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勾配部品の調整
機械部品には先人の知恵が詰まっています。そして、多くのものが標準化されており、それらを組み合わせたり、つなぎ合わせることで機械として機能させています。
例えば、軸と穴の嵌め合いについても用途に合わせて仕様を決めるように規格化されていますが、回転軸の軸と穴の嵌め合いにおいて回転方向へのスベリ(ズレ)を防ぐためにキー溝を加工し、キーをはめ込む構造となる場合がほとんどなのです。そんなキーの中には勾配キーといって勾配をつけることでキーを強固に固定して高速回転や重荷重に適するようにしているものもあります。
勾配やテーパーといった「傾き」をつけることで「くさび」のような働きを利用してしっかり固定することができる。古くから木造建築でも利用されいるこのような「くさび」は先人の知恵に他ならない。
これらの勾配やテーパについて考えるとき、切り離せないのが三角比。もちろん三角関数をつかって求めることもできるのですが、実はそんなに難しく考えなくても大丈夫です。
あるいは、下イラストのように勾配部品を組み合わせることで部品の運動方向を水平方向から垂直方向に変換することも出来ます。
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この機構においては、この部品の勾配の度合いを減速比として捉えることもできます。
もしも、勾配の角度が45°だとすると減速比(ギヤ比)は1:1となりますので下の勾配部品が水平方向に20mm移動したとき上の勾配部品は20mm上昇または下降します。
しかし、一般的には減速比を高めて小さな力で大きなに仕事をするように変換することが多いようです。
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これは解説のためにモデル化したものであり、実在するレベリングブロックの勾配を再現したものではありません。そのため、1/4.5 という勾配になっています。
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この4枚のイラストでは(ボルトの有効ネジ部を無視)勾配部分を組み合わせて水平方向へ30mmフルストロークした様子を紹介しています。この時に上部品は6.7mm(30÷4.5=6.7)上昇しています。
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一概に勾配部品といっても用途により勾配の度合いはかなり違ってきます。しかし、考え方の元となっているのは三角比なのです。
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