計画的偶発性理論の話。

こんにちは。株式会社アイ・ブロードのnote編集長稲葉です。
編集長と言いながらまたnote投稿しばらくさぼってしまいました・・・。
今年は月に一本投稿することを目標に頑張ります(自分へのプレッシャー)。

さて、キャリア形成を考える上で「計画的偶発性理論(Planned Happenstance Theory)」という考え方があります。

計画された偶発性理論(英語: Planned Happenstance Theory)とは、スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授らが提案したキャリア論に関する考え方。

個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

出典:ウィキペディア

要するに、VUCAと呼ばれる未来の予測が難しい現代において、自分でも予想しなかった偶発的な出来事がその人のキャリアのターニングポイントになり得るという理論です。自分のやりたいこととか目的意識ばかりに固執し過ぎると、目の前に偶然訪れたチャンスを見逃しかねませんよ、ということですね。

私の仕事柄(転職エージェント、人材派遣営業、キャリアアドバイザー)、人様のキャリアの転換期に立ち会う機会が日常的にあるのですが、この「計画的偶発性理論」を分かりやすくイメージ出来るこのような事例があります(一部脚色を施しています)。

私がコーディネーターを担当させて頂いているとある派遣スタッフ(Aさん)がいるのですが、その方は元々いわゆるフリーターでした。ある時偶然、通関士という仕事をしている方と知り合い、その方の仕事の話を聞く内に通関士という仕事に興味を持ちました。通関士になるには「通関士」という国家資格に合格する必要があると知り、Aさんは通関士試験に向けて独学で勉強を始めました。

1年間必死で勉強したAさんは通関士試験を受験し、なんと一発で合格してしまいました。通関士試験の合格率は10%から15%程度と言われておりますので、独学でしかも一発で合格すること自体が凄いのですがなんとAさんは合格した時点で若干19歳(!)でした。

ただ、通関士試験に合格したとは言え、すぐに通関士として仕事が出来るわけでもなく飲食店でのアルバイトしか経験が無かったAさん。通関士の資格が活かせそうな仕事を探し始め、「偶然」アイ・ブロードが出していた「貿易事務」という派遣社員の求人に応募します。

この求人は私が担当していたのですが、派遣先からは「通関士の有資格者がいれば是非派遣して欲しい」という話を頂いていましたが、その派遣先も私もAさんのような「実務未経験だけど通関士の資格はある」という人材は想定していませんでした(「貿易事務」という仕事自体は通関士の資格が無くても出来ます)。
ましてや独学で試験に合格して尚且つ20歳そこそこの方から応募があるなんて予想もしていませんでした。

Aさんのことを派遣先の担当者に提案した所、独学で通関士試験に合格したということに大変驚かれました。実務経験はありませんでしたがAさんのやる気や将来性を見込んで、晴れてその派遣先での就業を開始することになりました。

その後は順調に実務経験を重ね、1年ほど勤務したころに普段の勤務態度や実績を認められ正式に「通関士」として財務大臣に確認を受けて、現在もその派遣先で「通関士」として勤務しています。
※「通関士」として勤務するには通関士試験に合格した上で財務大臣から通関士の確認を受けなければいけない

Aさんはまだまだ若く仕事人生はこの後何十年も続きますが、Aさんが偶然通関士と知り合い通関士試験合格を目指したことや、アイ・ブロードの求人に偶然応募したことは、Aさんのキャリアにおいて確実にターニングポイントとなったでしょう。もちろん、未経験の通関業あるいは貿易事務という仕事に飛び込み、目の前の仕事に真摯に取り組んでいるということも、現在のAさんのキャリアの重要な構成要素です。

スティーブ・ジョブズも「Connecting the dots」で有名なスピーチの中でも言っていますが、過去にやったことは、過去を振り返った時に初めて繋ぎ合わせることが出来ます。将来を見据えて事前に繋ぎ合わせることは出来ません。過去に自分が起こしたこの行動とあの行動が繋がったんだな、と後から思えるような行動を起こすことが大事なのだと思います。

皆さんも、予測できない未来にばかり目をこらすのではなく(見えないものは見えないので)、目の前に訪れたチャンスを取りこぼさず、少しでも興味を持ったことに対してまずは行動を起こしてみると、予想もしなかったキャリアを形成することが出来るかもしれませんよ。

それではまた次回の記事で!

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