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コンテンツマーケティングの理想とやるべきことをまとめてみた話。
コンテンツマーケティングに取り組む多くの人の理想は「質の高いコンテンツによって徐々に顧客が潜在層から顕在層に成長し、結果的には受注につながる」というもの。
しかしながら、
・実際は「ブランドを知っている人」は増やせるけど次につながらない
・コンテンツが機能せず、拡散も認知もされない
など、現実では簡単にはうまくいかないという話をよく聞きます。
今回はそんな「コンテンツマーケティングの理想と現実」というテーマでお話していければと思います。
▽ニュースレターやっています!▽
https://hirashimarintaro.substack.com/
理想状態は「ファネル通り」に動くこと
マーケティングで重要になるのが「ファネル」の考え方です。特にコンテンツマーケティングとは、適切な人に適切なコンテンツを提供することが重要になるため、ファネルを使った思考が重要になります。
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上記の図のように、右にすすば進むほど顧客は検討を進めてくれるため、各フェーズごとに次の行動を起こさせるようなコンテンツの提供が必要です。
しかし現実問題、このファネル通りに進んでくれる顧客はほとんどいないように感じます。
現実的には顧客行動はほぼ読めない
「認知」のフェーズでとどまっていたものの、いきなり「行動」(購買)フェーズに移ったり、中には「比較・検討」のフェーズまで進んでも、購買自体をやめてしまうことでファネルの後戻りをしてしまうユーザーもいます。
特にBtoB企業でよくあるのが、課題の優先順位が直近でいきなり変わってしまい、急に課題解決のためのサービスが必要になるなどです。
この様に突発的に二-ズが発生したと思えば、いきなりニーズの火が消えてしまったり、ファネルの一部分でずっととどまり、行ったり来たりを繰り返してしまうなど顧客行動は千差万別です。
「想起」や「記憶」を武器に戦う
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では、ファネルがあくまで理想であるならば、コンテンツマーケティングはかくあるべきなのでしょうか。※ここからは完全に私の持論になるため、賛否両論あるかと思います
それはコンテンツを発信を「想起」と「記憶」を味方につけることを目的に行うということです。
この「想起」と「記憶」を味方につけるというのは、いわゆる「第一想起に入る、ないしは想起集合の中に入ることを目的とする」ということを意味しています。
よくある例が
コーヒーと聞いて真っ先に思い浮かぶブランドは?(第一想起)
コーヒーと聞いて思い浮かぶTOP3のブランドは?(想起集合)
といったものです。きっと多くの人が同じようなブランドを思い浮かべたのではないでしょうか?
この第一想起、想起集合に入るということの影響力は計り知れません。
ソーシャルメディアマーケティングで知られるトライバルメディアハウスの第一想起に関する調査によると、
第一想起に選ばれたブランドの購入率はもっとも高く、第二想起、第三想起となるにつれて購入率が下がる
売上に貢献するためには第一想起ポジションを獲得することが重要
という調査結果を出しています。
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加えて、購入の意思決定には平均6~10名が関与するというBtoB企業であっても約55%の人が第一想起ブランドの商材を発注しているというデータもあります。
つまり、BtoB企業であれBtoC企業であれ、コンテンツマーケティングは「想起してもらう」「記憶してもらう」という大事な役割を担っているといえるでしょう。
実際に、BtoBのマーケティングコンサルを提供している株式会社才流の栗原代表も「BtoBマーケティングでは「マインドシェア」が鍵を握る」という記事で「思いだされるかどうかが重要になった」という旨をお話していました。
では何をするべきか?
想起と記憶を味方につけるといっても、正直なところ何をすればいいのかが難しいところだと思います。
よって、私が思いつく限りの施策や改めるべき認識等を下記に記載しました!ぜひとも参考にしてみてください。
コンテンツマーケティング=SEOという認識を改める
もしお時間あれば「コンテンツマーケティング SEO」と検索してみてください。
どんな検索結果が出てきますか?
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きっと「コンテンツマーケティングとSEOの違いとは?」という記事で上位が埋め尽くされているかと思います。
これはすなわち、多くの人(検索ユーザー)はコンテンツマーケティングとSEOの意味をごっちゃにしているということ示しています。
※Googleはユーザーの検索意図に沿った情報を上位化している可能性が高いとして考えてます!
この誤解は、コンテンツ発信において大きなミスになる恐れがあります。
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上記のように、コンテンツマーケティングは、コンテンツ発信を軸にした多様なマーケティング施策を総称したものです。SNSでの発信やホワイトペーパー、メールマガジンからウェビナーまで様々なチャネルが含まれます。
そしてSEOは、そんな「数あるコンテンツマーケティングの手法の一部」になります。
つまり、コンテンツマーケティング=SEOという考え方は施策の幅を狭めてしまうのです。
またSEOは、比較的顕在層へのアプローチを得意としている媒体です。
SEOのコンテンツは、ほとんどの場合、検索行動を経て流入します。つまり、ニーズが顕在している、あるいはある程度ブランドや商材を認知している状態にあたります。
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すなわち、まだ商材を検討していない潜在層へ、先回りしてブランドや商品を認知させることが難しいチャネルといえます。
とはいえ、やり方によっては潜在層を狙ったメディアの運営なども可能ですし、現に成功している企業もいくつかあります。
しかしながらそういった成功例は、もともとの企業の規模や認知度等のスタートラインから異なっている事がほとんどであり、再現性には限界があると思います。
よって、まず認知してもらうためにもYoutubeやInstagram、Xといった現代人の可処分時間が多く投下されているソーシャルメディアでの発信は必須になります。
テーマ設定によって、クチコミをうまく作り出す
スターバックスが一時期、「クリームパイ ブルーベリー&ココア」というスイーツを販売したことを覚えていますか?
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見ての通り、お世辞にもおしゃれとは言えない風貌をしています(笑)
実はこのクリームパイ ブルーベリー&ココアは発売時に一時期、SNSで話題になりました。
ブラボのあれって巷で噂のスタバのスイーツ
— MIPOPI 🦄🫧 (@MIPOPI_) August 15, 2022
『クリームパイ ブルーベリー&ココア』
酸味が強くないブルーベリー味でサクサクとした食感が良い。見た目はあれだけど美味しかった pic.twitter.com/fXqMhKkKfl
スタバのキモイスイーツもろたで
— ばろうず (@barouzu098) August 16, 2022
怒ってるときの王蟲やん pic.twitter.com/uZ4SXzuHVr
こんな奇想天外なビジュアルから話題となり、売り切れ店舗が相次ぎました。そして、需要と供給が追いつかず、入手困難なスイーツと呼ばれるようになったのです。
この成果は上記のようなTwitterなどでの「SNS上でのクチコミ」が大きく貢献したことは確かです。
今の時代、
情報収集はGoogleではなくSNSの検索機能が使われがち
おすすめ○○選、話題商品買ってみた!系の投稿がバズる
といった傾向がみられています。
つまり多くのユーザーは、企業to個人の「一方通行的な情報」ではなく、個人to個人のリアルな情報を求めていると言えるでしょう。
専門的な言葉でいうとUGC(ユーザー・ジェネレーテッド・コンテンツ)とも言われます。
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加えて、こういったクチコミやおすすめ系のUGC投稿は
後で見返せるようにしておきたい
いつか買うかもしれないので流れないようにしておきたい
といった理由からSNSの保存機能の活用を促進させます。これこそ、「想起させる」「覚えてもらう」ためのコンテンツであるといえるでしょう。
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ただ正直、提供側がこのUGCをコントロールすることは不可能に近いです。
※「高評価のクチコミ投稿で500円引き」のような施策は一定ありますが…
そこで、クチコミが生まれやすい環境を作るために「提供側がテーマを設定する」事が重要だと考えています。
その良い例が森永チョコレートが行った「ベイクを買わない理由100円買取キャンペーン」です。
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森永製菓は、Twitter公式アカウントにて消費者から「この商品を買わない理由」を募集しました。
買わない理由を添えてリツイートすると「100円分のAmazonギフト券」がもらえるというキャンペーンで、リツイート数は開始から2日で4万件を超えるに至りました。
企業側が「ベイクを買わない理由を100円で買い取る」というテーマ設定を行う事で、ベイクのクチコミやあるある等が企業からではなく、ユーザーから発信され、企業とユーザーの双方向のコミュニケーションと個人to個人のコミュニケーションを生み出しました。
とはいえ、ここまで規模の大きいキャンペーンはなかなか参考にならないと思います。
よってクチコミとは少し別軸にはなりますが、下記のようなツイートは、小規模でも始められますし、UGCを生みやすいのではないでしょうか?
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ソーシャルメディア上でフォロワーやユーザーに対してテーマを設定してあげることで、ユーザーと双方向のコミュニケーションを生むことができます。
さらに、ユーザーの発信内容に共感した層は保存したりシェアしたりなど、新たなUGCを生み出すこともできます。
その他にも、私が知らない施策もたくさんあるかと思うので、より詳細に調べていくと面白いのではないでしょうか!
マルチチャネルで単純接触効果を狙う
ターゲットが長く滞在しているチャネルをメインに、コンテンツを発信していくのはマーケティングの定石ともいえるでしょう。
しかしながら今の時代、業界や年代によって偏りはあるものの、多種多様なチャネルでの情報発信を行っている企業が増えているように感じます。
例えば、検索エンジンからの流入を中心としたマーケティングを行っていたものの、最近ではブログの一部を切り取ってSNS投稿にしたり、記事を基にして動画を作成したり、その動画をリールやショートに変換したりと多種多様なチャネルへの横展開を行っている企業が増えました。
このように「マルチチャネル」なマーケティングが近年一気に増加しています。
特に、オウンドメディアに注力してきた企業はマルチチャネルをガンガン進めているように感じています。
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オウンドメディアの価値は「マーケティングの核になること」だと思う
マルチチャネルであることのメリットは様々な層にアプローチできるというのはもちろん、「単純接触効果が狙いやすい」ということが一番大きなメリットのように感じます。
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単純接触効果とは「好感度は接触頻度によって決まる」という事を示した法則になります。
一見対人関係に特化した法則かと思いますが、実はコンテンツマーケティングでも十分に活用できるのです。
そのイメージが下記です。
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「どのチャネルでもそのブランドのサイトやアカウント、コンテンツに行き着く」という状態が作れれば、無意識的にユーザーへの刷り込みが可能です。
Instagaramのリールを見ているときも、YouTubeの動画も、検索したときも、常にそのブランドに関するコンテンツがあるということこそ、単純接触効果につながります。
この様に、単純接触効果による刷り込みが実現できれば、「想起」や「記憶」にユーザーにニーズが発生した際、問い合わせや購入につながりやすくなるでしょう。
もし、すでにオウンドメディアや何かしらのチャネルでコンテンツ発信を強化しているのなら、そこに貯めこんだコンテンツをそのほかのチャネルで発信することから始めていけばよいのではないでしょうか?
また、一からチャネルをハックしていくのは大変ですが、少しずつ「どこを見ても自分のブランドがある状態」を達成していきましょう。
最後に
今回はコンテンツマーケティングの理想とやるべきことをザックリまとめて書いてみました。
「マーケティング」と聞くとかなり壮大に感じるかもしれません。ただ今回のような施策は個人で事業を行っている方や個人で情報発信をしている方も十分活用できるナレッジだと思います。
ぜひ活用してみてください!
▽ニュースレターやっています!▽
https://hirashimarintaro.substack.com/