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大学IRは何故進行しづらいのか?

こんにちは、株式会社アイビーネットのIR担当の齋藤です。
普段は、主に大学IRの情報公開のサポートなどを行なっております。

大学IRについての記事についても書いていますので是非!

今日は、「なぜ大学IRが進行しづらいのか?」というテーマについて、私の考察をお話しできればと思います。

もちろん、すべての大学がこの状況に該当するわけではありませんが、いくつかの大学から伺った実際の声を元に執筆しています。
少しでもお役に立てればと思っています。


「やらないといけないけど…」という現状の声

大学IRに関わる方々とお話ししていると、時折こんな声を聞くことがあります。

「やらないといけないのはわかっているけど、いろいろ事情があって進められない」
「本当にそこに労力をかける必要があるの?」

大学IRはその重要性を理解してもらうまでのハードルが高く、導入や運用が簡単ではない部分もあります。特に、小規模な大学ほどその傾向が顕著で、実際にIRを担う現場では、限られたリソースや人的資源の中で苦労されているケースが多いです。
 
では、なぜ大学IRは進行しづらいのでしょうか?
 

大学IRの難しさと背景

大学IRは、データを収集し、分析し、その結果を元に大学全体の戦略を練り直すといった非常に重要な業務です。
ただし、そのプロセスには膨大な時間とリソースが必要です。

データを集めるだけでもひと苦労ですが、集めたデータをどう使えばいいのかわからないというケースが多いです。さらに言うと、「そもそもどんなデータを集めれば良いのかわからない」という大学も少なくありません。
 
大学IRがここまで重要視されるようになったのは、文部科学省が補助金の配分に大学IRの取り組みを絡めたことが大きな要因です。特に、私立大学にとっては、補助金が減額されることが経営に直接影響を及ぼすため、IRに取り組まざるを得ない状況が作り出されています。
 

なぜIRがここまで重要なのか

大学IRが重要なのは、単にデータを集めるためではありません。大学の学修成果の可視化と情報公開が求められている今、大学IRはその中核的な役割を果たします。

データを基に、学生の学習状況を正確に把握し、それに応じた改善を施すことで、大学全体の教育の質を向上させることが目的です。また、大学のパフォーマンスが向上すれば、それが学生募集や社会的評価の向上にも繋がります。

したがって、大学IRに対する取り組みの有無は、大学の長期的な成長と安定に深く関わってくるのです。

また、特にコロナ禍以降、補助金の重要性はより一層高まっています。

大学経営が厳しい中、補助金の有無は死活問題ですし、少子化によって受験生の母数が減少している今、各大学が競争力を維持するためには、補助金を確保することがますます重要になっています。
 

大学IRの現状:平成29年度までの動向

平成29年度までは、「私立大学等改革総合支援事業」の中で、「教育の質的転換」に大学IRの有無が問われました。つまり、IR専門の部署があるか、専任の職員が配置されているか、委員会や担当組織があるかどうかが求められたのです。

ただし、IRの専任職員を配置することは、多くの大学にとって大きな課題です。IR部署を設置すること自体は、大学内での調整で何とかできる場合も多いですが、問題は専任の職員を置くこと。

中小規模の大学では人件費の制約があり、既存のスタッフが兼任でIR業務を行うケースがほとんどです。実際、IR担当になったものの「何をすればいいのかわからない」「他の業務が忙しくて手が回らない」と悩んでいる担当者も少なくありません。
 

大学IRが進行しづらい3つの課題

大学が抱えるIRに関する問題は、大きく分けて3つあります。

  • シンプルな人手不足

  • 詳しい専門家がいない

  • 組織間の連携不足

  • 引き継ぎの問題

シンプルな人手不足

まず第一に、ほとんどの大学で人材が十分に確保されていません。
特に小規模な大学では、IRに専念できる職員が少なく、他の業務を抱えている教職員に兼任させることが多いです。

例えば、ある大学では、IR担当者が2人程度で、実際の作業を行っているのはそのうち1人という状況でした。

この場合、他の部署からデータを集め、それを管理・分析するという非常に重い負担がかかります。このような業務量を1人で抱えるのは難しく、少なくとも2〜3人の実務担当者が必要だと考えられます。
 

詳しい専門家がいない

次に、IRに関する専門的な知識を持った人材が不足しているという課題があります。

IRの業務はデータ収集だけでなく、分析や評価、そしてそれに基づいた大学の戦略的な意思決定をサポートすることが求められます。そのため、少なくともデータ分析に詳しい専門家がいなければ、効果的なIR活動は難しいです。

多くの大学では、他の業務を兼任している教職員が急遽IR担当に任命されることが多く、専門的な知識が不足しているため、活動がうまく進まないケースが見受けられます。それはしばらく経った今でも、変わりません。
 

組織間の連携不足

IRは、大学全体のデータを活用して、大学の運営や教育の質向上に役立てることが目的です。そのため、学内の他の部署との連携が不可欠です。

しかし、IRの重要性が十分に理解されていないと、他の部署との連携がスムーズに進まず、データの収集や共有がうまくいかないという問題が発生します。

急に設置されたIR部署が、学内の他組織と協力するための時間やリソースを確保できないと、結果的にIR活動が進展しづらくなるのです。
 

引き継ぎの問題

部署異動が頻繁に行われると、業務の引き継ぎが不十分になります。実際にあったケースでは、3年ごとに部署が変更になるという大学も。
IRのデータ分析や業務の進行には、これまでのデータの蓄積や、その活用方法を理解していることが重要です。

しかし、異動があると担当者がその業務に習熟する前に異動してしまい、新しい担当者はゼロから学び直す必要が出てきます。このサイクルが続くと、結果として業務が停滞しやすくなります。
 

まとめ

このように、大学IRには多くの課題があるため、進行しづらい面があるのは事実です。しかし、データに基づいた意思決定の重要性はますます高まっており、大学の競争力を維持するためには、今後さらにIRの取り組みを強化していく必要があります。

例えば、外部の専門家やコンサルタントを活用することで、専門知識の不足を補い、学内の連携を強化するなど、様々な取り組みが考えられます。
 

株式会社アイビーネットでの取り組み

現在、アイビーネットでは大学様の大学(教学)IRのサポートをさせていただいております。

  • 管理指標一覧ガイドラインを大学向けに作成

  • 大学運営に関わるデータの「収集」と「蓄積」をサポート

  • 収集したデータの可視化データを作成

  • 分析支援

  • 各種アンケート改善

  • 学内共有資料や学外公表資料の作成 など

今回のようなさまざまな問題に、柔軟に対応させていただいております。
ぜひ、大学IR(教学IR)業務においてお悩みがあるご担当者様は、ぜひご相談ください。

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