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quasimode「So What」:ホーンを排したアレンジで構築する四人の音のジャズ・ワールド

四人の音を結ぶスクウェア。2010年にquasimode「So What」をカバーしました。言わずと知れたMiles Davisの名盤『Kind Of Blue』に収録されている曲です。quasimodeのバージョンは、2010年の終わりにリリースしたシングル「WHISKY’S HIGH」で聴けます。

Miles Davisの「So What」では当然ながら本人のトランペット、加えてテナーやアルトが大きな存在感を放ちます。オリジナルとの違いを明確にするためか、quasimodeはホーンを入れずにカバーしました。軸となって曲を牽引するのが平戸祐介のピアノです。オリジナルでBill Evansが弾いた渋く響くピアノを大胆に再解釈し、より前に押し出した演奏だと僕は思いました。アグレッシブなタッチとレンジの広いプレイで、ワイルドながらも美しい鍵盤の音を披露します。落ち着いたテンポのなかで多くの音符が踊る様子は、アップテンポでの速弾きともバラードでの表現とも異なるパフォーマンスです。一方で、余白のある抑制的な演奏がベース、ドラム、パーカッションと移っていくソロを支える。ピアノが表現する静と動によって曲にダイナミックなうねりが生まれます。

デビュー前のquasimodeは大所帯のバンドであり、四人でデビューした後も多くの曲でホーン・セクションを加えました。そのため「So What」におけるアプローチはメインの表現手段を封じた形といえます。もちろん四人だけで演奏した曲は他にもありますが、やはりMiles Davisを意識すればするほど、ホーンを排した「So What」の挑戦的な姿勢が際立ちます。四つの音で描くアンサンブルに導かれ、四人が構築したジャズ・ワールドに没入しましょう。


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