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大切な人の自殺を防ぐためにあなたにもできること

もしもあなたの家族や友達、同僚など大切な人が自殺しそうだったらどうすればいいのでしょう。自殺を防ぐためには身近な人が支えになることが大切です。「いつもと違う」と感じたら、勇気を出して声をかけてみましょう

「いつもと違う」様子はその人が悩みを抱えているサインかも

厚生労働省が2016年度に実施した意識調査によると、5人に1人が「これまでに本気で自殺を考えたことがある」と回答しています。たとえ自分自身は自殺を考えたことがなくても、自殺を考えるほどの悩みを抱えている人が周囲にはいるかもしれません。

自殺を防ぐには、悩んでいる人に寄り添い、関わることで孤立・孤独を防ぎ、支援することが重要だと言われています。でも外から見てもその人が悩んでいるかどうかはすぐにはわかりませんよね。そこで、身近な人の「気づき」が大切になります。

たとえば口数が少なくなった、食欲がなさそうだ、よく眠れていないようだ、身なりに構わなくなった、性格が急に変わったように見える、職場を休みがちになるというような「いつもと違う」様子は、その人が悩みを抱えているからかもしれません

また、「いじめ」「リストラ」「家庭の問題」「身近な人との死別体験」「生活苦」などのマイナス要因ばかりではなく「引っ越し」「昇進」「出産」という一見、他人には幸せそうに見えることでも、生活の変化は本人にとっては大きな悩みの要因になることがあることにも注意しましょう。

声をかけて相手の話を否定せず耳を傾けよう

もし、その人が悩んでいるかもしれないと気づいたら、思い切って声をかけてみましょう。どうやって声をかけていいか迷ったら、以下を参考にしてみてください。

声かけの例

眠れていますか?(2週間以上続く不眠はうつのサイン)
どうしたの?何だかつらそうだけど…。
何か悩んでる? よかったら、話して。
なんか元気ないけど、大丈夫?
何か力になれることはない?

声をかけることによって相手が話をしてくれるようであれば、本人の気持ちを尊重しながら耳を傾けましょう。その際、問題はその人の弱さや怠惰からくるものではないことを理解し、責めたり安易に励ましたり、相手の考えを否定することは避けましょう。これを傾聴といいます。

傾聴のポイント

まずは話せる環境を作りましょう
心配していることを伝えましょう
悩みを真剣な態度で受け止めましょう
誠実に、尊重して相手の感情を否定せずに対応しましょう
話を聞いたら「話してくれてありがとう」「大変でしたね」「よくやってきましたね」というようにねぎらいの気持ちを言葉にして伝えましょう

傾聴では温かみのある対応や、真剣に聞いているという姿勢が必要です。まずは相手の苦労をねぎらい、心配していること、今の問題は弱さや性格の問題ではないことを伝えましょう。そして、その問題について一緒に考えていこうと伝えましょう。一緒に考えようという姿勢そのものが支援になります

適切な専門家や相談窓口と連携しよう

もし、悩んでいる人が医療や生活支援などが必要な状態であると感じたら、専門家のサポートを得ることを勧めましょう。この時、一方的に説得するのではなく、相手の気持ちも踏まえて「今抱えている問題を専門家に相談してみませんか」という提案をするようにしましょう。一緒に相談に行こうと伝えるのもいいでしょう。

その人が相談窓口に確実につながることができるように、了解を得たうえで、可能な限り相談窓口に直接連絡を取り、相談の場所や日時等を具体的に設定して伝えましょう。もし一緒に相談窓口に出向くことが難しい場合は、地図やパンフレットを渡す、交通手段や経費などの情報を提供するなどの支援をおこないましょう。

相談窓口
厚生労働省 支援情報検索サイト

相談窓口につながった後も必要があれば相談に乗ることを伝え、温かく寄り添いながらじっくりと見守りましょう。

厚生労働省では、自殺の危険を示すサインに気づき、適切な対応(悩んでいる人に気づき、声をかけ、話を聞いて、必要な支援につなげ、見守る)を図ることができる人を「ゲートキーパー」と呼び、様々な立場の人たちがゲートキーパーの役割を担うことが期待されています。また、ゲートキーパーは、日本だけでなく海外でも、自殺対策の分野でも広く使用されている用語であり概念です。

大切な人や身近な人の自殺を防ぐために、自分自身がゲートキーパーであるという意識をもって過ごし、助けになれるように準備しておきましょう。また、ゲートキーパーは自分自身が安心して暮らせることも大切です。日頃から心身の健康を保ち、休養や日頃のストレス対処を心がけましょう。自らが困ったときには信頼できる人に相談するようにしましょう。

「あなたのいばしょ」では24時間365日、年齢や性別を問わず誰でも無料・匿名でチャット相談ができます。

あなたのいばしょ

参考:
命を守る「ゲートキーパー」とは?(厚生労働省)
自殺対策 ゲートキーパー(厚生労働省)
東京都における自殺総合対策 ゲートキーパーについて(東京都福祉保健局)
あなたもゲートキーパーに!大切な人の悩みに気づく、支える(政府広報オンライン)