おやごころ ~ episode 011 ~
卒業後の活動の場所を作りたい
いぶき福祉会は、そうした障害のある方のご家族のねがいからうまれました。いぶきの成長期、法人化~第二いぶき建設運動のころには、「いぶきのような施設を我が子の卒業後の居場所にしたい」と、まだ学齢期のお子さんをお持ちのお母さんたちが積極的に運動を盛り上げてくれていました。
2002年4月1日、いぶき福祉会がはじまって2,825日目に入所した彼のお母さんも、彼が小学生のころからずっと、いぶきの運動を支え続けてくれた人のひとりです。お母さんとしても念願かなってのいぶきへの通所でした。
はじめての場所ではじめての仕事
小さなころから関わってきたいぶきであっても、毎日通うとなると話は変わります。病弱児の養護学校を卒業したばかりの彼は、学校時代の生活からがらりと変わった日課に、時には大きな声を出しながら怒っていました。
それでも毎日とりくむ仕事に、一緒に活動する職員やなかまに、さまざまな取り組みに少しずつ、少しずつ慣れていきました。
今と将来と選択と
「入所に空きができた」
そんな話が入ってきたのは、いぶきに通い始めて1年目の冬のことでした。お母さんは彼の将来のことも考えて、入所施設に「入所希望」を出していたのです。いずれは施設へ入って家を出なければならない、でもそれはずっと、ずっと先のこと...お母さんはそう思っていました。まさか、こんなに早く入所できることになるなんて...
小さいころからずっと通わせたいと願っていたいぶき、ようやく慣れ始めたいぶき、来年はもっとこうしようねと楽しみにしていたいぶき...やめさせたくない。でも、この若さの我が子に今、入所の順番が回ってきていることの重大さもわかる。今、断ってしまえば次にいつ順番が回ってくるのか、本当に必要な時までに回ってくるのかわからない。
悩んだ末の結論は、「入所」でした。どれだけの涙がでてもそれしか選べませんでした。
幸せをねがう選択
「いつでも好きなときに好きな居場所を選べるわけではない」
この現実を知る彼とお母さんがいぶきで過ごせたのは、わずか1年たらずでした。今のねがいと将来の安心を比べるのは、どちらをとっても我が子の幸せを思ってのこと。
我が子の幸せを願ってする決断が、辛い思いと涙ではなく幸福な気持ちと笑顔でできるよう、わたしたちは「親なき後」に向き合っていきたいのです。
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