見出し画像

日本のエリート 選手 / ヨーロッパスカウティング

今日は、私の活動、ヨーロッパのクラブチームに向けて日本の若い選手をスカウトすることについて話そうと思います。私はフランスの3つのプロクラブから、高円宮杯プレミアリーグまたはプリンスリーグでプレーする、日本で一番才能ある選手を毎年紹介するよう、頼まれています。その3つのうち2つはフランスの第1リーグ、もう1つは第2リーグのクラブです。

画像1

メソッド(方法)
私はプレミア&プリンスリーグの選手達全てのデータベースを持っており、毎週その情報をアップデートしています。気になる選手がいれば直接自分の目でコート上の姿を見に行き、私なりのメモを取ります。この情報は私が共に働く複数のプロクラブに共有されます。あるクラブには、ポジション関係なく一番才能があると私が考える選手を紹介します。また他のクラブには、必要に応じて複数の選手の情報を送ります。例えば、彼らがすでに良いストライカーを擁している場合は、同じポジションの選手には興味を示さないからです。 
才能の識別は長い道のりです。私ももちろん、選手をある程度の期間追いかける必要があります。時々試合を見に行けることがあっても、運悪く彼が出ていない場合もあり、その時はさらに多くの試合を観戦して判断する必要があります。才能について確証が持てれば、私の仕事の90%は完了、残り10%は選手に託されます。渡ったクラブ先での数週間で、彼の性格や才能、精神力、そして新しいチームに順応出来る許容力などについて、どれだけクラブを納得させられるかどうかです。
昨年FC興國のヨーロッパツアー中に、2002年生まれの選手を2名、フランスのトゥールーズ・フットボールクラブへ紹介しました。その2名は、樺山諒乃介 (現在は横浜Fマリノス内定)と、杉浦力斗(ツエーゲン金沢内定)です。両名とも高いポテンシャルを持ち、日本代表ユースチームに少なくとも一度は選出されています。
この投稿で再度、ハイレベルな選手とは何かについて話す必要はないと思いますが、このヨーロッパツアー中にFC興國がトゥールーズFCのU-19チームと親善試合をすることが出来たのは幸運でした。そこでリクルーターは、現在のチーム内での選手達を見ることが出来、U-19チームとの直接の試合を通して、彼らの本当のレベルについてより良く判断することが出来ます。だからこそ私は日本のチームにヨーロッパツアーを強く勧めています。

トライアルの様子
多くの選手が、ヨーロッパのクラブでのトライアルがどんなものなのか知りたいと思っているでしょう。以下にいくつかの例を示します。

1.施設の訪問と部屋の特性
ヨーロッパクラブのトレーニングセンターはとても発達しています。選手にとってまず最初の変化となるでしょう。クラブには、ジム、クライオセラピー(冷却療法)、多数のサッカーコート、食堂、メッセージルーム、寮など、複数の施設が備え付けられています。これらの施設を訪問後、選手は自分の部屋へ通されます。ほとんどが、他の選手との共同部屋になります。同チームから二人でトライアルに行く場合は、その二人で部屋をシェアすることになるでしょう。

画像5


画像4

画像5

画像5

2.新チームへの順応
これには2つの方法があります。私が好きな方法は、彼が所属するチームが全体でヨーロッパへ渡ることが出来る場合ですが、相手のクラブと直接試合をすることです。それによりクラブは直接選手のレベルや価値を見ることが出来ます。前回、FC興國が試合で彼らに勝利し、樺山選手が2ゴールをあげたことにより、彼がクラブのトレーニングに参加した際にはすでに他選手達はみんな彼のことを尊敬していました。これが彼のチームへの順応を促進させたのは間違いありません。
もし選手が独りだったら、彼は自身で自己紹介をするところから始まり、トレーニングの中で彼の価値を示していかなければなりません。コート外でも、ランチなどのフリータイムで自らコミュニケーションを取りに行動する必要があります。
言語の壁によりコミュニケーションが限られてしまうことは、日本人選手にとって難しいことでしょう。私は、ヨーロッパでプレーしたいと考えている全ての選手達に、せめて英語は真剣に学んでおくことをお勧めします。彼ら自身にとっても役に立つでしょうし、リクルーターやコーチとのコミュニケーションにおいても同様です。

画像6

画像7

3.トレーニング/練習
ヨーロッパでのトレーニングは日本よりとても短く、エリートクラブでは朝10時から、午後1時半くらいまでです。一方でその内容はかなり激しいものになります。トレーニング中の雰囲気は張り詰めており、時間外ではフレンドリーな選手達も、練習が始まれば全員が競い合っています。ヨーロッパではアカデミーが選手に投資するので、誰もチーム内での自分のポジションを失いたくないのです。

4.フリータイムの管理
トライアル中は、フリータイムがかなり多くなります。アカデミーに所属する他の選手達は、学校や彼らの生活がそこにありますが、トライアル選手にとってはトレーニングだけなので、それ以外の時間は全て自由時間になります。
私の経験上、トライアルの選手はこの時間を上手く使いこなせていません。私がトライアルに連れて行った選手のほとんどが、この時間をただ部屋でやり過ごしていました…何もせずに。これではフラストレーションが溜まりますし、翌日のトレーニングにも影響します。フリータイムはポジティブに使われるべきです。練習の疲れを癒す為にストレッチをしたり、施設にある水風呂(クライオセラピー/冷却療法)を試してみたり、語学の勉強に費やしたりするのがいいと思います。

画像8

フランスのクラブでのトライアル中の1日;
· 7:30: 朝食
· 10:00: 筋力強化のためのジムトレーニング、 ストレッチや回復マッサージ
· 10:30: 練習
· 12:00: 昼食
· 12:30-18:30: フリータイム
· 19:00: 夕食

私はいつも、最初は選手の順応を早める為に力を貸し、また自分のパフォーマンスに100%集中するようにと助言しています。
また近いうちに、日本で一番だと思う才能ある選手をヨーロッパのクラブへ連れていく予定です。そのことについては、改めて詳しくお話しします。

この投稿を楽しんでいただけたら嬉しいです。

いいなと思ったら応援しよう!