【実務経験なし】スタートアップCTOを5ヶ月務めて感じること
はじめまして、株式会社咲弥 CTOの市川です。
この記事では、今年(2020年3月)に大学院を卒業して、2020年3月から水産系スタートアップである咲弥のCTOを務めてみて感じたこと、気づいたことを書きます。創業したてのスタートアップの方、学生で進路に悩んでいる方に、スタートアップの実情をお届けできればと思います。
前提として、ざっくりこんな人です。
・IT業界のインターン&プロダクト開発経験0
・早稲田大学&大学院で情報理工学を専攻していた(修士論文では音声感情認識について書きました)
・学生時代は地方創生/人材育成に興味があり、学校はおろそかに
修士論文まで書いてますが、本当にギリギリになって必死に勉強して書いたというレベルです。コーディングは授業or研究で扱ったことがあるC/Python/Javaしか分からない。課題のコーディングくらいしかコーディングもやったことがない。という状況です。
このnoteは私個人の発信として書いています、組織を代表するものではなく、完全に私的なものです!
どんなスタートアップなの?
咲弥では、現在水産品を生産者さんからオンラインで直接購入できるUONTED(ウオンテッド)を企画・開発・運用をしています。私たちは「持続可能な水産業を日本から世界へ」を目指し、ITを用いて日本の水産業の課題を解決を目指すスタートアップです。
創業の2020年3月から現在(2020年7月末時点)までに大きく3つのプロダクトを企画・開発・運用しています。開発までで、リリースしなかったプロダクトもいくつかあります。
・地元の特産品を旅先で買って自宅に送れる/プレゼントできるサービス「Jimotono」
・前売り制宿泊チケット「ひとときパス」
・水産品が生産者さんから直接購入できるオンライン直売所「UONTED(ウオンテッド)」
メンバーは7人(CEO、COO、CTO、インターン生4名)です。
CTOとしてやったこと
この5ヶ月で私がやっていたことは、以下のようなものです。創業は2020年3月ですが、2020年1月末に修士論文を提出してからは最初のプロダクト開発を始めていました。(修士論文の発表会にはあまり力を入れなくて、少し後悔した記憶があります)
開発は基本的に私一人で、ざっくりとしたフロントのデザインをCEOがやっていました。
【3月まで】
・Jimotonoの開発(shopify)
・Jimotonoの営業
・技術的なもの全般
・ひとときパスの開発(shopify)
【4月】
・ひとときパスの開発・運用(shopify)
・ひとときパスの営業
【5月〜7月】
・ひとときパスの開発・運用(shopify・rails)
・ひとときパス「つなげよう熊本」企画の開発・運用(shopify)
・UONTED(ウオンテッド)の開発・運用(Bubble)
振り返ってみると実現出来ていること少ないですね。改善の余地がありそうです。
以下これらの時点での感じていたことです。
【3月まで】
始めたてですね。本当に右も左も分からず&全然どう動いていいのかも分からなくて不安&モヤモヤしていることが多かった記憶があります。こんなこと考えてたなーと印象に残ってることはこんな感じ。
ECサイトつくろう!
え?どうやってつくるの?サーバたててwordpress?
え?コードもサーバもなしでできるサービスあるの?すご
え?たくさんあるけどどれ使おう?shopifyとBaseが良いらしいけど。ん、こっからどうするの?
え?ああそうか、必要な機能要件考えて、まず無料プランに申し込んで少し触ってみればいいのか
え?shopifyすご!これでいいやん(要件考えるの放棄)
え?何をどこまでつくればいいんだ?どのくらい開発に期間かかるかなんて分かんないよ、どうすればいいんだろう
え?意外とすぐ形にできてきた、ノーコードすげー!shopifyすげー!
え?開発ある程度目処たったから営業?たしかに、必要だな!行くわ!
この時期は、自分が咲弥のプロダクト全部つくるんだ、CTOだ。という気持ちはある一方、開発について無知さと、開発能力のたりなさ、経営の無知さ、どんどん進んでいくCEOとCOO。焦り、でしたね。
【4月】
コロナウイルス感染症の拡大がかなり大事になってきたころです。プロダクトを2つ作成し、少し慣れてきた時期でした。しかし、以前やれないことだらけ。
コロナ大変だな。うちのサービス大丈夫か。
そうか、自分で考えるしかないんだ。チャンスないかな
…
前売り制チケットいい!はじめよう!
次はこれを開発か…Railsがいいのかな。触ったことねぇ。
デザインはhtmlとcss。うん、書いたことないよ。美術の成績2だし。
よしなら、デザインの勉強だ。
それと、htmlとcssの勉強だ。
あとは、railsの勉強だ。
…
時間なさすぎない?
【5月〜7月】
ひとときパスの運用と開発、UONTED(ウオンテッド)の開発をするという生活が安定してきた時期です。
UONTED(ウオンテッド)いいね!漁業者の方の助けになるならやろう!
Bubble?ノーコードってやつ?使ってみよう
え、Bubbleすごすぎ。shopifyとは違って、なんでも作れますよ系のツールか。
え?2週間でUONTED完成しちゃったよ。すご。
CTOをやる上で重要なこと
最後に、実務経験なしからこの5ヶ月スタートアップのCTOをやってみて、スタートアップのCTOにとってこれが一番重要だなと感じました。なによりもです。
MVPをとにかく早く、しかしキレイに仕上げること。
なぜ「MVPをとにかく早く、しかしキレイに仕上げることなのか?」と言うと
1. スタートアップは早くつくって、早く検証してなんぼ。プロダクト作らないと始まらない。
2. 使いやすさ、信頼性、デザイン性は、リリース直後ユーザがつくかどうかに大きく影響するから
という2つの理由からです。
よく言われることですが、本当にその通りだなと感じました。
早くつくる理由としては、
結果を出さないと本当にチャンスなのか、本当に必要とされてるなのか、本当に良いSolutionなのかって分からないからです。日々いろんなアイデアを考えて、あれもいいこれもいい、あの領域がチャンスなんじゃないか?こういう課題感あるんじゃないか?このSolutionおもしろい!たくさん思い浮かびます。
加えて、だいたい自分が分からない領域に突っ込んでいくので、結局いくら考えてもリリース直後に改善点は山のようにある。
リリースしたあとに高速でアップデートしていくほうが重要かなと思います。ここもとにかく早く、しかしキレイに。です。
次になぜキレイにつくるのか?
そもそもキレイにってなんだよって話ですが。有名な画像?だと思います、これです。いくら機能要件を満たしていてもユーザが使えない・使わない・使いたくないものは、MVPになりえないということです。
いくつかプロダクトをつくりましたが、いくら売り込んでも必要機能の実装だけ目指したプロダクトは回遊が発生しにくい。トップページは見られても商品が見られない、重要な機能にアクセスしてもらえない。
そりゃそうだろって思いますが、MVPつくろう!ってなると意外と抜けてしまうものだと思います。冷静に考えると、これ自分でも使いにくいな…って感じたときに虚しさもすごいです。破壊力ある。プロダクトは好きでいたいです。
まとめ
今日のまとめはこれです。これだけになりました、自分の中で。
MVPをとにかく早く、しかしキレイに仕上げよう!
アップデートもとにかく早く、しかしキレイに仕上げよう!
これだけでスタートアップの最初は戦えます。
むしろ知識・能力が求められるのはこれからだと思ってます。必要な能力や知識も、とにかく早く・しかしキレイに一旦つくろう!という心意気でスタートアップらしく進めていきます。