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映画「港に灯がともる」から家族について考えた

映画館で映画を観てきた。

「港に灯がともる」、いい映画だった。
主人公と同じ20歳前後の頃、苦しかったなぁと、主人公の慟哭する様と当時の自分が重なった。映画の中で、家族ってなんだろう、という問いが何度か出てくる。ほんとにね。

けして、CMやSNSで流れてくるような、穏やかな愛や笑顔に包まれたり何気ない会話ができる温かいシーン「だけ」が家族ではない。なのに、それが家族のあるべき理想の姿だと、だいぶ歳をとって色々経験を重ねるまで、どこかでそう思って憧れていた。

だから、自分の家庭を持ち、それまで得られなかった安心や穏やかさを感じるようになっても、「そうでない時」に対して、過敏に反応していたところがある。

ようやく少し前くらいから、そういう温かさや安心が概ねベースにはあってほしいが、時々はそうでない時もある、という、色んなシーンや感情があるのが「家族」「家庭」なのだと、冷静に思えるようになってきた。

今なら、映画の主人公のように、かつてわたし自身ずっと考えていた「家族ってなんだろう」という問いに、こう答えるだろう。

「家族」とは、実態があるものではなく、「家族」という名の体験である。
そこで生じる悩みや軋轢や、湧いてくるさまざまな感情もすべて、それらを経験すること自体が「家族」というものの一面なんじゃないか、と。

とりあえず安心の感覚が家になかった10代から20歳頃の自分には、この言葉はまだ届かないかもしれないなぁと思いつつ、20年後にそう思えるくらいにはなったよ、と遠くから言ってあげたい。

(映画に戻ると、主演の富田望生さん、とても素晴らしい演技だった。)

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月の糸
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