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【IB日本語A】SSST Booklist作成の重要ポイントガイド~SSST履修予定のIB生必見~

IBDP(国際バカロレアディプロマプログラム)を選択したところ、SSST(セルフトート)というコースでJapaneseが履修できるらしい。
学校から、SSSTが始まる前にブックリストを提出するようにと言われたけどどうしたらいいの?何を参考にしたらいいの?と不安に思われている生徒も多いのではないでしょうか?
今回は、SSST(セルフトート)を進めるにあたって重要なブックリストの作成ポイントについてまとめました。
最終試験にも大きくかかわる文学作品選び。ブックリスト作成にあたってのヒントになりましたら幸いです。

SSSTって何?という方向けにSSSTについての紹介記事も投稿しておりますので、ご参考までに。



学校で開講されているLanguageA Literatureの正規科目では、授業担当者や担当者チームがどんな文学作品をあつかうか決めています。
しかしIBDPのSSST(School Supported Self-Taught)プログラムでは、生徒が学ぶ文学作品、いわゆる「ブックリスト」を自分自身で選ぶ必要があります。このブックリストは、2年間で学習する作品の構成を決める重要なものです。その選定にはいくつかの細かなルールがあります。

指定作家リストから選ぶ

まず、IBが指定するPRL(Prescribed Reading List(https://ibpublishing.ibo.org/prl/?lang=en):ウェブ検索すると閲覧できますが、載っているはずの作家に抜け漏れがあるので参考程度にみてください)にある作家の中から選ばなければならないというルールがあります。また、リストには詩、戯曲、小説といった複数の文学形式を含める必要があります。

さらに、日本人作家の作品だけでなく、海外作家の作品も必ず選ばなければならないため、幅広い視野で選書しなくてはなりません。

2024年8月からは、このブックリストに含まれる作品数が従来の9冊から7冊以上に減少しました。この変更により、生徒たちはより厳選した作品を選ぶことが求められるようになりました。
また、他言語のLanguage Aで選択された作品と同じものを扱うことはできません。たとえば、English Aでジョージ・オーウェルの『動物農場』を学んでいる場合、Japanese Aで同じ作品を取り上げることはできません。

また、IBの公式なルールとしてではありませんが、ブックリストの中に男性作家と女性作家のバランスを意識することを推奨しています。これは、多様な視点を取り入れることで、より豊かな学びを促そうとしているのでしょう。

作家の選び方

ブックリストを作成する際、上記の細かなルールを守れば、どのような作品を選ぶかは生徒の自由です。ただし、その選び方にはいくつかのポイントがあります。

好きな作家・作品から選ぶ

自分の好きな作家や作品を中心に選ぶ方法です。
自分が心から興味を持てる作品であれば、学習のモチベーションも自然と高まるのではないでしょうか。たとえば、普段から愛読している作家の新しい作品や、以前から興味があったテーマを扱った本を選ぶことで、学びがより充実したものになるでしょう。読書と疎遠な生徒には難しい選び方かもしれません。

試験に焦点をあてて選ぶ

試験のことを考えて作品を選ぶという実用的な視点です。IBの各種試験に対応できるよう、扱いやすい文学形式やテーマを持つ作品を選ぶことが重要です。この点については、担当チューターと相談しながら進めるのが良いでしょう。どの作品やテーマが試験に適しているか(書きやすいか)をアドバイスしてもらうことで、選書の失敗のリスクを減らせます。

作品で扱っているテーマやグローバルな問題で選ぶ

上記の好きな作家や作品から選ぶのと、試験に焦点をあてて選ぶのと似ています。作品が扱うテーマや、そこに描かれるグローバルな問題に注目して選ぶ方法です。恋愛、フェミニズム、戦争、自由など、普遍的なテーマが文学作品ではよく取り上げられます。こうしたテーマに共感したり、もっと深く知りたいと思うことで、作品の分析が一層楽しくなるはずです。

作者と作品の参考

参考程度に多くの学校のIB Japaneseで取り上げられている作品例です。

翻訳作品

ヘンリック・イプセン『人形の家』
カフカ『変身』+α
ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴隷少女に起こった出来事』
エミリー・ディキンスン『エミリー・ディキンスン詩集』
アーサー・ミラー『セールスマンの死』
カズオ・イシグロ『日の名残り』『私を離さないで』
カミュ『異邦人』
ガルシア・マルケス『族長の秋』
ソルジェニーツィン『イワン・デニーソヴィチの一日』

日本文学

安部公房『砂の女』
遠藤周作『海と毒薬』『沈黙』
芥川龍之介『羅生門・鼻』
茨木のり子『茨木のり子詩集』
井上ひさし『父と暮らせば』
有吉佐和子『華岡青洲の妻』
大岡昇平『野火』
谷川俊太郎『自選 谷川俊太郎詩集』
多和田葉子『献灯使』
中島敦『李陵・山月記』
森鴎外『舞姫・うたかたの記』
夏目漱石『こころ』『三四郎』
吉本ばなな『キッチン・満月』

最後に(YELが考える重要なポイント)

最後に最も重要なポイントです。
SSSTはDP1年生段階から始まります。
つまり、G11やY12、高校2年生から始まります。
ということは、DPの課程がはじまってからブックリストを作成すると、それだけ遅れをとることになります。
もう少し現実的なお話をすると、自分にピッタリなチューターを探し(これが大変)、チューター・学校の担当者やEnglishなどの先生・生徒自身を交えながら相談しつつ、このブックリストを作成する、ということになります。

日本人は(文化や習慣のせいなのか)勤勉なので、メールなどの連絡をこまめに返信してくれます。しかし、海外の先生方はそうとは限りません。もちろん人によりますが。
また、新学年がはじまる前の冬休みや夏休み期間中、学校の先生とコンタクトをとることは非常に困難なのではないでしょうか。
少なくとも、SSSTコースを選択するのであれば、DPがはじまる2~3カ月ほど前から事前準備に入った方が無難だと思います。

JAPANESE AをSSSTで履修することになるのか分からないという方は、まずは学校のCoordinatorの先生に確認するのもよいかもしれません。


Yoshida Education LabでもSSSTチューターとしてJAPANESE Aの指導を行っております。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせくださいね。

◆ IBDP JAPANESE A SSST講座の詳細はこちら↓

現役IB教員が指導する”IBDP JAPANESE A SSST講座(国際バカロレア日本語Aセルフトート)"です。学校の探究型授業と同様の内容をオンラインで提供し、最終試験に求められる文学作品の深い読解と表現スキルを体系的に磨きます。最終試験を踏まえたブックリストの作成やスケジュール管理もサポートいたします。

◆【IB JAPANESE専門指導】Yoshida Education Labについてはこちら↓


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