特例子会社の採用面接を受ける人が知っておくと良いこと
特例子会社とは、障がい者の雇用の促進及び安全を図るために、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をした子会社を設立して、多くの障がい者を雇用して、そこで雇用した障がい者は親会社で雇用したとみなして実雇用率を算定できるようにしたもの。
つまり障がい者を雇用して働いてもらうことに特化して特別に設立された会社ということだ。
そこでの障がい者の定義は「障がい者手帳を持っている人」だ。
なので特例子会社で採用する人は障がい者であることをオープンにして応募してくる。
10年ほど前までは障がい者と言うと視覚障がい者や車いすの人など身体に障がいを持った人が多かったのだが、近年では障がい者雇用に応募してくる人のほとんどは精神障がい者(発達障がいも含む)となってきた。
ここでは主に精神障がいの障がい者手帳を持ち障がい者枠での採用を希望している人にフォーカスして採用面接時の注意点などについて述べてみたい。
自己の障がい理解について
採用する側はあなたが精神障がい者だということは承知の上で、自社で問題なく就労を継続していけるのかを知りたいと思っている。
だからあなたは自分がどのような障がい特性を持ち、どうすれば問題なく働けるのかを分かりやすく説明しなければいけない。
統合失調症や双極性障がいなどの場合、これまでどのような症状があり、それが職場でどのように受け止められ、現在はどのように克服しているのか。
例えば「前職では精神障がいの診断を受けておらず健常者として働いていたのですが、残業の多い職場で勤務時間が長くストレスから、周囲が私の悪口を言っているという幻聴が生れ、結果会社に行けなくなりました。
その後受診し統合失調症と診断されました。
診断後は投薬治療を開始し、いまでは幻聴などの症状はなく主治医からは勤務可能と診断していただいています。
就労にあたっては月1回の通院と、出来るだけ残業は少なく体力・気力を回復しながら勤務させていただければと思います」など。
会社としあなたにどのような配慮をすれば問題なく就労してもらえるのかを知りたいのだ。
発達障がいの場合
最近になって特に増えて来ていると感じるのが発達障がいと診断され応募して来られる方だ。
他の精神障がいは○○症とか○○病として認知され投薬治療などの治療を受けながら仕事を継続するということになるのだが、発達障がいの場合は文字通り病気というより「障がい」という意識で特に治療はしていませんという人も割といる。
病気ではないのだから他の精神障がい者よりも採用されやすいのではないかと思われがちだが実態は逆である。
精神障がいの場合は投薬なりカウンセリングなりで症状が抑えられれば概ね健常者と同様の働きが出来る(ストレスに弱い等あるが)。
一方で発達障がいの人は投薬などで症状が和らぐ場合もあるが、症状が多岐にわたるので投薬が決め手にはならない。
基本的には自分がどのような特性を持っているのか理解し、自分のどのような行動、発言によってこの診断名がついたのかを知ることが大事になる。
最近は成長してから発達障がいと診断されるいわゆる「大人の発達障がい」が増えている。
その人はこれまでの人生においてなんだか自分が人と違う感じ、組織の中で生きずらい感じを抱えて生きてきた。
そこで「実はあなたは発達障がいだったのです」と診断され「そうだったのか」「自分の生きずらさには原因があったんだ」と診断名がついてほっとする。
けれどそこで止まってしまって面接で「私は発達障がいです」というだけでは採用する側は困ってしまう。
自分はどんな症状があってこの障がいと診断され、これまでこんな生きずらさがあった(エピソード)。
発達障がいと診断名がつき、こんな工夫をしていまでは健常者と変らずに働けます、と言えるほどの自己理解が欲しい。
発達障がいと自らにラベルを張り安心して終わりにするのではなく、その先の「だからこうしている」というところまでしっかり説明できるようになると、面接で採用される確率もグッと上がるのではないだろうか。