ビットコインは世界を変えるか?
2013年8月のある暖かい朝、私はある会議に参加しました。
その会議のトピックは、「ビットコインは世界を変えるか?」というものでした。
そして、当日にベンチャーキャピタルやヘッジファンドマネージャーのトレーダーと一緒に朝食を食べていた時。
注目のゲストであった、バリー・シルバートが次のような発言をしたのです。
「私の資産の大半はビットコインが占めており、これがいつの日か世界の準備通貨になると信じています」
バリーは私がソロモンブラザーズで働いていた時の同僚。
後に、IPO前の株式を公開している取引所Second Marketを設立し、成功を収めるなど、先見の明がある人物です。
そんな彼が言ったことだったとしても、「ビットコインが準備通貨になる」という発言は、正気ではないと当時の私は感じていました。
なぜなら、当時ビットコインは1,000ドル以上から下落した後、100ドル未満で取引されていたからです。
また、中にはビットコインを使った詐欺をする者がいたり、取引所がハッキングされるということもありました。
正直なところ誰もビットコインへの投資を真剣に考えていなかったでしょう。
そんな中、私はバリーの発言を真剣に考え、ビットコインについてもっと学ぶ必要があると感じていました。
「仮にもしビットコインが今後、普及していけば大きなチャンスになる。」
そのチャンスを逃したくなかったのです。
そこで、そこで私は250ドルで2.5ビットコインを購入することにしました。(写真は当時の取引の領収書です)
すると、どうなったか?
当時、1ビットコイン100ドル程度だった価格が、2017年には19,000ドルになり、18,900%まで上昇しました
ただ、ビットコインの出現は暗号資産革命の始まりに過ぎなかったのです。
ビットコインが登場して以来、何千もの暗号資産が生まれてきました。
今では、2万種類を超え、1日に数十以上もの暗号資産が新たに誕生することもあります。
14年前の当時、バリーの発言は正気ではないと思った人はたくさんいたでしょう。
しかし、この暗号資産の流れは2004年に株価が大きく上昇した、ドットコム企業への投資とよく似ています。
2000年初めにドットコムバブルがはじけ、ドットコム企業の株価が大暴落しました。
ただ、その大暴落の最中、ebay、Google、Amazonに投資していた場合、それぞれ248%、3,400%、4,200% の利益を上げていたことになります。
私がこれら3社を例に出したのは、いずれもバブル期に立ち上げられ、現在も健闘している企業だからです。
彼らは、「第一世代」のAppleとマイクロソフトに続く「次世代」のテクノロジー企業。
彼らと同様に、ビットコインは暗号資産の「第一世代」と言えます。
テクノロジーが進化するにつれて、次世代の暗号資産は人々の生活を変えるものになり、多くの利益をもたらす可能性があるのです…
ブロックチェーンとweb3.0が果たす重要な役割
暗号資産に対しては、ネガティブな考えを持っている人もいるでしょう。
そんな中、私がポジティブな考えを持った理由は、ブロックチェーンの存在にあります。
ブロックチェーンとは、ある取引履歴を暗号技術によって1本の鎖のようにつなげ、正確な取引履歴を維持しようとする技術。
これがあることで、データの破壊・改ざんが極めて困難になり、
障害によって停止する可能性が低いシステムを作ることができます。
また、銀行などの中央集権的なシステムが存在しないことも特徴です。
一般的に私たちは何かの支払いをしたり、誰かにお金を送金する際、一度銀行を経由して行われることになります。
ただ、ブロックチェーン技術があれば、銀行などの中央集権的な存在がいなくても世界中の人々とお金のやりとりが可能になるのです。
そして、ブロックチェーン技術は単なる決済手段になるわけではありません。
不動産、保険、ヘルスケア、エネルギー、サプライチェーンなど、私たちの生活に役立つものにもなり得ます。
この動きはweb3.0と呼ばれ、インターネット第3の最新世代です。
ブロックチェーン技術がなぜ、そのような存在になる可能性があるのかを説明する前に、これまでの経緯を見てみましょう。
web1.0世代
ダイヤルアップモデムを覚えていますか?
これは、電話回線を用いたインターネット接続方法。
1990年代に電話回線さえあれば利用できる、インターネット回線として普及しました。
当時は画期的なものでしたが、低速であるという大きな欠点を持っていました。
例えば、音楽をダウンロードするだけ何時間もかかることがあったのです。
web2.0世代
次に登場したのが、web2.0。
その後、Webアプリケーション、ソーシャルメディアの台頭が始まりました。
これにより、インターネットに接続できる人なら誰でも自分のブログを作成したり、FacebookやTwitterに自分の意見が投稿したりできるようになったのです。
web1.0世代はインターネットが「読む」ためだけのものだったが、web2.0世代では「書く」ことも容易になりました。
このイノベーションにより、2009年に市場が底を打って以来、長い間テクノロジーブームが続いてきました。
一部のアナリストは、インターネットが発明されて以来、10兆ドルの経済的価値を生み出したと推定しています。それは主にweb2.0のおかげと言えるでしょう。
一方、その発展は「個人情報」という代償を伴うものでもありました。
web2.0では、大きなテクノロジー企業がインターネットを制御できるようになりました。Googleは代表的な例でしょう。
Googleで何かを検索すれば、誰が?いつ?何を?検索したのか?といった情報は全て彼らが手に入れることになります。
また、SNS上の私たちの「いいね」、写真、さらにはプライベートな会話にすら企業がアクセスできるようになりました。
これによって、私たちが知りたいこと、見たいものが彼らによって操作される可能性があるのです。
そこで、次に大きな役割を果たすのがweb3.0です。
web3.0世代
web3.0がもたらす最大の変化は、データを管理する中央集権的な存在がいないことです。
Amazon、Facebook、Googleなど、インターネットを管理する企業の代わりに、私たちは自分のデータを保持し、必要な場合にのみ共有することができます。
そして、それを成し遂げるのがブロックチェーン技術です。
さらに、このブロックチェーン技術を成り立たせるために、暗号資産が大きな役割を果たすことになります。
(ここでは説明が長くなるため、その内容は割愛します。)
暗号資産は単なる、”お金”として使われるものだけでなく、私たちの生活を便利にするテクノロジーの一種と言えるのです。
そういった見方をすれば、今後、暗号資産がより普及していくことも大いに期待できるでしょう。