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【#refereenote 】vol.2 横浜F・マリノス伊藤選手の決定的な得点の機会阻止について

みなさん、大変長らくお待たせ致しました。
ついに第2弾です。今回はまさかの推しクラブから退場者が出てしまいました…
該当シーンについては後述するとして、私の個人的な話ですが、久しぶりに審判として試合に携わっています!やっぱり楽しい。
毎日、検温は大変ですが、それでもピッチでフットボールに携わるのは幸せだなと思いますね。
みなさんもあなたらしく自分の距離感でフットボールに携わって下さいね。

1.今回のケースの紹介

今回は明治安田生命J1リーグ第16節横浜F・マリノス vs セレッソ大阪
@日産スタジアムからのご紹介です。
ゲームは後半早々にエリキ選手のヘディングシュートでマリノスが先制し、その後清武選手の美しいループシュートで同点に追いつき1-1の状況で迎えた64分前後の事象です。
⑴自陣中央付近のミドルゾーンで都倉選手が右から左に動いてきた清武選手へパス
⑵清武選手は左足でトラップ、右足で少しボールをずらしパスコースを作る
⑶右足で浮き玉のインスイングのパスを前方に走っていた片山選手へ
⑷伊藤選手の背後から抜けてワンバウンドしたボールが絶妙に片山選手の前に
⑸左足でゴール方向にトラップし、持ち出した瞬間に伊藤選手が左足を伸ばす
⑹伊藤選手が伸ばした左足はボールに当たらず、片山選手の右足にひっかかり倒れてしまう

こんな感じですね。
DAZNでは1:35:09〜確認できます。
下記、Youtubeリンクは再生位置が退場シーンになっています。
https://youtu.be/V_Z7t_kZKs8?t=307

2.5W1Hで整理しよう

では、フレームに従い整理してみましょう。
・Why:決定的な得点機会の阻止
・When:64分05秒ごろ(記録上は65分)
・Where:自陣(横浜F・マリノス陣)ペナルティーエリア右サイドより10mほど手前
・Who:横浜F・マリノス15番伊藤槙人選手→セレッソ大阪16番片山瑛一選手
・What:相手競技者を不用意につまずかせる
・How:相手競技者が左足でトラップしゴールに向かってドリブルを始めた瞬間に右斜め後方から左足で右足をつまずかせた
+判定後の態度について
主審が退場を命じた後、伊藤選手は判定を受け入れピッチから速やかに離れた。

伊藤片山

3.重要事項報告書

「65分横浜F・マリノス15番伊藤槙人選手の決定的な得点の機会を阻止したことによる退場処分について」
65分、横浜F・マリノス15番伊藤槙人選手はセレッソ大阪16番片山瑛一選手が自陣右サイド寄りのペナルティーエリアから10mほど手前でゴールへ向かってドリブルしようと持ち出したところを右斜め後方から左足で右足に接触し不用意につまずかせて、決定的な得点の機会を阻止した。
この行為により、伊藤槙人選手を退場処分とした。
主審が退場を命じた後、伊藤選手は判定を受け入れフィールドから速やかに離れた。

4.判定の簡単な解説

今回も報告書はこんな感じで書くと思います。
前回、決定的な得点の機会阻止(DOGSO)については解説したので気になる方はこちらをご覧ください。
https://note.com/ibunsky_333/n/n890d88e43ead
以下は感想や私見です!
⑴場所を定量的に表してみた(*前回と異なる点)
前回と異なる点は数値を用いて、定量的に場所を表現してみました。
フィールドのほとんどの場所は一言で表現するには無理があります。なので、できるだけ近くにあるエリアやマークなどからの距離を概算し表すと読み手にとってわかりやすいと思います。

⑵このファウルがペナルティーエリア内であれば、警告になっていたか
結論は「YES!」だと考えます。
今回の伊藤選手のプレーは「ボールをプレーしようと試みて犯された反則」になると思います。つまり、左足でボールを突こうとしたら、片山選手の右足に引っかかり、不用意に相手をつまずかせてしまった。私はこのように見ると思います。
これはいわゆる「三重罰」の緩和です。
三重罰とは…PK、退場、出場停止のことをいいます。
確か5年ほど前から始まったこの改正の背景には、ボールにプレーしようとして不用意に犯してしまった事象に関してそこまで厳しく取り締まらなくてもいいのでは?という意図があると思います。

5.おわりに

2作連続でDOGSO案件でしたね。
全力でプレーする選手にとって、どうしても起きてしまういわゆる事故的な事象です。前作、今作共に退場にはなりましたが、それ以上に咎められる事象ではないでしょう。
本件とは関係ありませんが、同じ試合で78:40ごろのデサバト選手から仲川選手へのスライディングタックルは非常に危険でした。
後方から左足裏を完全に見せ仲川選手の左足首を完全に捉えたタックルでした。接触の強度や実際の接触部位から過剰な力(=退場相当)とまではいかないものの、明らかに無謀な(=警告相当)タックルであったと思う。
もう少し勢いがあり、左足首に直接入っていれば著しく不正なプレーで退場だっただろう。
上記のように、前回のJリーグジャッジリプレイでも取り上げられていたが、「競技者の安全」を確保できていないプレーがたまに見かけられる。
決して個人を批難するものではないが、リーグ全体としてこのような危険なプレーは厳しくジャッジしてほしいと思う。

では、また次の機会に!
Have a good match day!

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