デミアンって面白くないでしょ。
IB(DP)の授業でヘッセのデミアンを扱っています。IBの教師は自分で教科書や使用教材を選択するので、ヘッセのデミアンも私が選んだのですが。それが全然面白くないんですよね。諸事情で扱わなければならなかったので、仕方がなく授業しておりますが。
とはいうものの、デミアンは歴史的にも評価されている文学作品なので考察するべきポイントは多々ありで授業にはしやすいです。が、単純に私が面白いと思えない。ストーリー性も全然ないし、哲学的だし。物語にあまり深まりがないというか。
初めから最後まで当たり前で同じようなことを言って終わる。
(デミアンファン、すみません。)
なんか雰囲気的に宮沢賢治の銀河鉄道の夜に似ているんだけど、銀河鉄道の夜は設定やファンタジー感で楽しめる。アニメとか見ても面白いし。
なぜデミアンがそんなに評価されているのか、わからない。
しかし、作者のヘッセのことを調べていくと"なるほど”と思えることはある。
家族構成 父 宣教師 母 インド系
ドイツ人
時代背景 第一次世界大戦後 etc
ヘッセの作品は第一次世界大戦前後で大きく変化していると言われている。戦前はロマンチックな青春小説。戦後は社会批評。本人は戦争について否定的な立場で、その影響が強かったみたい。あとは母親の影響か確実ではないけど、アジアの宗教観に魅力を持っていて、当時で言えば、ヨーロッパはいわゆる殺し合いが当たり前(戦争)それに対し、アジアは戦争はあるけども、ヨーロッパほどではなく、人の温かさの残る雰囲気があったとのこと。
厳密に言えばもっと複雑ではあるだろうけど、簡単に言えばこんな感じ。それでヘッセはその想いを公言しようとするが、非国民的な扱いも受けることに。それが作品の特徴の変化につながっていくんだろうなと。
デミアンがつまらないというのも、このような時代背景を考えると、当時は多くは望めないわけだし。その分、未来ある子供たちに託さなければいけない。そしてその子供たちがよりよく生きるためにはどうすれば良いか。そんな彼の想いを作品に影響したのでしょう。
冒頭においてデミアンがつまらないとは言いましたが、意味深い本ではありますし、あれをつまらないと言える自分は恵まれた環境、いわゆる満たされた環境にいるということなのでしょう。