なぜ小泉今日子が好きなのか?

最近、「検察定年制度改正法案」に対する抗議をハッシュタグをつけて法案に反対の姿勢を示した小泉今日子。現に賛同した人が増え、Twitterの世論が法案可決を延期に追いやった。

聖子ちゃんカットにフワフワした衣装が流行っていた80年代、小泉今日子のデビューもそんな感じだった。

世間がもう同じような格好に飽き始めたころ、突然ショートカットに(事務所の許可なしと聞く)髪型を変え、「渚のはいから人魚」を歌う生番組を見たとき、心が動かされた。14歳の頃だった。

今では至って普通だが、当時のアイドルとして御法度のようなその容姿、未だにその光景は鮮明に覚えている。
アイドルを捨てたかのような出立で自分の言葉で喋るアイドル。間違いなくその後のアイドルのスタイルを大きく変えた。
好きな食べ物は「焼肉」など言ってはいけなかった時代を根底から変えた人物だと思う。  

Kyon2という名義で当時まだ日本であまり馴染みのなかった12インチシングルレコード「ヤマトナデシコ七変化」のリミックスバージョンをだしたときもカッコよかった。

リミックスってなに?と中学生のときは思った。
LP版なのにシングルで一曲も長い。
和歌山で唯一のレンタル屋さん、もも太郎でレコードをレンタルし、自転車のカゴに乗せてレコードが傷つかないようにと気にしながら1時間ぐらいかけて帰った。  

吉川晃司とかチェッカーズが出始めたころ、歌番組に変化が起こった。ジャニーズや女性アイドルが多かったランキングにアーティストが入ってきたのだ。
アーティストはTVに出ないのがカッコいいといった風潮、自ら作詞作曲するものこそがアーティストであり、それが本当の音楽だ、アイドルは音楽ではないと世間の一部が言いはじめた。  

そんな時、今でもアイドルの象徴となっている曲、「なんてったってアイドル」を歌い、アイドルの主権を取り戻した小泉今日子。
しかし、そのころはあえてアイドルを演じるアーティストの小泉今日子だと感じた。(小泉今日子のことをキョンキュンと言わないファンは本当に小泉今日子のことを知っているファンだと思う 笑)  

雑誌アンアンで小泉今日子はポラロイド写真と身の回りのことを紹介していく連載があった。SNSなどなかったころ、まさに今のInstagram。膨大な書籍が並ぶ自宅や自分で運転する赤のミニ。元旦那さんの永瀬正敏が撮る小泉今日子。家具、映画、音楽、松本大洋がまだ無名だったころ、小泉今日子に教えてもらった。よく本屋で人の目を気にしながら女性雑誌のアンアンを立ち読みしたものだ。
一芸能人には留まらないマルチな世界観に更に惹かれた。
永瀬正敏をパートナーに選んだのもセンスあり 笑
後に離婚後、永瀬正敏主演の私立探偵濱マイクに情報屋として小泉今日子が出演し、2人でゲーセンの対戦ゲームをしながら話すシーンは歴史に残る名シーンだと思う。  

当初、女優の小泉今日子はあまりチェックしていなかった。トレンドドラマなどの枠にはまる彼女ではないと思っていたからだ。
しかし、後に空中庭園、トウキョウソナタで恐ろしい演技を目の当たりにすることになる。


その後、あまちゃんで、NHKの朝ドラということもあり、幅広い年齢層から再度共感を得る。
監督の宮藤官九郎は僕と同じ歳。小泉今日子を起用した気持ちは凄く分かる。  

現在、小泉今日子は、所属していた事務所から独立し、彼女自身が立ち上げた「株式会社明後日」で舞台の制作やプロデュース業を行なっている。
何にも縛られることなく自由でいる小泉今日子は更に発信を続ける。  

間違いなく現政権への指摘だ。
コロナ禍の中、検察定年制度改正法案を通そうとした政府にTwitterでハッシュタグ付きで反対運動を行った。
そうした輪が広がり、実際に世論でこの法案決議を見送らせた。
海外では珍しくない政治発言を小泉今日子は堂々と行ったのである。  

あのアイドルから脱皮したような瞬間を35年ぶりに感じ、また心が動かされた。
アイドルのスタイルを覆したよう、今後芸能人も政治発言が堂々とできる健全な日本に変わっていくだろう。焼肉が好きと言えなかったアイドル界が変わったように。  

こうした枠に囚われない自由な彼女が好きだ。
35年間、ファンでいて本当によかったと思う。

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