看護学生さんからの質問「薬の本をわざわざ買う必要があるんですか?」

”若者の活字離れ”なんて言葉さえなくなりつつあるような・・・というか「活字」という言葉も若い人には伝わりにくいように思います。

精神看護学の実習で、私は病棟実習初日に「薬の内容と生活歴だけは最初に確認しなさい」と伝えるようにしています。

看護の実習生には看護過程という“苦行”が待ち受けています。この苦行は、それを乗り越えることで成長する試練でもあり、苦労を伴う学修でもあります。精神看護学実習では入院期間が長い患者さんの情報は膨大ですし、カルテを読むだけで実習時間が終わりそうになることもあります。(”情報収集に逃げる”ということもあったりします)

 その中で「精神科における薬物療法」については、まず最初に確認するべきものだと思います。私が患者だったら“自分(患者)がどんな薬を服用されているのか”も知らずに「受け持たせていただいています」なんて言われたら、「はぁ!?」となってしまいそうな気がします。患者さんの状態を理解するには病気のことも治療のことも理解していないといけない訳で、目の前の患者さんを見るだけでは十分ではないと思うのです。


で、話を戻します(笑)
薬の本は「あるといいね」と伝えています。
今の世の中、ネットで情報を拾うこともできます。
本を買うお金もかからないし、重いものを運ばなくて良いし、「ネットでいいじゃん」というのが素直な思いだと思います。私もネットで調べますし、テキスト情報をコピペすれば記録のボリュームも増えるので、「やった感」を得られる側面もあるかもしれません。
ただ、ネットの情報には真贋がハッキリしないものもあるし、眺めてコピペするだけでは頭に入ってこないこともあると思います。そして何よりも、周辺情報(無駄かもしれないけど、必要になるかもしれない情報)にも触れる機会を得ることに繋がります。例えば精神科では特に重要な緩下剤を調べる時にも、酸化マグネシウムやセンノシドやビコスルファートナトリウムなど色々あって、それらが自然と目に入ってきます。そういった「一見不要な情報の中から「何が違うんだろう」とか「どういう理由でこれが選ばれているんだろう」と考えることで自分の知識も患者さんへの理解も深まっていくと思うのです。

なので、毎年ではなくていいけど、「薬の本は大事だよ」という当たり前のことを感じたので書いてみました。とはいえ、電子書籍だと文字のサイズが変えられるおかげで老眼が始まった身にはありがたいんだよな、とも思うのです。

いいなと思ったら応援しよう!