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警護業務を始める

第3章 身辺警護・要人警護の実践

第2章では、身辺警護・要人警護業務についての基本的な考え方や知識・技術を紹介してきました。第3章では、この基礎知識・技術・考え方に基づいた、警護業務の実践について紹介していきます。

1.警護業務を始める

※今号は、日本国内における【警備業務】について紹介しているものです。既に警備業務についての基礎知識がある方は飛ばしていただいて構いません。

ボディーガードとして働く
日本国内でボディーガード(身辺警護・要人警護)業務を行うにあたり、注意しなくてはならないのが関連する法令です。警察や軍隊にいたから,格闘技が得意だから,海外で警護経験があるから、などという理由だけで、勝手にボディーガードを名乗ったり、警備業務を行ったりするわけにはいきません。関連する法令を遵守しておかないと、違法行為として罰せられるだけでなく、その後数年間、警備・警護業務を行うことができなくなってしまいます。

日本国内でボディーガードとして活動するには、第1章で紹介したように、大きく2つの方法があります。
(1) Official Protection : 公的機関での警護業務
(2) Private Protection : 民間での警護業務

Official Protection(公的警護)につきましては、公務員として警察や軍隊,法執行機関等に所属して警護業務にあたる方法で、公務員として所属する組織によって規定等が異なりますので、ここでは割愛します。

Private Protection(民間警護)には、さらに2つの方法があります。
(a) 民間警備業者に所属して警護にあたる
(b) 個人的に雇われて警護にあたる

警備業法という法令に則って警備業務を営む事業者を“警備業者”といいます。この警備業者に所属して四号警備業務(身辺警備)に従事するのが、(a)民間警備業者に所属して警護にあたる、という方法です。警備業の認定は、企業だけでなく個人事業主でも取得ができますので、警備業者=企業(株式会社等)とは限りません。
警備業者は、法令で定められた有資格者(警備員指導教育責任者)を専任として置き、所属(登録)する警備員全員に対し、法令で定められた教育や指導の計画と実施・記録が義務づけられ、実際の警備業の現場での管理・監督が必要となります。

警備業者(警備会社)に所属する以外の方法として、個人的に直接VIP等に雇われて警護にあたるのが、(b)個人的に雇われて警護にあたる=プライベート・コントラクター(Private Contractor)です。直接VIP等から雇われる形態ですので、多くは、もともとコネクションがあったか、知り合い等から紹介を受けたか、自身を上手に売り込んだか、のいずれかになります。いずれにしても、キャリアや経験,信頼や実績,コネクションやネットワークなどが必要となります。

身辺警護・要人警護を含むすべての民間警備業務は、警備業法という法令の中で細かく定義され、警備業者や所属する警備員の必要な要件などがしっかりと規定されています。また他にも、日本国憲法をはじめ、刑法,民法,刑事訴訟法,軽犯罪法,銃砲刀剣類所持等取締法,爆発物取締罰則,ストーカー行為等の規制等に関する法律,暴力行為等処罰に関する法律,人質による強要行為等の処罰に関する法律,毒物及び劇物取締法,破壊活動防止法,組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律など、人を護るために関連してくる法令はたくさんあります。

法令で定められた要件をすべてクリアし、ボディーガードとして働くことのできる体制が整い、身辺警護・要人警護業務を適正に実施するために必要な知識と技術を習得したら、いよいよ警護の仕事を受けます。


次回は《警護業務受注までの流れ (1)警護問い合わせ》について紹介します。


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