コールドチェーン業界調査【2020/08/15時点】
株式会社咲弥の市川です。コールドチェーン業界の、国内・世界の動向を調査したので、noteとして公開します。
調査事項
調査事項として、一般的なファイブフォース分析+法規制について調査する。
1. 業界内部における競争関係(競合分析)
2. 新規参入者
3. 代替品
4. 事業の上流
5. 事業の下流
6. 法規制
1. 業界内部における競争関係
市場規模
- 過去7年日本国内の冷凍食品の生産量は増加傾向
- 農林水産物・食品の輸出額は増加見込み
- 冷凍冷蔵食品の一人あたりの消費量は東南アジアで増加するのではないか?
コールドチェーン ソフトウェア開発業者
「コールドチェーン ソフトウェア」「コールドチェーン 技術」「コールドチェーン スタートアップ」でGoogle 検索する。ソフトウェア開発に注力している事例をピックアップする
- Zebra
大きめの倉庫用のハード開発&ソフトウェア開発。ソフトウェアはただのデータトラフィックとAndroid端末を用いたデータアクセスの容易さを売りにしている。
- EMERSON
冷蔵庫機材の開発。ハードウェアの開発がメイン。
- パナソニック
冷蔵庫機材の開発メイン。後述の中国でのコールドチェーンの上流から参入することを狙っている。
- iロジスティクス
倉庫・店舗・トラックに温度センサーを取り付けて、その情報をクラウド上で一元管理できるようなハード・ソフトの開発をしている
- testo
ドイツの会社。32の地域で展開。製造→消費者までのIoTデバイスによる温度管理・クラウドでのデータ照会が出来る。ソフトウェア開発がメインか?
2. 新規参入者(スタートアップ界隈)
「コールドチェーン ソフトウェア」「コールドチェーン 技術」「コールドチェーン スタートアップ」でGoogle 検索。見つけたものを全て羅列する。
- パナソニックが中国でコールドチェーン上流から開発
- 丸紅が中国コールドチェーン産業に参入。中国のスタートアップと合弁会社
- 日本のスタートアップとデンソーがインドネシアのコールドチェーン産業で小口保冷輸送サービスの実証実験
- ケニアでは花き輸出のコールドチェーン整備が進んでる?
東アフリカは花き輸出が世界4位と5位のケニアとエチオピアがあるらしい。
- SGホールディングスグループのSGモータースはベトナムのコールドチェーンに必要な車載冷凍冷蔵設備の供給事業に参画
- 2020年5月に、SaaS方式の食品コールドチェーンプラットフォームを運営する「小碼大衆科技( Minima Technology)」が、シリーズA +で住友商事グループから資金を調達
- ルワンダで食品ロジスティクスサービスを提供するスタートアップ GET IT社がシリーズAでの資金調達。
独自の生産部門と食品・園芸のコールドチェーンに取り組んでいるらしい。何を開発しているかは不明。おそらくハードウェアの普及?
- bt9というスタートアップはコールドチェーン管理システムの提供している
- ナイジェリアで携帯・自立型のコールドチェーン機材・サービスを供給するスタートアップ
- TagBoxという2016年創業、本社ベンガルルのコールドチェーンモニタリングのスタートアップ企業
3.代替品
各企業が開発しているのはざっくり2つのパターン。【データセンサー付冷蔵庫や倉庫自体の開発】【IoTデバイスを用いた温度センサー&ソフトウェア開発】の2つ。代替品は出てこなかった。
【IoTデバイスを用いた温度センサー&ソフトウェア開発】では、end-to-end(倉庫から消費者まで)で温度管理が可能なサービスが4社あった。TagBox・bt9・testo・iロジスティクスの4社。
【データセンサー付冷蔵庫や倉庫自体の開発】が普及すると参入の余地がなくなってしまいそう。
4.事業の上流
データロガー生産業者
以下のサイトで、データロガーを生産している業者を調べる
64社あり。寡占という状況ではなさそう。
5. 事業の下流
インドや中国、東アフリカではコールドチェーン産業の市場規模が増加傾向。つまり、コールドチェーン管理システムに対する価格は高くても売れるようになるだろう。
中国のコールドチェーン市場規模
インドの物流業界
https://frost.co.jp/industries/automotive/title2020/pae4-01-00/
アフリカでのコールドチェーン施設へのFAO(国連食料農業機関)による投資
6.法規制
「コールドチェーン 法規制」「コールドチェーン 法整備」でGoogle 検索しても特になにも出なかった。
農林水産省はコールドチェーン体制への支援策を講じている
課題感・Solution
コールドチェーン業界における課題感とSolutionを以下のように考える
【課題感】
- 冷凍・冷蔵トラックとパッキング施設が不足
- 一気通貫で温湿度等の管理ツールの不在。海外にはあり。(日本に課題は存在しないのではないか?)
【Solution】
- 卸売市場→消費者まで一気通貫で温度管理・ログ閲覧できるシステム・Webサービスの作成(これだと海外に競合あり)
イメージこのへん。
Appendix
参考になった&なりそうな資料を置きます。上記のものと重複あります。
質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業
(インド:日本企業のインド進出に資する定温貨物鉄道輸送技術の実現可能性調査)
インドでの例。コールドチェーンについて細かく書いてあって参考になりました。
コールドチェーンに関連する日本語レポートの一覧
有料のレポート
中国のコールドチェーン市場規模
インドの物流業界
https://frost.co.jp/industries/automotive/title2020/pae4-01-00/
農林水産省の卸売市場においてコールドチェーン体制を整備するための
設備・機器の導入支援