【#refereenote 】vol.3 セレッソ大阪都倉選手の著しく不正なプレーについて
ごきげんよう!
vol.2は私の推しクラブであるマリノスとの親和性もあり、いろんな方にご覧頂けたようで嬉しかったです!
今回は第3弾!ミッドウィークの試合は日産スタジアムへ観戦に訪れたのですが、目の前で立田選手の一発退場がありました。DOGSOだったのですが、もうDOGSO系統は2回やったし…
と思っていると、別の試合でも一発退場があったよと連絡がありました!笑
ネタが少しずつ根付いてくるとメンションで退場が報告されるのには笑いました!笑
ありがたいことです!みなさんも赤いカードを見たら、@ibu_333までご連絡を!(*その日2枚目のイエローカードでの退場は報告書不要です♪)
1.今回のケースの紹介
今回は明治安田生命J1リーグ第25節ヴィッセル神戸 vs セレッソ大阪
@ノエビアスタジアム神戸からのご紹介です。
試合は0-0で進んでいた32分の事象です。
⑴ヴィッセル攻撃のセットプレーの流れからセレッソ大阪松田選手が自陣深く右サイドから大きなクリアでボールはミドルゾーンへ
⑵落下地点に走りこんできた山口選手が右足でトラップを試みるも後逸
⑶後逸したボールは身体を上手く使ったセレッソ奥埜選手の元へ
⑷左からスプリントして上がってきた都倉選手の前方へパス
⑸都倉選手はワンタッチで前に持ち出し、ペナルティーエリアまでトップスピードでドリブル侵入
⑹ゴールエリア角の少しサイド寄りからシュート
⑺シュートしたボールは前川選手のほぼ正面へ行くも、前方へ弾きボールをこぼす
⑻前川選手が飛び込んでボールをキャッチした後に都倉選手がボールへチャレンジしようとした左足のキックが前川選手の顔面/頭部付近にヒット
おおよそ、こんな感じかと思います。
DAZNではキーモーメントにもなっていますが、46:47〜確認できます。
YouTubeでは下記リンクからご覧頂けます。スタート位置が該当シーンです。
2.5W1Hで整理しよう
では、例に倣い5W1Hで整理してみます。
・Why:著しく不正なプレーを犯す
・When:32分19秒付近(記録では33分)
・Where:ヴィッセル神戸陣内、ゴールエリア付近ややゴールライン寄り
・Who:セレッソ大阪9番都倉賢選手→ヴィッセル神戸1番前川黛也選手
・What:過剰な力を用いて、相手競技者を蹴る
・How:前川選手が前方に弾いたボールをキャッチした後に遅れて、左足で前川選手の頭部/顔面付近を蹴った
+判定後の態度について
主審が退場を命じた後、都倉選手は判定を受け入れピッチから速やかに離れた。
3.重要事項報告書
「33分セレッソ大阪9番都倉賢選手の著しく不正なプレーを犯したことによる退場処分について」
33分、ヴィッセル神戸陣内ゴールエリア付近でセレッソ大阪9番都倉賢選手はヴィッセル神戸1番前川黛也選手が前方に弾いたボールをキャッチした後にボールに挑もうとした結果、過剰な力を用い、遅れて、前川黛也選手の頭部/顔面付近を左足で蹴り、著しく不正なプレーを犯した。
この行為により、都倉賢選手を退場処分とした。
主審が退場を命じた後、都倉賢選手は判定を受け入れフィールドから速やかに離れた。
4.判定の簡単な解説
今回は初めての「著しく不正なプレー」のケースでしたが、いかがでしたでしょうか。次に競技規則の参照とこのシーンで気になったことを書きます。
⑴「著しく不正なプレー」とは…?
⑵「過剰な力」とは…?
⑴著しく不正なプレー」とは…?
そもそも、「著しく不正なプレー」とは何でしょうか?
簡単に言えば、「例えどんなときもボールに挑むときは相手の安全だけは最低限配慮してね。もし、相手の安全を脅かすような行為を犯したら、これ以上フィールドにはいられないよ」ということです。
競技規則ではこのような解説文があります。
相手競技者の安全を脅かすタックルまたは挑むこと、また過剰な力や粗暴な行為を加えた場合、著しく不正なプレーを犯したことで罰せられなければならない。
いかなる競技者もボールに挑むときに、過剰な力や相手競技者の安全を脅かす方法で、相手競技者に対し片足もしくは両足を使って前、横、あるいは後ろから突進した場合、著しく不正なプレーを犯したことになる。
なんだかよくわかんねえな…という方、この条文の最たる例がスパイクの裏(足裏)を見せたタックルです。スパイクの底は固く、金属のポイントもあり、身体へ接触すると危険です。
フットボールではよく「ボールいってんじゃん!」という異議を聞きます。ボールにはもちろんチャレンジしていて欲しいのですが、それでも足裏を相手に見せるのは非常に危険なことです。
「ボールいってれば、相手を怪我させてもいいのですか?そんなことないですよね。」と私もよくコミュニケーションをとりますが、相手を危険に晒すようなプレーは厳しく罰せられる。それが「著しく不正なプレー」です。
⑵過剰な力とは?
ここでは重要事項報告書でも用いた「過剰な力」について触れます。
みなさんはどんなときにファウルになるか知っていますでしょうか?
相手を蹴ったとき?危険なスライディングタックル?相手を押したとき??
どれも正解なのですが、これらは全て「不用意に」「無謀に」「過剰な力で」犯したと主審が判断したときにファウルになります。
今回の過剰な力とは、以下のように定義されています。
(*他2つは別の機会にぜひ!)
・過剰な力を用いるとは、競技者が必要以上の力を用いて相手競技者の安全を危険にさらすことであり、このようにプレーする競技者には退場が命じられなければならない。
⑴で触れた著しく不正なプレーの根拠や出典元といった具合です。
今回ピックアップした都倉選手のケースで言えば、
ただ、相手を蹴ったのではなく過剰な力で蹴ったと主審が判定したので退場の判定になっているのです。ここが最も大切です。テスト出ます!
ぜひ抑えておいてくださいね。
5.終わりに
少し長くなってしまいましたね。最後までお読み頂きありがとうございました。最後に今回の退場シーンで素晴らしい対応をした2人に言及したいと思います。
1人目は主審を務めた佐藤さんです。⑵5W1Hの章でも佐藤主審の想定される視野を記載しましたが、本当に素晴らしいポジションで見ていたと思います。ロングカウンター且つトップスピードの選手にも追いつき、接触シーンをブラインドのない角度で完璧に監視していました。
改めて、この動画の再生位置のポジションを見ると、接触の強度/部位/意図など判定に必要な要素を把握できる位置にいたことがわかります。
笛を吹いた後、冷静にレッドカードを出し、サンペール選手のリアクションに文句を言いに来たであろうヨニッチ選手に去るように伝え、治療に対応するまで素晴らしかったと思います。
2人目はセレッソ大阪のキムジンヒョン選手です。心配そうに反対ゴールからジョギングで近づき、治療の邪魔にならぬようにそっと中腰になり見つめていたのが印象的でした。相手チームの選手が負傷現場に近づくのは危険なときもありますが、彼としては同じGKとしてほっておくわけにはいかなかったのかなと想像しました。またスタンドからも拍手が起きているように、彼の素晴らしい人柄が表れた行動だったかなと思います。
最後に何より前川選手が無事で何よりでした。一歩間違えれば、もっと重篤な状態になっていてもおかしくないプレーでした。都倉選手はゴールのために挑んだプレーだと思いますが、ジャンプしてエスケープできれば怪我を防げ他と思います。であれば、そちらがベターだったと思うのは、すでにご本人も自覚していると思います。都倉選手に限らず、少年少女からシニアまでこういったシーンはあると思います。一生懸命なプレーも素晴らしいですが、ギリギリのところでは相手の安全を確保することも大切です。熱い試合の片隅でもその意識をどうかお持ちくださいませ。
では、また次の機会に!
Have a good match day!
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