うか様も行きたい例大祭
第0日
私の名前はウカノミタマ(宇迦之御魂神)。
「みく様の上司のお名前ですね。もふっていいですか?」
はい。そこの、青いおにいさん。その通りみくちゃんの上司にあたるものです。が、残念ながら私はもふもふのお耳としっぽがありませんのでもふれませんよ。
??「ということはお住まいは京都の伏見稲荷で、引きこもりがトレンドで…」
い、(汗)うん。今は引きこもりではなくなりましたよ?
第1日
みやちゃーん、これを見てほしいんだ。
大宮能売神「はいはいはい。うか様どうしたんです?」
これ!うちの部下のみくちゃんが例大祭やるんだって。うんうん。お知らせもらってから早幾年。
コロナやらなんやらで大社も忙しくなっちゃったから、行けなかったんだよねぇ。例大祭だけじゃなくて「とちテレアニメフェスタ」にも出展してたのに行けなかったんだもの。例大祭くらいは行ってあげたいじゃないか。
みや様「とちテレアニメフェスタは単にうか様が緑川さんに会いたいだけじゃないんですか?」
う。そ、そんなことはないよ?ちゃんとみくちゃんに差し入れだってするつもりだったんだよ?
みや様「で、その例大祭に行きたいんですよね?」
う。うんそうなんだ。で、「駅すぱあと」で調べると、京都から新幹線に乗って、東京駅まで行ってそこから東北新幹線に乗れば宇都宮にすぐ着くことができるんだよ。今の鉄道はすごいねぇ。
みや様「うか様。新幹線で行くおつもりですか?」
え?そのつもりだけど?お小遣いもあるし往復の新幹線もネットで予約すれば宇都宮のホテルと一緒にとれるよ?
みや様「いや、費用面では私も心配していないんですけど、通り道に色々お顔を出さないといけないところがいっぱいありますよ?出かけるんだったらもうそろそろ準備しておいた方が…」
(どきっ)新幹線の沿線で…っていうとどこだろう。
みや様「思い当たるだけでも、名古屋の熱田神宮(アマテラス様)、豊川のダキニ様、静岡の久能山(家康公)、富士宮の浅間神社(サクヤ様)、三島の大社(ミシマ様)。東海道だけでもこのくらい。それこそ取捨選択しておかないとあーでもないこーでもないっていう方々が…」
ぞわぞわぞわ。そ、それこそお忍びってかたちで行けないかな?
第2日
うーん。昨日みやちゃんの話を聞いてから東海道だけでたくさんの寄り道があることに気づき新幹線で行って帰るだけで済む話ではないことに気づかされてしまった。
本来だったら伊勢神宮まで行かなきゃいけないところを、熱田神宮で済ませようという考えを持ってくれたのはみやちゃんの温情なのだろうか。
かばんに荷物を詰めながら考えていたら、
猿田彦様「うかちゃんいるかい?みやちゃんから聞いたんだけど、東京行くんだって?」
「せっかく新幹線で行くのに途中途中で寄り道するんだって?」
とのこと。話を聞いてみると熱田神宮は名古屋から在来線に乗っていかなくてはならないし、豊川稲荷も豊橋駅から在来線で行かなくてはならないらしい。
東照宮も静岡駅から離れているとのこと。
猿田彦様「だったらばほとんどのところは東京でお参りすることができるよ」
とのことで、寄り道するんだったら同じ静岡の富士宮の浅間神社、三島神社によれればいいんじゃない?とのこと。
彦様!名案です!それ、採用!
ということで、さっそくEX予約を使って新富士までの「ぷらっとこだま」をとらなくては。
第3日
予約もできたし、ゆったりとした服にちょっと大きめのボストンバッグを抱えてJRの稲荷駅まで歩いていく途中見知った人に「そんな荷物抱えてどこ行くんや?」と声をかけられ、
ちょっと東京まで行ってくることと、途中で夜の通信ゲームでたまに一緒になるサクヤちゃんやみくちゃんに会うことを伝えると、
「じゃぁ、よろしく言っといてな。で、いつ帰ってくるん?」
一応、みくちゃんの例大祭が終わったら帰ってくる予定だけど、途中寄り道しないといけないところがたくさんありそう。と伝えると、
「え?みくちゃんも神様やったんかいな。わかった。気を付けて行っといで」
駅の改札口に入った瞬間に「うかたんがいなーい!」という兄の大きな声が大社の方から聞こえた気がするけど、後ろを振り向かずに京都行の電車に乗る。そんなこと気にしていたら新幹線に間に合わなくなっちゃうし。
京都駅に着いたら八条口のお土産屋さんでちょっと多めに八ッ橋を買って、朝食(サンドイッチとコーヒー牛乳)も買う。
で、とった切符はぷらっとこだまのグリーン車!新富士まではのんびり景色を楽しもう~♪
と思っていた自分が恨めしい~(ベソベソ
京都を出て米原、名古屋と来たところで車掌さんが
車掌「お客様、ご伝言がございます」
と言って持ってきた電報用紙(!)に「新幹線に乗ったのに挨拶すらないのね 叔母さんより」
と書かれているのを見て血の気が引いた。
車掌さん、公衆電話ってありましたっけ?
車掌「残念ながら公衆電話サービスは終了してますので、ご自分の携帯をデッキでどうぞ」
とのことで、デッキで叔母に「今度は絶対、神宮によりますから、今日は…今日は…(涙)」と頭を下げて自席に戻ってきた。
三河安城駅を出るころにまた車掌さんが来て電報用紙を…「今日は寄ってくれないの?豊川のおねえさんより」
ぴゃ!
慌ててデッキに出て電話をかけて豊橋駅までの間に謝り倒して自席に戻るとコーヒー牛乳はすっかりぬるくなっていてシャキシャキのはずのサンドイッチのレタスが少ししおれていた。(涙)
富士宮浅間神社の新幹線の最寄り駅である新富士駅に着いてタクシー乗り場を見ると、相当前に顔見知りになった巫女さんが手を振ってくれていたのでハイヤーに乗ることができた。
「サクヤ様がお待ちです」
と言って巫女さんと乗った車にサクヤちゃんが居てまとめて巫女さんから叱られると誰が思いますか…。(ベソベソ
やっぱり深夜帯に音声チャットしながら通信ゲームとかしてたらばれますか。
富士浅間神社に到着したとたんにミシマ様には横から突っ込まれるし、さっきの巫女さんと同じ内容で叱られるし…。(滝涙
八ッ橋を奉納してさっさと次の新幹線に乗りたかったんだけど、一晩泊まることになっちゃった。(宮司さんや神職さんにばれて延々と祝詞をあげられてました)
第4日
朝一で新幹線に乗って東京まで向かったけど、昨日の様子からすると東京で立ち寄る予定の場所も一日がかりになるかも?
そうなると、宇都宮に着くのがいつになるのかわからないので、行きの東京では寄り道せずに新幹線の乗り換えに集中しよう。何といっても東京は駅そのものがダンジョンだと聞いているからね。
東京駅に行く新幹線は事前に予約をせずに駅の窓口でとったものだから、たぶん誰も何も言ってこないでしょう。(絶対名古屋のアレと豊橋のソレは大社の誰かが漏らしたと思う)
東京までの区間と東京から宇都宮までの区間では特に「電報用紙」が来ることはなかった。
宇都宮についてみると以前来た時に比べて東口にビルが建ってた(東口にも餃子屋さんがあったと思ったけどどこに引っ越したのかな)、路面電車(LRT)ができていたりと、駅前が発展していた。まだ二荒山神社のある西口の方にはLRTが計画段階とのことで、次に来るときにできていたらいいなぁと思いつつ、プラプラと大通りをを歩いて「とちテレアニメフェスタ」でみくちゃんが出店している「オリオン通り」に顔を出して、「あぁ、ここに緑川さんや勝平さんが来るんだ」と思いながら、二荒山神社に引き返して豊城命様や神職の人たちににばれないように八ッ橋を置いて駅前のビジネスホテルに投宿。(洋装で来てよかった。絶対和装で歩いていたらばれてた)テレビを見ながらスマホで、みくちゃんの社を検索していると、去年の例大祭の動画を見ることができた。私も愛宕姫様に会えたらみくちゃんのことお礼を言っておかないと。
第5日目
宇都宮から在来線でみくちゃんの社に近い駅に降り立つと、駅前にある豆腐屋のお嬢さんに声をかけられた。
「お姉さんはみく様のところに行かれる方ですか?」
「え?あ?そうですけど…。」(あら?この子見える子?)
「あ、あたしはここの豆腐屋の娘であきらといいます。みく様の神社のイベントがあるとうちの豆腐と油揚げを納めてるんで」
「あらあら、そうなのね」(よく見たらみくちゃんとつながりがあるわ)
「送ってあげたいのはやまやまなんですけど、まだ納品する油揚げが完全には出来上がってないんですよ。そこの信号を左に曲がって道なりに行ったところに神社がありますんで」
礼を言って道なりに歩いていくと社に到達した。
静かでいいところねぇ…と独り言をいいながら歩いていると、いろいろ準備で走り回っているルナル・ルゥくんに会った。
「お姉さんはみく様の関係者なのです?(蒼白) みく様大変なの~!」
走って行っちゃった。
みく様「ん?なんじゃ?だれかきたのかの?」
ごめん。来ちゃった。
みく様「ぎょぎょ!うか様こちらに来るときは連絡ください!」
ごめんて。今日は端っこで大人しくしてますから祭りの様子見させてくださいな。
「どかーん!」という音とともに飛んでいく青いお兄さんすごいなぁ。
ということで、例大祭当日はルウくん、愛宕姫様とすごしていましたとさ。
第6日目
宇都宮のホテルから再びみくちゃんの社に戻ってきて、準備の手伝いをしていると天音姫がやってきてフリーダムなことをしている様子が見えた。ちょっと楽しそうだなぁと思ったのは内緒。
洋装でルウくん、あきらちゃんと歩いていたので天音姫からは手伝いをしている人に見えたらしく声をかけられなかった。
天音祭の時間になり和装に着替えると、天音姫からも「げ!」という顔をされちゃった。
天音ちゃん「なんで、うか様がいるんですか」
ごめん。昨日もみくちゃんと同じ会話しました。みくちゃんの例大祭見たさに伏見の山から出てきました。
今日も隅っこでルウくんとあきらちゃんといますんで。
第7日目
再び宇都宮のホテルから日光に向かい東照宮に参拝してから再び新幹線で東京へ。
東京ではアマテラス様やダキニ様に会える神社や仏閣があるので新幹線で伝言をもらったところを中心に回ることに。
アマテラス様からはありがたいお説教をいただくし(ベソベソ)お姉さんからはお接待をいただいたけど「伏見にこもってないでたまには豊川や東京にいらっしゃい」と言われてしまいましたとさ。(反省)
注釈
ここに出てくる宇迦様の抜け具合はフィクションです。この世界では神様が見れますし、しょっちゅう顕現しています。