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20210614 龍安寺

こんにちは。旅行11日目、京都7日目です。あっという間にあと今日を入れて5日になってしまいました。

これまでの振り返りとして、毎日観光をするのは存外に疲れるということがまずあります。日本一周みたいにスケジュールをつめつめにしながらトラベラーズ・ハイのような状態で回るのならばまだしも、同じホテルの同じ部屋に連泊しているということもあり、拠点という名の「だらだらできる場所」が出来ています。部屋の清掃も1週間に1回ということもあり、生活感が漂ってきました。

また、いくらでも行きたい場所が出てきてしまい、どれだけ掘ってもどこでもすてきなものが出てくることに、逆に無力感が出てきたというのもある。一方で、寺社巡りをしているだけでは結局修学旅行と何も変わらず、本当はいいものを買ったり、文化を体験したり、見知らぬ人と友だちになったり、ということが長期滞在することの利点だったのではないか、という気にも。せっかく本が並べられていてバーも併設されているホテルにいるのに、洗濯のときにしか共有スペースに現れません(自分でももったいないと思う)…。

一方で長期間いて良いこととすると、知り合い、というかInstagramのフォロワーからおすすめな場所を教えてくれるということがありまして、そんな話から本日はスタート。

朝起きはしたのですがどうも眠気が強く、お昼前まで部屋でだらだら。30分したら起きようというまどろみを計3回やり、一念発起して出かけます。

向かったのは堀川北大路の少し北側にある中華料理店、鳳飛。

京都は案外中華料理の店がたくさんあるのですが、特に名物、「京風中華」の筆頭がこの鳳飛を始めとした「鳳舞」系のお店。堀川紫明にあった鳳舞というお店(2009年に閉店)から暖簾分けした店がいくつかあり、そのうちの一つです。以前は河原町二条にある鳳泉に行きましたが、その姉妹店と言えるでしょうか(講釈を垂らすような物言いですが、調べたことを自分の頭に定着させるために書いているみたいなところがあります)。

12時に開店して13時半に閉店という短い開店時間のお店で、ついたのが13時25分。大丈夫かなと緊張しながら頼んだのが炒飯とカラシドリ。

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京風中華は出汁が効いていて、にんにくなどの香味が少ないのが特徴。渡辺康啓さんという料理家の酢豚のレシピで知ったのですが、自分で作ってみてめちゃくちゃ美味しくて、もはや京風中華を学びに京都に来ているみたいなところがあります(と言いつつこの旅行で京風中華を食べるのは初めて)。ちなみに渡辺さんはコムデギャルソンで働いたあとに料理家に転身という珍しい経歴を持っています。パスタのレシピ動画をよく参考にしています。

炒飯は塩味も薄めながら、焼豚や海老も入っていて具だくさんであっさりと美味しい。650円だったかな。カラシドリは揚げた鶏肉に唐辛子の効いたあんかけがかかっています。にんにくが入っていないためすっと入ってすっと抜けていく上品な辛さ。ただめちゃくちゃ辛い。急いで食べたせいもありますが汗をかきながら完食。1050円。おいしかった。

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町中華というよりも小料理屋のような上品な外見の鳳飛。クワイが入った焼売が名物なのですが、お財布との話し合いの結果次回に。今度は時間に余裕を持って来たいと思います。

龍安寺方面へ向かいます。紫野というエリアを歩いていくのですが、あまり大きな寺社などもなく、住宅街って感じ。ただ、ところどころにおもしろいものがあるから侮れない。

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これは古さを作ってるタイプのお店でしょうか。建物は元々古いのかな。調べてみると居酒屋のようです。

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船岡温泉という銭湯があります。温泉という名前ではありますが天然温泉ではなく、ふつうの公衆浴場。建物が有形文化財に登録されているという歴史のあるお風呂で、漆塗りの天井など銭湯らしからぬ豪華な作りだとか。いつか来てみたいな。

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可愛い色の眼鏡屋さん。両目?のような2つの窓に紫陽花がたくさん飾ってあってこれもかわいい。

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めちゃくちゃ住宅街。

きぬかけの道に出て、立命館大学の前を通って計30分ほど歩いたでしょうか、龍安寺にやってきました。おそらく来るのは初めて。入口は写真を撮らなかったほどに控えめ。拝観料500円を払って入場します。

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木々の合間から池を望める感じの緑豊かな参道を通って行きます。

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緑に囲まれた仏像もいる。やはり禅宗の寺ということもあってか、なかなか落ち着いた雰囲気です。

そして方丈に上がると、有名な龍安寺石庭を目にすることが出来ます。

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歩きながら石庭を前にした一番最初の印象は、あれ、「思ったより小さいな」といったところ。25m×10mの限られた空間に枯山水の庭園が作られています。しかし、縁側に座って視線を低くしてじっくり見てみると、急に奥行きが深まったように思える。よく見ると、横(写真右奥)の壁は奥に行くほどに高さが低くなっているので、奥をより遠くに見せる遠近法が使われていることがわかります。シンデレラ城と一緒ですね。そして、手前の石は赤く、つまり膨張色で、奥の石は青く、つまり収縮色で作ることで、色彩的にも奥行きを作っています。ということで、奥行き感を緻密にデザインすることによって限られた空間でありながらも雄大な自然、あるいは広大な禅の世界を表しているのです。

…とガイドの人が言っていました。のんびり眺めていたらツアー客が来て、ガイドの人がいろいろと説明をしておりまして、耳をそばだてていました。シニアの皆様にガイドをするということで「こちらの石庭は   いつ  だれが  どのように  作ったかが  今でも   分かって  いません」と区切りをつけながら優しく話されていて、これもこれでおもしろかった。

15個の石がありながら、それら全てを見ることができないという逸話も有名ですね。禅宗では15を満ち足りた数字としているようで、修行の身で縁側から眺める状態ではすべてを見通すことが出来ず、つまり悟りを開けていない、ということを表したという説が有力なようです。「15個見えた」と言っているおじいちゃんもいましたが、ガイドも「悟り開けましたね」と言っていてよかったです。自分も含めてですが、目で見えるものだけの数を数えるなんてナンセンスなものはないと思っておりますので、幽玄な世界をそのまま享受したいな、と思ってはおります。数えてしまうけれど。

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龍安寺の石庭というと多くの有名人が愛し、特にエリザベス女王が好んだことが現在の評価につながっているようですが、個人的には岡山県、奈義町現代美術館にある荒川修作+マドリン・ギンズの「奈義の龍安寺」を思い起こします。

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荒川修作の思想にも禅の思想にもちゃんと触れていないので自分の中でも何かが固まっているわけではないのですが、壁が低くなっているとか石の色が違うといったデザインをさらに突き詰め、過剰と言えるほどにしたものが奈義の龍安寺なのかもしれない、と思うなど。

今日、すぐに石庭を見てナントカだった!と言えるわけではなく、のちのちにああそういえば石庭見たな、そういえばこういうことだったのかな、と思えるんじゃないかと/思いたいなという感じの龍安寺石庭でした。

ここから友人と合流し、喫茶店へ。

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金閣寺の下にあるISO茶房という中国茶専門店。おじいちゃんが一人で切り盛りしていました。古い町家を使っているようで、本棚には美術関係の本がたくさん。私が飲んだのは鳳凰単叢という烏龍茶の蜜蘭香という品種。フルーティーで華やかな香りがしておいしい。杏仁豆腐もいただきました。

高校同期で(おそらく)唯一京都に進学した人と久しぶりに再開し、高校の時の昔話から京都の話、美術の話、短歌の話などいろいろお話しました。私が京都にしばらくいるということでピピロッティ・リスト展がおすすめだよとDMを送ってくれたのがきっかけで会うことになりました。卒論のイントネーションが「そつ↑ろん」なのが衝撃。

電気ケトルがテーブルに常備してあるために何杯も飲むことができ、ゆっくりと過ごしていたのですが話し足らず、もう一軒。

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20分ほど歩いて千本中立売にある喫茶 憩へ。食べログで掲載保留になっていますが、やってます。おじいちゃんが一人で切り盛りしています。こちらもInstagramでフォロワーの方が教えてくれた喫茶店。なんと写真にあるシフォンケーキとコーヒーで、450円です。信じられない安さ。シフォンケーキというかデザートプレートですけどこれ、どうなっているんだ。店内はレトロ、というか昔のままといったところで、消費税とかないんじゃないかなというくらいの時代感。提供もゆっくりで、時間の流れを忘れたかのようにこちらでもおしゃべりしていました。

16時に中国茶を飲み始めて、憩を出たのが19時半だったので、3時間半も喋っていたことになりますね。久しぶりの人と会うといろいろな話ができて楽しい。東京に戻っても他の高校同期に声かけたりしてみようかな、と思うほど楽しい時間でした。

ボリュームこそ少ないものの、京風中華、龍安寺、喫茶店、おしゃべりと、大変心の満たされる一日でした。昼頃から活動しても楽しく過ごせてしまうのが京都のにくいところかもしれない。明日はしっかり朝から活動したいです。それでは。

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