なかまたちのねがい 〜 episode015 〜
休日はどう過ごす?
いぶきは通所施設です。月曜日から金曜日、朝から夕方までが基本的な活動時間です。多くの仲間は土日祝日を自宅で過ごします。
「家でもやる」と言って軽作業を自宅に持って帰った仲間もいました。「休日はやることがないから夏休みなんてなければ良いのに」そんなことを言う仲間もありました。
休日をどう過ごせば良いのか? そんなことに悩んでしまう仲間はいます。10年ほど前に初めて移動支援を利用した彼女も、そんなひとりでした。
そんなことやりたいって言っても良いの?
移動支援を利用し始めても、彼女はなかなか自分のやりたいこと、行きたいところをヘルパーさんに伝えることができませんでした。そんな彼女が当時よく会話にしていたのは、開業を間近にひかえた「東京スカイツリー」でした。
TVを見ればその内容はずっと東京スカイツリーに関することばかり。彼女も「今日はスカイツリーは 〜 って言ってたよ。見に行ける人はいいね〜」と毎日、話していました。
そんな彼女に「そこまで気になるならヘルパーさんと行ってみたら」と話してみると、彼女の返事は「えっ?そんなことやりたいって言っても良いの?」と言うものでした。
ねがいを口にすることをも躊躇させていた…!?
彼女のその返事を聞いた時、とても衝撃を受けました。それまで、仕事や生活の中で彼女になんと声をかけてきただろうかと。
「そんなことしちゃダメ」「こうやってやることが普通」「こうしないといけない」そんなことばかり言われていたら、「わたしはこれがやりたい」なんて言えるわけがないと。
彼女はそこから1年ほどかけて、ヘルパーさんの分と合わせた旅費を貯め、無事に東京スカイツリーの見学に出かけました。その後は、再び東京へ、名古屋へ、大阪へ、京都へと、TVや雑誌で話題の場所を見つけるたびに「次はここへ行くためにお金を貯める!」と言ってくるようになりました。
自分のねがいを口にすること。これは思ったより難しいことなのかもしれません。仲間たちが安心して、自分の夢やねがいを伝えられるように、「親なき後」に向き合っていかなければならないのだと思っています。
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クラウドファンディングの取り組みも残すところあと21日となりました。このプロジェクトの目標のひとつは、300名の方とのつながりを生み「親なき後問題」を伝えることです。みなさまよろしくお願いいたします。
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