大手IT会社員が「FIRE -最強の早期リタイア術-」を読んで学んだこと
こんにちは。Neruです。
一週間ぶりの投稿になります。最近、暇を使って読書をしているので、今回もビジネス本の解説を備忘録としておこなっていきます。
社会人になって早10ヶ月。将来のことを考えて投資信託や米国株式に投資を行っていますが、危機感から「とりあえずお金を貯めなきゃ」と始めたため、具体的な目標金額やビジョンなどは描けていません。
「どれくらい金融資産が貯まれば、経済的自立(FIRE)ができるの?」
「どんなポートフォリオを作成すればいいの?」
「投資をする上でのポイントは?」
今日は、これらの答えを求めて
クリスティー・シェン著「FIRE -最強の早期リタイア術-」
を手に取ってみました。
そこから、個人的に印象に残っている話や、投資に役立てることができるスキルについて書いていこうと思います。
それでは、よろしくお願いします!
目次
<前提>
・FIREとは?
・どうしたらFIREできるの?
<本書から学んだこと>
・FIREの常識「4%ルール」
・「4%ルール」の落とし穴
・最強のリスクヘッジ「現金クッション」
・最強のリスクヘッジ「利回りシールド」
・FIRE後の具体的な流れ
・その他、FIREにおけるポイント
<前提>・FIREとは?
FIREとは「Financial Independence(経済的自立), Retire Early(早期退職)」の頭文字を取った言葉で、簡単に言えば「会社を早期退職して、自分で生活できるように経済的な自立を手に入れる事です。週5日間も会社に頼らなくとも、金銭的に不自由なく生活できるような状態にする事で、時間的な自由も手に入れることができます。元々、欧州や米国の20〜30代の若者を中心に巻き起こったムーブメントですが、近年では日本を含む世界各国でFIREを目指す(もしくは達成した)サラリーマンが数多くいらっしゃるようです。
30代で経済的に自立し、会社を辞め余暇を謳歌できたら、人生が一気に明るいものになりますよね・・・。
・どうしたらFIREできるの? ※既にご存知の方はスキップしてください
「会社を早期退職して、経済的に自立する」と聞くと、そのためには何が必要だと思いますか?
答えはすごく簡単で「生活に困らない程度のお金」です。会社に頼らず、お金を稼ぐ術を身に付ける必要があります。
一見すごく無謀なことのように思えますよね。例えば、起業して新たなビジネスを立ち上げたり、第二のGAFAを求めてグロース株に大量投資して一山当てたり・・・。限られた一握りの人たちにしかできないことのように思えるかもしれません。
しかし、そんなリスクを背負う必要はありません。
FIREの基本は投資の金融商品の「リターン率」にあります。
皆さんは、金融商品を購入したことがありますか?
金融商品で資金を増やすには2つの方法があります。
・キャピタルゲイン:債権や株式、不動産などの資産価値の上昇による利益のこと(簡単にいうと、よく見る株式チャートの上昇などで得た利益などを指します)
・インカムゲイン:債権や株式、不動産などの資産を保有した際に発生する、配当金、利子などを指します
これら金融資産の特徴を使って、生活に必要なお金を稼ぐことができます。
例えば、皆さん大好きコカ・コーラ(KO)の株を1億円分持っていたとします。コカ・コーラの株を持っている人には、配当金というものがあり、株を持っているだけで株価の下落とは別に、企業が株主にお金を換言してくれます。コカ・コーラの配当利回りは3.35%(2021年2月時点)なので、1億円分の株を持っていれば、1年間で335万円を受け取ることができます。今回は面倒くさいので、税金の話はしません。つまり、1年間の生活費が335万円以下の人は、働かなくても、生活に困ることはありません。もちろんコカ・コーラ社が倒産したり配当金を下げる可能性もあるので、現状をキープできていれば、の話ですが・・・。
このように、起業したり、宝くじを当てなくても、会社を早期退職して経済的に自立することは可能です。金融資産を築き、働かなくてもお金が入ってくる仕組みを作ること、これがFIREの基本原則になっています。
<本書から学んだこと>
ここからは、本書を読んで個人的に役に立つとか、覚えておいた方がいいな、と思うことを列挙していきます。なお、この本書の前半部分はクリスティー・シェン氏の過去の貧乏話を基に学んだ教訓などを記しており、個人的に学んだことはそれほど多くなかったので割愛させていただきます。
1. FIREの常識「4%ルール」
著者は、海外の興味深い研究データを提示しています。
「ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上続く可能性が95%ある」というものです。
ここから
「4%ルール」とは年間支出の25倍の資産を築けば、年利4%の運用益で生活費を賄えるということです。
この、4%という数字はアメリカS&P構成銘柄の成長率7%から、インフレ率(アメリカ)の3%を差し引いて計算された数字です。
例えば1年の生活費が300万円だったとします。
その人のFIREに必要な金融資産額は
300万×25倍=7500万円 となります。
7500万円の金融資産を持っていれば、年利が4%なので、ほぼ元本に手を出すことなく、生活費を賄うことができるのです。
2.「4%ルール」の落とし穴
皆さんは、金融投資においてやってはいけないことをご存知でしょうか。
1. 価値が下落したときに「もうダメかもしれない」と思い売ってしまうこと
2. 株価が上がったときに参入し、高音で購入してしまうこと
この2つです。
長期投資に向いたインデックスファンドは、価値が0になることはありません。
そのため、下落相場が始まっても、待つこと(もしくは買い増すこと)が正しい判断で、絶対に行ってはいけないのが「売ること」です。
しかし、FIREした状態では、金融資産を売却して生活費を得るため、価格が下がっていても「売却しなければ生活ができない!」ということが起こってしまいます。
すると、長期で考えたとき、株価は上昇するにもかかわらず、下落期に売却してしまい、回復期には十分な資産がない状況に陥ってしまいます。
「ポートフォリオの4%の資金で1年間の生活費を賄えれば、貯蓄が30年以上続く可能性が95%ある」というデータがありましたが、貯蓄が30年以上続かないケースは、このパターンがほとんどです。
FIRE直後に上昇相場を迎えれば、資産価値は上昇し、その資産や配当によって利益を生むことができるため、生活費を捻出することができますが、
FIRE直後に下落相場を迎えれば、ポートフォリオを大きく毀損してしまい、回復局面に入っても、元の資産が少ないため取り返すことが難しくなります。
これが、4%ルールの落とし穴です。
3. 最強のリスクヘッジ①「現金クッション」
この問題を解決するために考えられた方法が
「現金クッション」と「利回りシールド」です。まずは現金クッションについて解説していきます。
簡単にいうと、現金クッションとは「下落相場に金融資産を切り売りしなくて済むように、追加で現金を保有しておくこと」を指します。
これまで、世界恐慌やリーマンショック、先のコロナショックによって株価は大きく下落し、投資家の頭を悩ませてきました。しかし、これまでの下落相場を見てみると、そのほとんどが5年以内に回復しており、上昇相場へと転換しています。
そのため、1年の生活費×5年分の現金を所持していれば、ポートフォリオを切り崩すことなく、下落相場を乗り切ることができます。
しかし、それを踏まえた上で、著者は「5年分の生活費を所持する必要はない」と述べています。
株式・投資信託・ETFなどには、配当金・分配金というものがあります。先ほども記載しましたが、これは「その商品を所持しているだけで、企業から株主へと還元される資金」のことです。
例えば、1万円の株を所持していると、1年で500円の配当金を受け取れるA株があるとします。このA株の利回りは500円÷1万円=5%となります。
この割合を考慮すると、下落相場を乗り切るための現金クッションは以下の公式で導くことができます。
現金クッション=(年間支出−[金融総資産×年利まわり])×5年分
※本書では「5年分」ではなく「年数」と書いてあります
例を出して考えていきます。
4%ルールに基づき、金融総資産が1億円で年利まわりが3%、1年間の生活費が400万円の人がいたとします。この人に必要な現金クッションは
(400万円-[1億円×3%])×5=500万円となります。
この配当金・分配金は現金で受け取ることができます。
単純に計算すると生活費400万×5年=2000万円が必要だと思うかもしれませんが、分配金お力によって必要資金を最小限に抑えることができますね。
4. 最強のリスクヘッジ②「利回りシールド」
続いては「利回りシールド」です。
先ほども少し触れていますが、分配金・利回りについての記述です。
こちらも簡単に説明すると「利回りシールド」とは資産の一部を高利回り資産に置き換えることで、配当金・分配金として受け取れる現金を大きくすることです。
分配金・配当金のメリットは、ポートフォリオの価値が下がっても、利回り率はほとんど変わらないということです。つまり、1億円の資産があり利回りが3%の場合、年間の分配金・配当金は300万であり、資産価値が9000万になったとしても利回りはほぼ同じということです。このように、確実にもらえる資金を増やし、下落相場でも金融資産を切り売りするリスクを減らすことができます。
では、高利回り資産とはどのようなものがあるのでしょうか
・高配当株
・優先株
・不動産投資信託(REIT)
・社債
本書では、この4つがピックアップされています。
余談ですが、私自身は米国の高配当株(IBMやXOM、Tなど)を購入しています。
5. FIRE後の具体的な流れ
ここからは、具体的な一年の流れについて順序立てて説明していきます。
「証券口座」「現金クッション用口座」「生活費用口座」を用意し、毎年1月に以下のような手順で進めましょう。
1. 配当金・分配金を受け取る
利回りシールドを通して受け取った前年度の配当金を生活用口座に集める
2. 分配金・配当金で賄えない金額を金融資産or現金クッションから引き出す
【上昇相場のとき(評価損益プラス)】
(1年の生活費-前年度の配当金)分の金融資産を売却
▶︎ここが重要なポイントで、売却する資産はあなたが決めなくてはなりません。ポートフォリを全体の価値が上がっていれば答えはシンプルで、最も価値が上がった資産を必要な分売却すればOKです。
【下落相場のとき(評価損益マイナス)】
ポートフォリオは切り崩さず、現金クッションから(1年の生活費-前年度の配当金)分のお金を引き出す。
▶︎相場が回復したときに、現金クッションを元々あった金額までストックし、次の下落相場に備える。
「株式市場」「現金クッション」「利回りシールド」の3つを使うことで
上昇期間:キャピタルゲインと利回りシールドによって生活費を賄う
下落期間:現金クッションと利回りシールドによって生活費を賄う
このように生活費を捻出することができるのです。
※個人的な意見です
ここで一つ疑問が生じたのですが、配当金・配分金は受け取ったタイミングで再投資せず、1年間現金として所持した方がいいのでしょうか?
再投資することによって、複利の恩恵を受け取ることができるため、年間のトータルリターンは大きいかと思ったのですが・・・。
下落相場で売却できなかった時のリスクや、現金クッションの金額を考慮に入れると、配当金・分配金は現金で所持すべきなのでしょうか。
分かる方がいましたら、是非教えていただきたいです・・・。
6. その他FIREにおけるポイントまとめ
個人的に役に立ったFIREスキルを記載していきます!
▼下落相場が長引いたときに実行できる複数のバックアッププランを用意しよう
①利回りシールドの利用
②現金クッションの利用
③地理的アービトラージを使って生活費を抑える
→著者はタイやポルトガルなど、物価の安い国に長く滞在することで生活費を抑えていました。
④サイドハッスル(副業)を始める
▼毎年、その時点の資産と期待支出をFIRECalcで計算し、健全性を確認する
◆FIRE Calc:https://www.firecalc.com/
HP右下あたりの「START HERE」から資産合計額、期待支出(生活費)、リタイアまでの年数を入力します。そうすることで、ゴールまでの支出とポートフォリオの関係における健全性確認できます。健全性が95%以下になれば、上記バックアップを使い柔軟に対応していきましょう。
▼FIREの種類
・サイドFIRE
・パーシャルFI
・地理的アービトラージ
完全に金銭的自立を行えなくても、簡易的な自立を行うものです。
興味がある方は是非調べてみてください
いかがでしたでしょうか。個人的には、数ある啓発本、ビジネス本に比べ、本書の魅力は再現性の高さにあると感じています。著者は平均的な収入で、リスクを追うための行動もそこまで取っていません。ただ、目標を決め、そのための行動を継続し、無駄な出費を最小限に抑えただけです。
「継続は力なり」「果報は寝て待て」のことわざがぴったりですね。
また、経済的自立によって、選択肢の幅が広がることは大きなメリットですよね。
今まで、やりたいけど生活があるから・・・と諦めていた夢や目標が誰しもあるはずです。金銭的制限から解放されることによって、自分の夢や目標をただひたすら追うことも可能です。今のコミュニティを大切にしたいのであれば、パートや短期労働で仕事を続け、その分のお金を趣味に使うこともできます。
FIREによるメリットは、単にお金に困らなくなるだけではなく、時間の自由・選択の自由を本当の意味で手に入れることだと私は思いました。
私も、今月から貯蓄率を見直していこうと思います。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
<watapedia>
・アロケーション:割り当て、配分。ビジネスにおいては理想の状態・求められた状態にするために、予算や資源を分割して適切に割り当てることを意味する。
・優先株式:利益もしくは利息の配当または残余財産の配分及びそれら両方を、他の種類の株式よりも優先的に受け取ることができる地位の与えられた株式のこと。
リスクは社債>優先株>普通株となり、リターンは普通株>優先株>社債という順番になっている。
・REIT(リート):不動産投資信託。投資家から集めた資金で不動産への投資を行い、そこから得られる賃貸料収入や不動産の売買益を原資として投資家に配当する商品。【ラサール・グローバルREITファンド】【ワールド・リート・オープン(毎月決済型)】などが人気。
・アービトラージ(Arbitrage):裁定取引。金利差や価格差に注目して、割安な投資対象を買い、割高な投資対象を売るポジションを取ること。