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No.6_アイシンシロキ株式会社


はじめに

 自動車のドアや窓に関わる機能部品、シート骨格部品を製造しているアイシンシロキ株式会社。普段は目立たない場所に隠れているのであまり意識されませんが、車のボディを支えたり、窓やドアをスムーズに動かしたり、快適で安全なドライブができるのはこれらの部品があってこそ。人間の体で言えば骨や神経のような大切な役割を担っているといってもいいのではないでしょうか。今回は、アイシンシロキ株式会社大阪工場のみなさんに、どんなお仕事をされているのか聞いてみました。

どんな会社ですか?

 私たちの会社は、1946年に「白木金属工業株式会社」として創業しました。当時は東京・日本橋にあった老舗百貨店「白木屋(現在の東急百貨店)」の子会社として、鍋などの金属製家庭用品を製造していました。自動車部品を作るようになったのは1948年、車の窓枠から始まって、1960年代には自動車用キーやシート骨格部品の製造に伴い豊田(愛知)や神奈川(藤沢)など日本各地に工場を設立して生産体制を拡大しました。1988年に「シロキ工業株式会社」に社名変更してアメリカ、中国、タイに工場を建て、世界に認められるものづくりを行ってきました。その後、2016年にアイシン精機との経営統合を経て、2023年「アイシンシロキ株式会社」へ社名を変更し、大手自動車メーカー各社向けの重要な部品を製造しています。
 
 大阪工場は1959年に池田市で操業を開始してダイハツ工業向けの自動車の部品を製造していました。1977年に茨木市へ移転し、主にドア周りの部品をつくってきました。現在はアイシングループの関西の玄関口として、お客様の多様なニーズに応えながら幅広い部品の製造、販売を行っています。シロキの小回りが利く会社ならではの柔軟な対応と、アイシンの大企業ならではの販売力や知識を活かして、常に時代に合わせた技術革新をしていきたいと思っています。
 
 技術面での私たちの強みはプレス加工やロール成型です。プレス機が鉄板に何度も打ち込まれるたびに、金型や設備はとても消耗します。そうすると、金型の状態や鉄の性質によっては鉄板が均一に伸びない場合もあり、それが割れやすさにもつながります。自動車の部品では、そのような欠陥が命に関わるので絶対に避けなければなりません。何十年も問題なく機械を使い続け、毎日安定した製品を作り続けることは、シンプルなようでとても難しいことです。現場のスタッフの人間力と技術力の高さが、日々のものづくりを支えています。

日頃、どんなものを作っていますか? 

私たちの会社で作っている代表的な製品のひとつに「ドアサッシ」があります。これはドアや窓の強度を保ち、騒音や水の侵入を防ぐために欠かせない部品で、車全体の骨格を支えたり、風雨や衝撃から守る役割を果たしています。私たちの得意とするロール成型技術(複数のローラーを繋げて、金属の板を徐々に成形していく加工技術)を使って、コイル状に巻かれた鋼板から複雑な形状を精密に加工し、効率よく製造しています。
もうひとつは「ウィンドレギュレータ」です。これは、車の窓を上下に動かして開閉を調整する装置で、普段は見えない部分ですが、工場見学では透明なドアを使ってどのような仕組みで動くのかを実際に見ることができます。
その他にも、軽く触れるだけで自動的に開閉できるパワースライドドアや、ドアを開くときにいくつかの位置で止めて開閉を調節できるストッパーなど、さまざまな部品を製造しています。これらは、普段気に留めることはあまりないかもしれませんが、安全で快適な車の利用には欠かせないパーツです。

大切にしていることはなんですか?

 私たちが何よりも一番大切にしていることは「安全性」です。自動車の部品には、その車に乗る人の命を守る大事な役目があります。ですから、どんなに小さな部品でも、間違いは許されません。しっかり安全を守るように心を込めて製造しています。会社全体で決められた品質管理の基準や、安全規則に基づいて行動するのはもちろんのこと、作業環境の改善や、安全性向上のための設備投資など、従業員へのフィードバックも大切にしています。工場内に困りごとを提案するためのボードを設置して、スタッフからのアイデアや意見を募り、終業時にリーダーがそれをチェックして必要な改善を速やかに行うようにしています。
また工場の2階には「安全道場」を設置しており、新人スタッフにはまず作業を始める前に、実際にどんな危険があるかを体験してもらいます。このシミュレーションは機械に手を挟む危険や、重いものを運ぶ際の注意点など現場で起こり得る危険をリアルに体験できて、現場に出たときに安心して作業するためのもの。自分自身だけでなく周囲の人の安全にも常に注意を払いながら、みんなが安心して働ける職場を目指しています。

働いていて楽しいのはどんなときですか?

新しいプロジェクトが始まって、力を合わせて皆でひとつの仕事をやり遂げたときは、やはり嬉しいです。苦労して作った製品が完成するときに立ち会うことや、自分たちが作った製品が使われている車を街で見かけたときにも喜びを感じます。そういう達成感や喜びも一緒に働く仲間がいるから感じることができるものです。悩みや困難を一緒に乗り越えたり、間違っていたら正してくれたり、冗談を言い合ったりしながら楽しく働ける仲間がいてくれることは会社に行く原動力になりますね。

今後の課題や挑戦はなんですか?

私たちが開発として力を入れているのは、薄くて軽く強度の高い「超ハイテン材」と呼ばれる鉄板の加工です。時代の進化によって、求められるもののレベルがどんどん高くなっていきますので、それに合わせて私たちも技術力を高めて、新しい技術や分野にも積極的にチャレンジしていきたいですね。また、現場ではマニュアルでは伝わらないような技術も多いので、昔ながらの師弟関係に近いやり方で技術を継承する場面も多いのですが、このやり方が課題と認識しています。アイシンと統合したことで今まで製造したことのない製品で新たな技術に挑戦しながら、事務的な面でも知識の習得や新しい分野の仕事を創出していきたいです。

ライターが感じたアイシンシロキ株式会社さんの魅力

工場長をはじめ、技術室、品質管理、安全管理など各部門の皆さんが集まってくださり、異なる仕事をしながらもお互いに尊敬し合う雰囲気が伝わってきました。アットホームで和気藹々とした中にも、人命を預かる仕事への強い使命感が感じられました。工場では車の窓の動きが透明なドアで可視化される様子や、コイル状に巻かれた硬い鉄板が魔法のように美しくカーブするロール成型技術を見学することができて非日常的なワクワク感がありました。また、工場内に設置された安全道場や徹底した安全対策に、ものづくりの現場への信頼感が一層高まりました。車好きの方はもちろん、車にあまり興味がない方でも興奮すること間違いなし!の魅力溢れる工場見学でした。

企業情報

アイシンシロキ株式会社
https://www.shiroki.co.jp/

運営・制作

〒543-0062 大阪府八尾市神武町1-36
いばらきオープンカンパニー事務局(株式会社友安製作所 内)
E-mail:socialdesign@tomoyasu.co.jp
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