夫が帰国しました
海外単身赴任が始まった。もともと二人でアメリカに住んでいたから「赴任」というのにはちょっと違和感があるかな。
バラバラに住むことになった経緯はこちらです。
帰国前一週間はとにかく食べた。ラボや友人にお別れ会をして貰ったからというのもあるし、最後だから色々食べようとしたというのもある。
お別れ会をしてくれた人の中には、最近偶然知り合った人もいた。乳液を買おうと一人で日本の化粧品が売ってある店に行くと、後から入ってきた女性が「うぁーっ♡キャンメイクがある♡」と私の心の声と同じ言葉を発して、思わず「キャンメイクがこんなにあるのびっくりですよね」と声をかけた。そこから仲良くさせて貰って、お別れ会ではロブスターなど豪華な食事をご馳走してくれた。一人になった私のことも気にかけてくれる。ほんの最近知り合ったのに、良くしてくれてとてもありがたい…!
二人でのデートのランチは、THE CAPITAL GRILLEで。夫はオニオンスープと熟成肉のステーキを。私はテンダーロインステーキのサンドイッチとシーザーサラダのプレートを。サンドイッチも美味しかったけど、オニオンスープとシーザーサラダが特に最高だった(前菜かよ)。
厚みのあるとろとろチーズの中にこれでもかと煮込んだカラメル色のオニオンスープ…。家で再現できないかな、また食べたい。
おかげでズボンがきつい…。そして胃がやばい。今までは昼に胃に優しいもの(おかゆとか)、夜は夫と同じものを少量だけ、という生活だったけど、この一週間は昼も夜も夫と同じものを同じだけ食べてしまった。これからは食事に気をつけよう。
最後の観光として、ボストン美術館のモネ展とIsabella Sewart Gardener Museumに行ってきた。
楽しみにしていたラ・ジャポネーズはその迫力にびっくりした。その4分の1のサイズを想定していた。右側の文字の大きさとの比較で、大きいことが伝わるかしら。ジャポネーゼがある部屋では、歌川広重の作品なども合わせて展示されていて、浮世絵がモネに与えた影響について解説されていた。
他の有名作品といえば睡蓮。知らなかったけど睡蓮をモチーフにした作品って200を超えるほど沢山あるのね。このモネ展でも3枚(だったかな)飾られていました。幻想的な色使いのものもあれば、コントラストのはっきりしたものも。日傘の女性はなかった。
イザベラ・スチュワート・ガードナー美術館、これは個人で作った美術館らしい。一体いくらかけたんだろう…と邪な思いを馳せながら、世界中の芸術作品を楽しんだ。
日本のものも沢山あった、なぜか襖が多かった。面白かったのは瓦の鳩。中庭を眺めているかのように展示されていた。
お見送りはボストン空港まで。シーフードのお店があるから行こうと言われていたのだけど、手荷物検査後にあるレストランだったし何なら開いていなかった。彼のボストン最後の食べ物はダンキンドーナツとなった。笑
乗り継ぎが多いので、おにぎりとハンバーグ、卵焼きのお弁当をもたせたら喜んでもらえた。
ボストン空港には飛行機を見送る展望デッキがなさそうだったので、(そこにいるのに…)と後ろ髪を引かれる思いで帰路へ。ふと思い立ってボストン・コモンという公園から空港方面を見上げてみたけど、飛行機は見えなかった。ここでちょっとだけ泣いてしまった。ボストン・コモンで上空を見上げて泣く女…。
彼が離陸したころ、私も家に帰ることにした。これから一人でここで暮らすのだと思うと、景色が少し違って見えた。
家に帰ってからは全然泣かなかった。実は初めて遠距離になった時は、1週間毎日泣き続けた。引っ越しを手伝ってくれた彼氏が船で帰るのを見送るのはとても辛かった。知らない土地に一人で取り残されて心細かった、自分で引っ越しを選んだくせに。遠距離恋愛が上手くいくか、初めての一人暮らしが大丈夫か、新しい研究室の人とやっていけるか、とにかく不安でいっぱいだった。
でも、今回はもはや知らない土地ではないし、多くはないけど友人もいる。それに、かつての遠距離恋愛の経験で、夫がこまめに連絡をくれる人だと分かっている。一人になることに対する不安要素は、自分の健康くらい。
初めて一人で過ごすアメリカの夜は、本を読みながら迎えた。お別れ会の時に貰った池井戸潤の「ようこそ、わが家へ」を読了。腑に落ちない一節があるので、また読み返すつもり。寝心地が良いので夫のいびき対策用の枕で寝た。クイーンサイズのベッドに一人。寂しいけど、贅沢な気分を楽しむ余裕もある(庶民感)。
土日は学校に行って実験したり、健康保険の手続きを進めたり、夫の携帯を解約したり、シェアハウスの内覧に行ったり、部屋の模様替え&断捨離をしたり。余った時間は、最近始めた刺繍に費やした。この刺繍という新たな趣味、実はプラン&目標があって早く進めたくてしょうがないので、それなりに楽しく過ごせている。
うん、何とかやれそう。
冒頭の写真は、サマータイムの開始日なのに雪が降っている今日の皮肉的な一枚。