Change Agent(組織変革者)としてのHR⑧「“チーム”を理解する」
あらすじ
新たな課題が浮上したDXプロジェクト。多様な背景を持つメンバーたちが一堂に会し、目標達成に向けて邁進していたが、チーム内での意見対立が激化する場面が増えていた。若手の田辺翔太は自由な発想を活かしようとするが、実現可能性を重視する矢島薫との溝が深まる。一方で、吉村直人のデータ主導のアプローチは、直感的な判断を好む中村課長と食い違い、次第に全体の士気が低下していく。
そんな中、瑞穂は「対立は必ずしも悪いことではない」という視点から、新しいワークショップを提案。意見の衝突をチームの成長につなげる手法を試みる。しかし、状況は一筋縄ではいかず、各メンバーの感情や価値観が浮き彫りにされていく。
佐藤健太は、リーダーとして初めての難局に直面する。信頼関係を保ちながら、どのようにチームを再結束させるのか?田辺や矢島が葛藤を乗り越え、再びチームとしてまとまる日は訪れるのか?そして、この経験がプロジェクトと彼ら自身にどのような影響を与えるのか?
登場人物
篠崎 瑞穂(しのざき みずほ)
32歳。HR部門の主任。チーム形成やクオリティ・マネジメントを専門とし、プロジェクトの基盤づくりを支援している。
佐藤 健太(さとう けんた)
27歳。営業部の若手エース。リーダーとして、チームを効果的に機能させる方法を模索中。
田辺 翔太(たなべ しょうた)
25歳。営業部の若手社員。自由な発想を持つが、チームプレーヤーとしての意識がまだ発展途上。
矢島 薫(やじま かおる)
29歳。営業部の中堅社員。冷静沈着で、チーム内での調整役を務める。
吉村 直人(よしむら なおと)
30歳。マーケティング部の主任。データ分析を通じて、チームの意思決定を支援。
中村 奈緒(なかむら なお)
45歳。営業部の課長。長年の経験からチームの動向を的確に捉える。
第1章:チームが多用される理由
DXプロジェクトの開始から数ヶ月、佐藤は明らかな成長を見せていた。しかし、新たな課題も次々と浮上していた。特に、部門横断型のプロジェクトでは、異なるスキルや専門性を持つメンバーをどのようにまとめるかが大きな課題だった。
ある日の会議で、瑞穂がチームの価値について語った。「チームは単なる個々の集合体ではありません。それ以上の成果を生むために、多様性や専門性を活かす仕組みです。」
彼女はさらに、現代の組織でチームが多用される理由を以下のように説明した。
複雑な問題への対応
「個人では解決できない複雑な問題を、チームで取り組むことで多角的なアプローチが可能になります。」創造性の向上
「異なる視点を持つメンバーが集まることで、革新的なアイデアが生まれやすくなります。」迅速な意思決定
「情報を共有し、責任を分散することで、迅速かつ効果的な意思決定が可能になります。」
佐藤は頷きながら、「確かに、チームの力を引き出すことが今後の鍵ですね」と答えた。
第2章:チームとグループの違い
その後、瑞穂はチームとグループの違いについて説明した。
「チームは共通の目標を持ち、互いに補完し合う存在ですが、グループは個々が独立して成果を追求します。この違いを理解しないと、組織の力を最大化することは難しいです。」
瑞穂は具体例を挙げて説明した。「例えば、営業部が個々の売上を競うだけであれば、それはグループです。一方、営業とマーケティングが協力して顧客満足度を高める目標を共有すれば、それはチームになります。」
田辺が少し疑問を抱えた様子で質問した。「でも、個人の成果を追求する方が効率的ではないんですか?」
矢島が静かに答えた。「確かに短期的には効率的かもしれない。でも、長期的にはお互いの力を活かし合う方が、結果として大きな成果を生むんだ。」
第3章:チームのタイプ
瑞穂はさらに、チームにはさまざまなタイプがあることを説明した。
問題解決型チーム
「具体的な課題に取り組むために結成されるチーム。短期間で成果を求められる場合に有効です。」クロスファンクショナルチーム
「異なる部門からメンバーが集まり、多様な視点で課題にアプローチするチーム。今回のプロジェクトがまさにこれですね。」セルフマネジングチーム
「自律的に目標を設定し、進捗を管理するチーム。成熟した組織で効果を発揮します。」
田辺は「僕たちのチームはどのタイプですか?」と尋ねた。瑞穂は微笑みながら答えた。「あなたたちはクロスファンクショナルチームです。ただし、最終的にはセルフマネジングチームに近づくことを目指しています。」
第4章:優れたチームをつくる
個々の視点と目標の調整
瑞穂は、優れたチーム形成には各メンバーが共有する目標だけでなく、個々の視点や価値観を尊重することが重要だと説明した。
「皆さん、チームの目標に向かうことは大切ですが、それぞれが自分の成長や価値観を見失わないことも大切です。個々の視点が合わさることで、チーム全体の強みが引き出されます。」
佐藤はこのアドバイスを受け、メンバー全員に「個人目標」を設定することを提案した。
田辺の目標: 新しい提案を具体化するスキルを磨く。
矢島の目標: 柔軟性を持ち、他者の提案を積極的に受け入れる。
吉村の目標: データ分析を通じて、提案の説得力を向上させる。
役割の再確認と個別面談
佐藤は、メンバーの役割をさらに明確にするため、個別面談を実施した。
田辺: 「君の発想力はチームの強みだ。ただ、その発想を形にするためには、計画性が必要だと思う。」
矢島: 「君の慎重な視点が、チームの安定感を支えている。ただ、時には挑戦的なアイデアにも一歩踏み込んでみよう。」
吉村: 「君のデータ分析は素晴らしい。ただ、時にはデータ以上に情熱が必要な場面もあるかもしれない。」
メンバーはそれぞれ、自分の役割に対する理解を深め、より具体的な行動計画を立てることができた。
第5章:個人をチーム・プレーヤーに変える
チームワークを体感するアクティビティ
瑞穂は、個人がチームの一員として行動する感覚を養うため、ワークショップを提案した。
「今日は、皆さんでロープブリッジを作るアクティビティをやりましょう。これには、全員が協力しなければ達成できません。」
最初は田辺が自由な発想でアイデアを出し、矢島がその実現可能性を確認する役割を担った。吉村は過去のデータや資料を参考にしながら、設計図を補完した。
プロジェクト終了後、田辺がこう述べた。「正直、自分一人では絶対にできなかった。みんなの力があって初めて形になったと感じました。」
チーム内の信頼感の向上
田辺が、ある失敗経験を共有した。「実は、前回のプレゼンで資料を間違えてしまいました。でも、矢島さんがその場でフォローしてくれたおかげで乗り越えられました。」
矢島は静かに微笑み、「誰だって失敗はあります。そのためのチームですよ。」と答えた。この会話をきっかけに、田辺は矢島をより信頼するようになった。
第6章:チームとクオリティ・マネジメント
クオリティの「見える化」
吉村がクオリティ・マネジメントの観点から、進捗と成果を「見える化」する仕組みを提案した。
「各タスクの進捗状況と、その影響をグラフ化して共有しましょう。これにより、どこに課題があるかを全員が把握できます。」
具体的には、以下の指標が設定された。
進捗率: 各タスクの達成度合い。
成果への影響度: タスクがプロジェクト全体にどの程度影響を与えるか。
クオリティスコア: 各タスクの完成度を評価する基準。
この仕組みによって、メンバー全員が自分のタスクの重要性を実感し、責任感が高まった。
プロセス評価の実践
矢島は、プロセスを評価することの重要性を強調した。「結果だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫も評価されるべきです。」
佐藤はこれを受け、ミーティングで各メンバーの貢献を具体的に挙げて感謝を示した。「田辺君の発想力、矢島君の計画性、吉村君の分析力があったからこそ、ここまで来られました。」
第7章:警告:チームは万能薬ではない
チームの課題と対策
瑞穂は最後に、チームにも限界や課題があることを全員に伝えた。
「例えば、意見がまとまらない場合や、全員が責任を他人に押し付けるような状況では、チームは機能しなくなります。」
佐藤がこれに応じて、「確かに、私たちのチームも最初は対立が多かったですね。でも、それを乗り越えられたのは、皆さんが互いに信頼し合い、目標を共有できたからだと思います。」と述べた。
最後の振り返り
プロジェクト終了後、佐藤はメンバーにこう語った。「このチームの成果は、皆さんの努力と協力の結晶です。ですが、私たちはさらに進化できる余地もあります。」
田辺が笑顔で答えた。「次のプロジェクトでは、今回以上の結果を出しましょう!」
学術的な要点
1. チームが多用される理由
複雑な課題への対応: 多様な視点を活かした解決策を生み出す。
創造性: 異なるバックグラウンドのメンバーが革新性を促進。
迅速な意思決定: 情報共有に基づく迅速な行動が可能。
2. チームとグループの違い
チーム: 共有目標と相互補完性を持つ。
グループ: 個々の成果を重視。
3. チームのタイプ
問題解決型: 特定課題に集中する短期間のチーム。
クロスファンクショナル型: 異なる部門から集められた多様な視点を活用。
セルフマネジング型: 自律的に目標を管理し、遂行する成熟チーム。
4. クオリティ・マネジメント
プロセス評価: 結果だけでなく努力や工夫を評価することで、次回に繋げる学びを得る。
5. チームの限界
対立: 意見がまとまらない場合のリスク。
責任の所在: 責任が曖昧になる場合の効率低下。
※上記のブログは以下参考書と自社独自プログラムを元に、著者がAIツールを用いて作成・編集・再作成したフィクションです。
ピープルマネージャーのためのChange Agent養成講座
最後まで読んでいただき有難うございました。
著者:松澤 勝充
神奈川県出身1986年生まれ。青山学院大学卒業後、2009年 (株)トライアンフへ入社。2016年より、最年少執行役員として組織ソリューション本部、広報マーケティンググループ、自社採用責任者を兼務。2018年8月より休職し、Haas School of Business, UC Berkeleyがプログラム提供するBerkeley Hass Global Access ProgramにJoinし2019年5月修了。同年、MIT Online Executive Course “AI: Implications for Business Strategies”修了し、シリコンバレーのIT企業でAIプロジェクトへ従事
2019年12月(株)トライアンフへ帰任し執行役員を務め、2020年4月1日に株式会社Everyを創業。企業の人事戦略・制度コンサルティングを行う傍ら、UC Berkeleyの上級教授と共同開発したプログラムで、「日本の人事が世界に目を向けるきっかけづくり」としてグローバルスタンダードな人事を学ぶEvery HR Academyを展開している。
保有資格:
・SHRM-SCP(SHRM)
・Senior Professional in Human Resources – International (HRCI)
・Global Professional in Human Resources (HRCI)
・The Science of Happiness(UC Berkeley)、他