IBJ社長室のお仕事(小説風)Vol.2
自分の心音が聞こえる。人は想像していないことがおきると、
体の細胞からの声に敏感になるという。
まさにそんな感じ。
もちろん必要だと思われているから入社している。
そこはありがたいことである。
ただ、出勤日初日10分。
会社自体が「成長ベンチャー」と自負するだけある。
「君に最初にやってほしいことは…」
「…」
「社長アカデミーの復活を行ってほしい。」
「長らく開催が滞ってしまったが、経営と親近感を持たせるために再開してほしい。まずはアイデアを明日までに出してほしい。」
「承知いたしました。」
社内事情を把握し、今現場が知りたいことを探る、、にはあまりにも時間が足りない。また開催間隔が滞る前は約2年間毎月やっていた為、いざ「これだ!」と思っても、既に発信済みのネタであった。
ツダは焦っていた。
最初だからリメイクでも許してもらえるだろうか…。
だが、そんな考えはすぐに吹き飛んだ。
石坂からは入社前にこう言われたからだ。
「新しい風を吹かせてほしい」と。
当然求められているのは、過去のリメイクや今までウケが良かったわけではない。
必要なのは、「新しいコンテンツ」だ、と。
ただ、社内の仕事を把握するのにこのミッションは適任だった。
各事業部から何をしているかの理解と同時に、それぞれが抱えている課題感もわかるからだ。
また、進めていくうちにこんな感情にもなった。
「ワクワクとプレッシャーって紙一重だな」と。
感情は移り変わりは、ちょうど台風シーズンだった時の天気のようなスピードで変わっていく。
そんな中、追い打ちをかけるように先輩が僕にこう言った。
「基本一発OKはないよ…」
雨戸が割れたそんな音が遠くで聞こえたような。
その言葉を聞いて僕は愕然とした。
そうか……一発で通るなんてことはないのか……。
当たり前と言えば当たり前なのだが、そんなことすらも忘れていたのだ。
そして同時にこう思った。
この先、果たして自分にやっていけるんだろうか?と。
そう思いながら、何とか3案を出しきった。
どれがいいかは社長にきめてもらおう。
腹は決まったー
そして次の日、社長のスケジュールを抑え、
提案へ向かう。
「企画案を見ていただけますか?」
「よし、見せてもらおう」
企画に目を通していたのは、15秒ほどだっただろう。
テレビなら1CM分だ。その時間をこんなに長く感じることもそうあることではないだろう。
「ふーん」
「…」
「OK、3案ともやろう」
「…ありがとうございます!」
まるで崖を登り切ったあとの、そんな達成感が
脳ないに広がっていた。
だが、ツダはまだ知らなかった。
その崖はまだ五合目だったことを。
「案はいいけど、今回のアカデミーで試してもらいたいことがある」
To be continued…