一年の計は元旦にあり
一昨年から起業したビジネスは京町家の不動産賃貸業であり、漸く軌道に乗り始めている。ゆっくりと、でも確実に前に進んでいる気がしている。
京町家をどのように残していくのか、これは自分に課された使命と考えて取り組んできた。
築150年の町家ではあるが、起業するまではたまに訪れる場所であった。ただ、一方で維持管理していく際には、交通費、修繕費、固定資産税や相続税も上がっていく最中、そのまま維持していくことに難しさを感じていた。
別荘であればたまに足を運んで、そこでくつろいで、地元に帰るだけでいい。いつかその場所がなくなったら、また別の場所を探せばいい。でもこの京町家は残していくことが代々保有してきた家のミッションとして存在している気がしている。自分は誰で、なぜここにいるのか、今そこで起業したのかを振り返りながら、少しずつ動き始めた列車の行先を見つめている。
一昨年には、るぴこむさん(ペットのホテル/学校)、CAJIさん(コンテンポラリーアクセサリー店)および紀ノ國屋さん(カフェ併設の小売店兼オフィス)との賃貸契約を済ませた。まだ始まったばかりではあるが、漸くリノベーションも済ませて、まもなくグランドオープンとなる見込みだ。
昨年度には、自らのビジネスの拡張(不動産事業へ)を考えて、宅建士の資格にもチャレンジして無事合格した。今年には実務者研修を済ませて宅建士となり、不動産事業の展開も見据える。
まだまだ事業は始まったばかりではあるが、足元では不動産テックを活用して京町家を残していくお手伝いをしていきたいと思っている。明確なビジネスモデルが作り上げられてはいないが、これから試行錯誤しながら考えていこうと思っている。
その際に鍵となるのは、モノへの想いを伝えていくストーリー性、コミュニティやファン造りは進めていきたい。モノからコトとはいうが、体験価値の作り込み、顧客との接点づくりは基本のきとして作り込んでいきたい。京町家の価値を最大限発揮できることで、関係者を魅了していきたい。
そして密かな、かつ壮大な夢として考えていることがある。三重県の伊賀市にある町家を活用した日本酒を作り、これを京都の町家で、そのストーリー性を訴えた商品として販売していきたいと考えている。原点に戻るかもしれないが、自ら一から作ったものを販売して生計を立てる。簡単なようで難しい、壮大な夢に向かって歩を進めていきたい。
そんな計画を考えた一年が始まった。