iCAP活動記録 第13回 日本精神科医学会学術大会 ①
第13回 日本精神科医学会学術大会
日時 2024年7月25日(木曜日)~ 26日(金曜日)
場所 仙台国際センター
テーマ 精神科医療のイノベーション
~新しいあるべき姿を求めて~
わかれば面白い!精神科病院で使える抗菌薬
座長
松本 祥彦先生(小島慈恵会小島病院 精神科)
演者
別所 千枝さん
( 広島県厚生農業協同組合連合会 尾道総合病院 薬剤部長)
講演された、別所千枝さんに感想を伺いました。
私は元々、精神科単科病院に勤務する薬剤師でしたが、現在は急性期総合病院で勤務しています。そのため、この企画の演者が本当に自分でよいのかとても悩みました。現在の病院でも感染制御や抗菌薬適正使用に関わっていますが、精神科で勤務していない自分に何が話せるのか・・・と考える中であることに気が付きました。
それは、「感染対策の基本は精神科病院で学んだことをベースに現在の病院でも実践している」ということです。例えば、抗菌薬のPK/PD理論を実践することや、ウイルス感染症には抗菌薬を処方しないこと、個人防護具の着脱方法を職員にしっかり周知することなど。私はこれら感染制御に必要な事項は精神科病院で学んだので、それをずっと伝えつづけていけばいいのだなと思い、演者を引き受けて内容を考えていきました。
講演の中で特に伝えたかったことは、大きく括ると以下の2点です。
①向精神薬を適正使用して感染症を予防する意識が必要であること
②適切な抗菌薬選択のために感染臓器や原因菌の特定が重要であること
精神科病院は物理的に閉鎖的環境な環境があり、感染制御を難しくし、デメリットと捉えられがちな特性があります。しかしそれらは「強みに変えていける」と今、急性期総合病院にいるからこそ実感します。精神科病院に限らずすべての医療・福祉施設で、同じ目標を持って取り組んでいけたらいいですね。
講演を聞かせてもらった糠信の感想です。
精神科医学会での講習会は、学会名が変更になる前からiCAPにお声掛けを頂いているもので、今回は環境感染学会と全く同じ日程での開催となりiCAPのメンバーの皆さんからも「どちらにも参加したい(聞きたい)のに」とのお声を頂きました。
別所さんの講演は本当に見やすく聞きやすく、初歩的なところから具体的なところまで説明してくださるので「もっと聞いていたい」と思うほどです。看護師である私にとってはPK/PD理論や抗菌薬の選択そのものについては理解が及ばないところもありますが、別所さんの講演を聞き「向精神薬の使い方が誤嚥性肺炎の発生リスクを左右するんだよ」といった実習や講義での学生さんへのメッセージになっていきます。あっという間の一時間でした。本当にありがとうございました。