銀本解説シリーズ | 広島叡智学園2022(令和4) 社会分野
こんにちは!公立中高一貫校対策のiBASEです。
今回からスタートする「銀本解説シリーズ」では、全国の公立中高一貫校で出題された過去問の中から「良問」だけをピックアップし、その解説を連載していきます。
全国の公立中高一貫校の過去問には、本番の対策になる良問がたくさんある一方で、「赤本」や「銀本」の解説は淡白で分かりづらく、自学自習のために使いづらいケースがほとんどです。この「銀本解説シリーズ」ではそうしたお悩みに応えるために、丁寧で分かりやすい解説をお届けします!
1.今回の出題:広島叡智学園2022
①問題
複数の資料から読み取れることを記述する問題。社会課題をテーマにした5つの資料から起きている問題を述べ、それに対応する解決策を提案するという内容です。この形式は、公立中高一貫校では非常にオーソドックスな問題であり、志望校を問わず社会分野のトレーニングとして最適な一題です。
②解答時間
「20分」を目安に、取り組んでみてください。
2.問題の分析
「資料の分析・課題の発見」を行い、「その解決策を考え提示する」という出題でした。広島叡智学園が重視する、探究的な学びのプロセスが再現された出題であると言えるでしょう。
字数制限はなく、罫線のみの解答用紙です。学校HPに掲載の実際の解答用紙によれば、縦15行分(課題:7行/解決策:8行)で最大約500字程度の解答欄となっています。昨年度と比べると、やや解決策を重視する字数配分に変更されたものの、概ねの合計文字数は来年も変わらないと思ってよいでしょう。
3.解答・解説
⓪フレームを理解しよう
今回のような資料読み取り問題を攻略するにあたっては、まず前提として理解しておきたい”考え方”があります。iBASEではこれを「問題解決フレーム」と呼んでいます。
「問題」とは、今起きているよくないことやその状態・様子のことです。その「問題」が長く放置されてしまうと、望ましくない状態が続いていきます。その先にある未来を「予想像」と呼ぶことにします。一方でそうした予想に反して、問題が解決された誰もが”こうあってほしい”と思い描く未来の姿を、「理想像」と呼びましょう。
この「理想像」と「予想像」の間にある大きな差を埋めるために、私たちが取り組むべき事柄のことを「課題」と呼びます。その「課題」をより具体的な計画や行動に落とし込んだものが「解決策」です。
ここまでの内容をきちんと頭に入れたうえで、さっそく問題の解説に入っていきましょう。
①資料の分析し、分類する
問題内で示される資料たちは必ず、すべて何らかの「問題」や「課題」、そして「解決策」を表していたり、またはそれを考えるための手がかりになってたりします。「問題解決フレーム」を意識しながら、資料1~6について見てみましょう。
資料1からは、各地域で食料廃棄が多く生じていることが分かります。特に北アメリカやヨーロッパ、オセアニアなど、一般的に先進国と呼ばれる国が多い地域からは、他のエリアと比べ消費における廃棄が多いことも特徴として読み取れるでしょう。
資料2では、問題文中でも示された飢餓人口についての内訳が見て取れます。アジア・アフリカという、いわゆる発展途上国の多い地域に、飢えで困っている人が多いことが分かります。
資料3では、資料1・2でも提示された各地域の、今後の人口推移が示されています。特にアジア・アフリカの人口増加が著しいことが、このグラフから強く読み取れる特徴です。
資料4は、日本国内における食品ロスについてです。一般家庭におけるロスが大きな割合を占めています。この一般家庭における消費が、資料1における「消費」に分類されると気づけると、この後の解答づくりがスムーズになるでしょう。
資料5は、フードバンクについて。その数が増加し続けていることが分かります。
資料6は、「政府開発援助の様子が分かる写真」として提示されました。米作りの技術を伝える様子が示されています。
さて、様々な情報がたくさん示されました。ここから改めて、先ほどの「問題解決フレーム」に当てはめて考えていきます。
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