年末年始は、感染拡大のなかでの「自分(たち)なりのよい暮らし方」を考えるよい機会
新型コロナウィルスの感染がまた拡がっていますね。現在の新規感染者数は全国で、緊急事態宣言が出された4月7日の約10倍にまでなっていますが、そういう話題に慣れてきて感覚が鈍ってきたのか、報道も不安を煽らないように控えめになっているのか、あまりリアリティがないというのが実情かもしれません。
僕の専門ではないのですが、その微生物学の学術論文* によれば、新型コロナウィルス(SARS-CoV-2)やインフルエンザウィルスなどは湿度の高さはウィルスの生存に不利に働くようです(つまり、湿度が下がるというのはウィルスにとっては好条件)。また、湿度の低下は気道粘液線毛クリアランスを減少させ、自然免疫応答を弱める(つまり、湿度が下がると、人間の器官の機能が働きにくくなり感染しやすくなる)ということのようです。
* Leslie Dietz, Patrick F. Horve, David A. Coil, Mark Fretz, Jonathan A. Eisen, Kevin Van Den Wymelenberg, "2019 Novel Coronavirus (COVID-19) Pandemic: Built Environment Considerations To Reduce Transmission", American Society for Microbiology Journals, April 7, 2020. https://msystems.asm.org/content/5/2/e00245-20
よくよく考えればインフルエンザも冬に流行るのであって、春から秋にかけては流行りませんよね。その意味で、新型コロナウィルスの感染拡大も冬が正念場ということになるのではないでしょうか。今年春の緊急事態宣言時は、季節的にあの程度で済んだということではないかと思います。
いずれにしても、この冬、ウィズ・コロナの時代にどう暮らし、生きるのかについて考えることが重要になると思います。
今年、『コロナの時代の暮らしのヒント』という本を出しました。これは、STAY HOMEの状況で、どのように自分(たち)で自分(たち)なりのよい暮らしをつくっていくかを考えるための発想支援の本です。今年春ごろの我が家の実践例も、参考にいろいろ紹介しました。
この本が出版されたのは9月で、日本では感染状況が一旦落ち着いていたので、時期的にあまりピンとこなかったかもしれませんが、また感染拡大が広がり、春よりも厳しい状況になっている今こそ、読んでいただきたい内容になっています。
ぜひ、入手してご覧いただければと思います。そして、パートナーや家族と一緒に住んでいる方は、ぜひこれをきっかけにして話し合ってみてください。ワイワイと話しながら、いろいろな可能性や面白いことが生まれてくると思います。
『コロナの時代の暮らしのヒント』(井庭 崇, 晶文社, 2020)
生活、学び、仕事に子育て
不安に揺れる日々を
いつか思い出になるような
かけがえのないものにする32の知恵
いま、新型コロナウィルス感染症禍で、誰もが大きなストレスや不安を抱えながら暮らしています。この難局を乗り越えるためには、みんなが創意工夫をしながら、自分たちのよりよい暮らし、働き方、学び方をつくっていくしかありません。
そこで、さまざまな分野のコツを集め分析・研究してきたプロフェッショナルが、大変な状況のなかでの暮らしをよりよくするヒントを、独自の手法でまとめました。
生活、学び、仕事、子育てなど、ひとつひとつの知恵・工夫は、シンプルで簡単なものばかり。お子さんがいる家庭にも、一人暮らしの方にも役立つ32のヒント。みなさんの暮らしをよりよくするための参考になりますように。
「今のコロナの時代を、感染症に関係を侵された時代というだけでは終わらせず、身近な人との関係を紡ぎ直した時代として過ごしていこう、そして、社会で起きた出来事をこれからも忘れないというだけでなく、忘れられないほどのかけがえのない人生の一部として生きていこう。そういう思いと希望を持って、本書を書きました。」(「おわりに」より)