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Zara Larsson「All The Time」:音を巻き戻して、今の歌声を響かせる

スウェーデン出身のシンガーZara Larssonの名前は多くの人が知るところであり、BTSの作品に参加したことでさらに広がったのではないかと思います。BTSとのコラボレーションというインパクトの大きい出来事があった直後、彼女は自らの新曲「All The Time」をリリースし、同時にミュージック・ビデオを公開しました。

「All The Time」のサウンドで印象に残るのは、ファンクを感じさせるギターのリフです。ギターが刻む音は耳に心地好く、すっと馴染んで、そのままハートに流れ込みます。ボーカルの裏側で、目立ち過ぎず、それでいて存在感を放つ音。何度も聴きたくなる演奏ですね。

少し前の時代を感じるアレンジ(古いというほどではないがどこか懐かしい)ですが、むしろZara Larssonの歌声にぴたりと合います。あるいは、レトロな雰囲気の音にマッチする歌声というべきなのかもしれません。以前「Lush Life」でも感じたように、「時間を巻き戻したような音楽を現代の感性で新たに構築する」というアプローチに長けた音楽家だと思います。

ポップ・ミュージックは旬を過ぎたら忘れられ、やがてレトロなものとして懐古され、世代が変わって新しい価値として再び受け入れられる。そしてまた忘れられる…という輪廻ともいえる道をたどります。そこにあるのは、聴きやすさというシンプルな魅力です。ポップなものだけに出せる味わい、何度も聴きたくなる旨みのようなものが含まれているのではないでしょうか。少なくとも僕は、その味が忘れられなくて、定期的にポップ・ミュージックを求めています。


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