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所詮昔の諺には限度があるという話

黴の生えた古畳も、苔生した石畳も、
表面を撫で削る前に油を撒いて焼いてしまえ。

ここだけの話……という程でもないのだが、実は会社を辞めた。
大学編入に伴って就いたのは現場経験を求めての施工管理職。しかし予想外の出来事に心境の変化も重なって、約6ヶ月で退職に踏み切った。今回はそんな私の「色々と言いたいこと」を書き連ねていきたい。

まずは退職の理由から。
これは大きく分けて4つあるが、

  1. "原則"への認識違い

  2. 嘘は言ってない

  3. 無駄が多い

  4. 何も分かってない

という具合にそれぞれ副題を付けた上で、どういうことか紐解いていきたい。

1."原則"への認識違い

上にもあるが、私は通信制で大学に編入した。一部の科目の講義はスクーリングと称して実際に大学へ出向き、テーマに沿って課題に取り組む。最終的には決められた期間内に何かしらの作品を提出し、それが採点されることによって単位を取得する。どの科目の講義がいつあるのかは予め年間カレンダーで決まっており、全て土日祝になっている。……すなわち、100%全てではないにせよ、土日祝には講義が入る可能性があり、そのスケジュールも履修登録次第で変動する。
この仕組みについては勿論面接時に先方に伝えている。その上で「土日祝は原則休み」という条件付で入社したはずなのだが、実際はその通りにはいかなかった。主な理由は社内or部内の会議。毎月定例のものや何らかの事由で発生するものまであるが、これが大抵土曜の日中に入ってくる。
入社するまでは知らなかったのだが、実は工事現場の工程は週6日稼働の場合が少なくなく、実際この会社の施工管理職も私を除いた全員が当然のように週6日で動いていた。正確には月2回土曜を休みにできるのだが、実際には現場都合からサービス残業ならぬサービス休日出勤をしている施工管理が大半だった。故に会議は当然の如く出席できる。なお定例会議に関しては原則全員出席&30分前には到着という暗黙の了解があり、抜けると社長から大目玉を食らうだの何だのと聞かされた。……当然だが、話が違う。

2.嘘は言ってない

この会社に入るにあたって、部長クラスとのWeb面接を行った。転職サイトの求人情報にもある通り、20~30代の業界未経験でも積極的に採用しており心配ないとのことで後押しされて入社へと踏み切ったのだが、いざ入ると嘘かと思うほどに若手がいない。特に施工管理職は30代が1人だけで後は40代半ば~50代が占めていた。
これは退職して再度転職活動をしていく中で判明した事実なのだが、どうやら私が入社する前にそれまで在籍していた若手が一斉に辞める事件があったらしい。関西圏では少なからず名の知れた会社だったこともあり、当時は噂になったというのだ。
確かに嘘は言ってない、言っていないが、たちが悪い。

3.無駄が多い

社内の仕組みや仕事に手順に無駄が多いのも気になった。
例えば先にも上げた定例会議は、わざわざ全員を集めてやるほどでもない内容が多かった。例えば営業からの報告と題して進行中の各案件の概要や場所・金額・状況などの一件ずつの読み上げ。Excelで作成した表をメールで一斉配信して、「各自適当な時に目を通しておけ」とでもしておけば十分だし時間も労力も削減できる。
後は給与明細等の配布物が本社事務所のレターポストに入れられること。内勤の人間以外はわざわざ定期的に事務所に顔を出しては確認しに来なければいけない。私がこの仕組みを知ったのはちょうど年の瀬で、会社の総務から「年末調整の書類が締切を過ぎている」と電話で催促されたことだった。その時の私は咄嗟に「そもそも受け取っていないし聞いてもいない」と答えたのだが、先方は「間違いなく大分前に出しているのですぐに出せ」の一点張り。たまたま本社に立ち寄った先輩が私のレターポストを確認して手つかずの年末調整書類を発見し届けてくれたことで判明した。正直、このご時世に郵送もメールもせずに自分から出向いて取りに来いはあまりにも前時代的だと言わざるを得ない。

4.何も分かってない

ここまででも中々仕事に対するモチベーションが削がれるおだが、更に追い打ちをかける……というかもうとどめを刺すかの様な致命的なものが控えていた。
きっかけは部署内の定例会議。毎月のように私や同時期に入った他の新人に対して「仕事で何か分からない事はないか?」と誰かが言い、つに誰も何も答えず沈黙が流れる場面が発生する。最初の1回目は何も気にしていなかったが、2回、3回と続けて発生すると流石にその理由を考えるようになる。
考えた末に浮かんできたのは、「皆仕事の教え方を分かってない」という仮説だ。見様見真似で何となく現場管理の仕事を把握してきた世代と、世の中の仕事の大半は理論的にまとめられマニュアル化されているはずと考える世代。そうした世代間の認識のズレも相まって溝が生じていることにさえ気付いていない。いくら仕事を教えるつもりはあっても、仕事の教え方を知らずそれどころか必要なこともものも一切分かっていないのは本当に致命的だ。


……という様な理由で入社から5ヶ月目で退職を決意、翌月の締日で辞める意向であることを先輩に伝えた。理由などは特に聞いてこなかった。
と思ったらその翌日、部長から電話がかかってきて理由を尋ねられた。一番当たり障りがなくすらすらと説明できるのが上記の3だったので説明したが、正直半分も理解されなかった。残りの3つの理由を説明する気が失せた私はもう本当に、完全に会社に対する興味など感情の一切が消え失せた。

「石の上にも三年」という諺がある。
どんな困難でも辛抱していれば、やがて何らかの変化により好転する……という意味だ。
しかし今回はっきりと感じたのは、ぶっちゃけ3年も待ってなんかいられないということだ。一度きりの人生の、貴重な30代。それを後2年6ヶ月も現状維持に務めるなんてとても無理。ただでさえ現役生(高卒18歳)と比べて一回り以上歳食ってんだよ、これ以上無駄にしてたまるか!
……なんて考えていたら、それを裏打ちするかの様な記事があった。これも、せっかくなので紹介したい。

読みながら思わずガッツポーズをしていた。
そうだよ、そうなんだよ、私が言いたいのはそういうことなんだよ!と。先人の教えに倣ってどうにかなる時代でなければ、個人で如何様にでもなる時代なのだ。だからこそ、自分自身の決心に改めて自信を持つと同時に、その振り返りと気付きと他色々雑多にここに残しておく。

見切りは早く、閃きは鋭く、そして疾く昂く!

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