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ビットコインが生む「お金の無限ループ」

ソフトウェア機能が「ビットコイン」企業に?

2024年は最後まで暗号資産のニュースが尽きないようです。

12月23日、ビットコインへの積極投資で知られるマイクロストラテジー(Nasdaq:MSTR)がナスダック100指数に採用されました。

出所:Reuters


ナスダック100指数とは、テクノロジー企業などの新興企業を中心に構成されるナスダック上場企業のうち、時価総額上位100位以内の企業で構成される指数です。

実際マイクロストラテジーも、30年以上の歴史を持つ企業向けの分析ソフトウェア企業。

しかし、ご存知の通りマイクロストラテジーはソフトウェア業界での活動が注目されているわけではありません。

もはや単なるソフトウェア会社ではないのです。

2020年、マイクロストラテジーのCEOだったマイケル・セイラー氏は、大胆な決断を下しました。

ビットコインをインフレのヘッジ手段として取得し始めるというのです。

それ以来、マイクロストラテジーはビットコインの価格が変動しても買い続けてきました。

そして現在、ビットコインの発行上限2,100万のうち、2%以上を保有するまでになったのです。

この戦略はリスクが高いものだったのは確かです。

しかし、現状を見てみると大成功と言えるでしょう。
セイラー氏の指揮の下、今年だけで、同社の株価は最大で521%も上昇しました。

出所:Trading View

そして、この驚異的な株価上昇はソフトウェア事業とはほとんど関係ありません。

ある調査によると、マイクロストラテジーのソフトウェア事業が株価全体で占める価値は、わずか0.3%に過ぎないとされています。

一方、ビットコイン事業は大成功を収めています。

その結果として、株価を大きく伸ばしナスダック100に採用されるまでになりました。

その時価総額は、2020年8月11日にビットコインを初めて購入した際の約14億ドルから、現在の約872億ドルにまで増加しました。
(2024年12月25日時点)

その増加率は6,200%以上に達しています。

この大きな成長を支えている主な要因の1つは、ビットコインの価格上昇です。

ビットコインは今年、6ヶ月以上にわたって、5万ドルから7万ドル程度の水準となっていました。

しかしその後、一時10万8,000ドル台にまで到達し、12月27日時点では9万5,000ドルの水準となっています。

出所:Trading View

マイクロストラテジーが生む「無限のお金ループ」


ここで注目するべきなのが「マイクロストラテジーがどのようにしてビットコインを取得してきたか」です。

マイクロストラテジーは、株式の発行・売却や転換社債の発行を通じて資金を調達し、それをビットコインの購入に充ててきました。

これが「お金の無限ループ」を生み出しています。

どういうことか?

同社は株式によって資金を調達しているため、株価が上昇すればさらに多くのビットコインを購入することができます。

そして、ビットコイン価格が上昇すれば、先ほどもお話ししたように株価を押し上げます。

するとさらに、マイクロストラテジーはビットコインを購入できるというわけです。

さらに、同社がナスダック100に加わったことはその流れを加速させたと言えるでしょう。

ナスダック100にはその動きを反映する投資信託やETF(上場投資信託)があります。

ETFとは個別株のように売買できる投資信託のことで、これらを運営する多くの機関投資家がマイクロストラテジーの株を買うことになります。

その結果、株式市場全体の低迷の影響を受けていた株価は大きく上昇。

出所:Trading View

そして、その株価上昇がビットコイン購入につながるのです。

実際、マイクロストラテジーはナスダック100採用直前にビットコインを追加購入したことを発表し、さらなる資金調達も発表しました。

出所:BE IN CRYPTO「マイクロストラテジー、ビットコイン購入のため株式追加発行へ」

ビットコイン戦略の成功がもたらすもの


現在、マイクロストラテジーは、企業が保有するものとして、世界最大規模のデジタル資産ポートフォリオを持っています。
その爆発的な成長は、暗号資産を中心とした企業戦略が成功する可能性を示しています。

さらにナスダック100への参入がこのリスクが高いビットコイン戦略が市場で受け入れられることを証明しているのです。

そしてマイクロストラテジーのように、企業がビットコインを資産として保有することが大手企業にとって魅力的な選択肢となっていくでしょう。

12月上旬にはマイクロソフトの株主総会においてビットコインの保有をするかどうかの投票があり、結果としては否決されました。

しかし、重要なのは「もし」ではなく「いつ」です。

大手企業がビットコインを資産として保有するのは時間の問題でしょう。

それはAmazonやAppleかもしれません。

最終的にはマイクロソフトの株主も折れるかもしれません。

いずれにせよ、それは起こることでしょう。

そして、至る所で巨大な「お金の無限ループ」が生まれる可能性があるのです。

それが理由の1つとなり、私はビットコイン価格が右肩上がりで上昇していくと考えています。

そしてこれまで、ビットコインが上昇すると、より小規模なアルトコイン(ビットコインの代わりとなるようなその他の暗号資産)はそれ以上の値上がりをすることがよく起こってきました。

2025年も暗号資産市場の成長に期待しましょう。


イアン・キング