告された猫との35日間ー 7日目

BAKENEKO DIARY /DAY 7. 立ち上がった!

 好きなものだと食欲が湧くかも、と看護師さんに聞いたので、大好きだった出汁をとった後の煮干しを、すり鉢ですりつぶし、少しお湯を足して瓶に入れて持っていく。Z動物病院は比較的大きいので、看護師さんは何人もおられるが、ミータの担当は若い男性だ。毎日、時には一日に2回も来る私たちにもミータにも、いつもやさしい。

 一般病棟はICUの隣にあって、コインロッカーのように2段にケージが並んでいる。病棟とはいうがもちろん建物ではなく、”区切られた入院スペース”のようなイメージ。犬も何頭が入院していて、人が来るとずっと鳴いている犬や、興奮してケージを掻いたりする犬もいて、とても騒がしい。元気ならばこんな環境にいる方が調子が悪くなってしまいそうなミータは、特に反応もなくじっとしている。やっと、よだれが止まったようだ。半開きだった口もかなり閉じ、舌も動かせるようになって、毛をなめはじめた。

 と、その時、ヨロヨロという感じではあるが、ミータが立ち上がった。昨日、看護師さんは「もう立ち上がれますよ」と言っていたのだが、私と娘Sは立つ場面を見たことはなく、信じられない気持ちでいた。でも、本当に立った!  方向転換してケージの奥を向いてしまったけど、大きな進歩だ。

 しばらくするとA先生が来て、こう言った。
「食道チューブからの栄養注入は、家でもできますのでね、退院も考えていこうと思います。明日の状態を見て、決めましょう。2,3日中にいけるんじゃないかな。とりあえず、紙オムツを用意しておいてください。」

退院! ここまで来たなんて! そうだ、意識がはっきりしてきたら、ミータは病院で過ごすのは辛いに違いない。少しでも早く家に帰る方が、精神的にどれだけ楽だろう。早く連れて帰ってあげたい。

家に戻ると、早速、ホームセンターへ行って、ペット用の紙オムツを買った。病院では排泄の様子や回数を確認するため、ペットシーツをひいた入院ケージでそのままさせているという。悩んだけどSサイズ。ミータ、いつでも退院してOKだよ!

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